税制上の扶養について解説します!

私たちが仕事をするうえで、何気なく使っている扶養ということば。
この言葉は、税制上と社会保険上の二種類にわけて考える必要があります。

そこで今回は、税制上の扶養について詳しくお伝えします。

なお、社会保険の扶養については、こちらをご覧ください。

税制上の扶養=『所得控除』

【画像】税金・控除

所得税や住民税で「扶養に入るかどうか」という場合は、扶養者の「所得控除対象になるかどうか」ということを指します。

税金は年収から、様々な『所得控除』をして『課税所得』を計算します。
この時、控除額が多ければ多いほど、『課税所得』が少なくなり納める税金の額が減ります。

【画像】年収・所得・課税所得の関係

所得控除を受けられるか受けられないかで、自由に使えるお金が減ったり増えたりするんです。

そして扶養に関する所得控除が、

扶養控除

配偶者控除(配偶者特別控除)

なんです。

つまり税制上の「扶養に入るかどうか」は、「税金が減らせるかどうか」という意味なんですね。

【画像】年収が同じでも控除が多いと税金が少ない

扶養控除は配偶者以外の子供や親。
配偶者控除は配偶者が対象になります。

「パートですがいくらまで扶養控除に入りますか」という質問がありますが、配偶者は扶養控除ではなくて配偶者控除。
区別しておきましょう。

税制上の控除は配偶者控除と扶養控除の2種類ある

-扶養所得控除1-
配偶者控除

【画像】夫婦(配偶者)

配偶者控除とは、結婚している世帯に対しての、優遇措置的な意味合いの強い、所得控除です。
配偶者を扶養しているから、控除を受けられる・・・というより、結婚しているから受けられるんです。

この意味からすると、配偶者控除は税制上の扶養とは言えないかもしれません。
ですが多くの人が、配偶者控除は扶養と認識しているようなので、ここでは取り上げています。

ただし配偶者控除を受けるには、いくつかの条件があります。

【画像】配偶者が控除条件を満たすとき

配偶者控除の条件

【画像】配偶者控除が受ける

納税者つまり夫が、配偶者控除を受けるために必要な、配偶者つまり妻の条件は次の4つです。

配偶者控除の条件

  • 結婚していること(民法の規定による配偶者であること)
  • 納税者と生計を一にしていること。
  • 年間の合計所得金額が38万円以下であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
     =>38万円をこえる場合、配偶者特別控除
  • 青色または白色申告者の事業専従者でないこと。

民法の規定で配偶者は結婚していなければいけないんです。
同棲相手や内縁関係ではダメなんです。

また同じ収入のもとで、生活していないといけません。
各々独立して、生活しているとダメです。

事業専従者とは家族が自営業や個人事業主で、その仕事を手伝っていたり給料をもらっている場合該当(がいとう)します。

この条件を満たすと、標準として所得税で38万円。住民税で33万円の控除をうけることができます。
ただし納税者自身の所得金額が多いと、控除額が減額されてしまうんです。
そして納税者の所得金額が1,000万円をこえると、配偶者控除をもらえません・・・

所得税の配偶者控除
納税者の合計所得金額控除額
控除対象配偶者老人控除対象配偶者
900万円以下38万円48万円
900万円超950万円以下26万円32万円
950万円超1,000万円以下13万円16万円
住民税の配偶者控除
納税者の合計所得金額控除額
控除対象配偶者老人控除対象配偶者
900万円以下33万円38万円
900万円超950万円以下22万円26万円
950万円超1,000万円以下11万円13万円

ちなみに、夫の所得が330万円以下(年収500万円程度)の場合、所得税・住民税の税率が共に10%です。
その条件で、配偶者控除を受けることができると・・・

  • 所得税3.8万円
  • 住民税3.3万円

の減税になります。

配偶者の所得が38万円をこえたら配偶者特別控除

【画像】収入

配偶者控除は、配偶者の所得が38万円まで。
パートなどの給与所得のみなら年収103万円です。

この金額をこえると、配偶者控除をうけることができない・・・
だからその範囲内で働こう・・・と思っている人も多いですよね。

ですが配偶者の所得が38万円をこえたら、配偶者特別控除を申請することができます。
配偶者特別控除は配偶者の所得が増えると、控除額38万円から少しずつ減っていきます。
そして最後は、ゼロになります。

次の表は「配偶者特別控除」の金額ですが、妻(配偶者)の収入の増加分と、夫の税金増加分も記載してみました。
なお、夫の所得税率が10%として計算しています。

配偶者特別控除額 単位:万円
配偶者の合計所得金額控除額増加額
住民税所得税妻の収入夫の税金
85超90以下33360~50.2
90超95以下31315~100.9
95超100以下262610~151.9
100超105以下212115~202.9
105超110以下161620~253.9
110超115以下111125~304.9
115超120以下6630~355.9
120超123以下3335~386.5

妻の収入が5万円増えると、夫の税金が9千円増えます。
妻の収入が35万円増えると、夫の税金が6.5万円増えます。

妻の収入増加分と比べて、夫の税金はそれほど増えていませんね・・・
6.5万円は多いですが・・・35万円と比較すると少ないという意味です・・・

もし稼ぐことができるのに、配偶者控除を気にして収入を制限するなら、個人的にはもったいないと思います。

【画像】配偶者の所得が38万円をこえたら

※ただし、夫の社会保険の扶養に入っている場合は、扶養から外れない収入に留める必要があります。
詳しくは、次の記事を見てくださいね。

夫婦共に相手を配偶者控除できる?

【画像】夫婦ともに

実は妻と夫、どちらで配偶者控除の申請をしても問題ないんです。

夫が世帯主だから、夫の方が年収が多いから、夫が申請しないといけない。
そのような決まりはないんです。

【画像】妻と夫、どちらで配偶者控除していい

しかし配偶者の年収が上がるほど控除額が減ります。
だから年収が低い方を、年収が高い方の配偶者として申請するのが一般的です。

妻がパートで夫が会社員の場合、夫側で配偶者控除を行うのは合理的なのです。

夫より妻の方が年収が多い場合

もし夫より妻の方が年収が多いなら、妻側で配偶者控除申請した方が控除額が増えて、トクになります。
しかし突然妻と夫の収入が逆転してしまった・・・そんな場合は、プライドなどの兼ね合いから、デリケートな問題になることもあるので、慎重に話し合いましょう。

慎重に話し合わなかった結果

ちなみに、妻と夫でお互いに申請してしまうと、重複になってしまいます。
すぐに問題になりませんが、のちのち税務署から訂正されることになります。
申請用紙をもらったからといって、書いてしまわないようにしてくださいね!

平成30年から配偶者控除の申請書が変更

【画像】平成30年から変更

配偶者控除は、自営業の方の場合、確定申告の申告書に金額を記入することになっています。
しかし会社員やパート従業員の場合は、会社を通して申告をします。

会社を通す場合、平成29年までは・・・

  • 配偶者控除を『扶養控除申告書』
  • 配偶者特別控除を『給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書』

で、おこなっていました。

【画像】給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書

『給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書』は保険料控除の申告を同時に行っていました。
そのため独身の方でも、よく目にしていたのではないでしょうか。

ですがこの用紙は、平成30年以降は使いません。

『給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書』は平成30年から

  • 給与所得者の配偶者控除等申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書

の二つに、分割されたんです。

今後、配偶者控除と配偶者特別控除は、右上に『配』と書かれた『給与所得者の配偶者控除等申告書』で申請します。

【画像】給与所得者の配偶者控除等申告書

年末に会社から配られるので、今までと違う・・・と慌てないようにしてくださいね。

なお扶養控除申告書は、引き続き使用されます。
詳しくは、こちらをチェックしてみてください。

-扶養所得控除2-
扶養控除

【画像】扶養親族

『扶養控除』は、配偶者以外の親族を扶養している場合に、受けられる所得控除です。

控除を受けるには、税制上で決められている『親族を扶養している状態』を満たしていないといけないんです。

扶養控除

ただ実際には、納税者の状態ではなくて、扶養されている側の状態がチェックされます。

控除対象扶養親族の条件

【画像】家族

扶養されている側がどんな状態なら、扶養控除できるのでしょうか。
その年の12月31日時点で、次の条件に合っていると、扶養控除の対象にすることができます。

扶養控除の対象者の条件

  • 親族であること。
  • 納税者と生計を一にしていること。
  • 年間の合計所得金額が38万円以下であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  • 青色または白色申告者の事業専従者でないこと。
  • 配偶者ではないこと。
  • 年齢が16歳以上であること。

この条件を見ると、子どもが成人していても同居していてアルバイトなどの収入が103万円以下なら、扶養控除の対象になるのが分かります。

でも対象になるのは、子供だけではありません。
条件の一つ目に、『親族であること』という項目があります。

この場合の親族の範囲は『6親等内の血族及び3親等内の姻族』です。

申告者の親や兄弟、その子供なども含まれます。
分かりやすいように図にしてみました。

「6親等内の血族及び3親等内の姻族」関係図
クリックで拡大されます

こうしてみると、かなり広い範囲をカバーしているのが分かります。
血がつながっていると認識している人は、ほとんどが入っているのではないでしょうか。
ただし16歳未満の親族については、児童手当が支給されるため対象外です。

子供がアルバイトを始めた場合

【画像】アルバイト学生

扶養したい家族が、働いている場合は注意が必要です。
所得が38万円以上、アルバイトなどで給与をもらっている場合は103万円以上になると、扶養控除の対象から外れてしまうんです。

子供が103万円以上稼いでいるのを知らずに、年末調整してしまうと是正を求められてしまいます。
大学に通うために一人暮らししているなど、行動を把握しきれないケースもあります。
もし働きすぎた時は、すぐに連絡をするように、早めに説明をしておくようにしてくださいね。

扶養対象を夫婦で分けることも可能

【画像】扶養親族が多い時

子供や両親など、扶養控除の対象となる家族が複数いる場合、夫婦で分けることができます。
子供を夫の扶養、両親を妻の扶養として申請してもOKなんです。

年収から給与所得などの控除をした結果、所得が38万以下になると所得税がかかりません。
その際、扶養控除がなくても38万以下になるとしたら・・・扶養控除を申請したもムダになってしまいます。

そんな時、配偶者側で控除してもらうのも良い方法なんです。

ただし扶養控除の申請が、家族手当や社会保険の加入条件となっている場合もあるので、勤め先に確認するようにしてくださいね。

扶養控除の金額

【画像】控除はいくら?

扶養控除を申請すると、扶養対象一人につき所得税で38万円住民税で33万円を年収から控除できます。

ただし19歳以上23歳未満については、大学などの学費が増えることから所得税で65万円、住民税で45万円に増額してもらえます!
減税額で言えば、10万円から15万円程度。
正直いえば雀の涙ですが、出ないよりはましではないでしょうか。

また70歳以上の方については所得税で48万円、住民税で38万円の控除が適用されます。
その際、自分や配偶者の直系の尊属、つまり父母や祖父母が同居している場合さらに所得税で10万円、住民税で7万円プラスされます。

扶養控除の額
対象者控除額
所得税住民税
一般3833
特定 19歳以上23歳未満6345
老人 70歳以上4838
同居老親等5845

扶養控除は申告しないと適用されません。
同居している家族でもれている人がいないか、確認してみてくださいね。

扶養控除の申告は、扶養控除申告書でおこないます。
平成30年から様式が変更されているので、こちらで書き方をチェックしてみてくださいね。
■参考:扶養控除申告書の書き方-平成30年版-

生計を一にするとは?

【画像】生計を一にする家族

配偶者や扶養親族の条件には『生計を一にする』という項目があります。
これはどういう意味なんでしょうか?

基本的には同じ家で寝起きしていて、同じ収入源から得たお金で生活しているなら『生計を一にする』とみなされます。
働いて養っている者と養われている者という関係が、一番イメージしやすいですね。

また別居していても生活費や学費を仕送りしてもらっていれば、『生計を一にする』として扱われます。

まとめ

配偶者控除については、働けるだけ働いた方が家計全体の収入が増えます。
無理に抑えて働く必要はありません。

ただし、社会保険上の扶養から外れてしまうことがあり、こちらは確実に収入が減ってしまいます。
注意しましょう。

社会保険の扶養については、こちらをご覧ください。

 

 

 

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