第一回:パート(給与所得者)の税金の仕組み-パートの税金

【保存版】パートの税金について・意外と多い収入が減る8つの壁とは:第一回
こんにちは須永朋美です。
最初に、パート(給与所得者)の税金の仕組みについてお伝えします。
パート(給与所得者)の税金の仕組み
まず知っておいて欲しいのが…
パート従業員は分類上、給与所得者となり
『税制上の扱いは正社員と同じ』
という事です。
パートだから不利だったり、有利だったりすることはないんです。
ではもらったお給料から、どのように税金が計算されるのでしょうか?
次の図のような、流れになります。
(1)年収から『給与所得控除』を差し引き『所得』を計算する
まず一年間働いてもらったお給料(年収)の合計額から、『給与所得控除』というものを差し引きます。
給与所得控除は年収が161.9万円までなら、65万円です。
パート収入ではこの年収金額をこえることはあまりないので、
『給与所得控除=65万円』
と覚えておくといいですよ。
年収から給与所得控除を差し引いた後の金額を『所得』と呼びます。
配偶者控除や扶養控除などは、この所得の金額で計算されます。
所得という言葉も覚えておいてくださいね。
年収と所得の関係や給与所得控除について詳しくは、こちらの記事をチェックしてみてくださいね。
(2)『所得』から『所得控除』を差し引き『課税所得』を計算する
『所得』が計算されたら…
次は基礎控除や生命保険料控除などの『所得控除』が差し引かれます。
差し引き後の金額は、『課税所得』と呼ばれます。
『給与所得控除』は給与から差し引かれる控除。
『所得控除』は所得から差し引かれる控除です。
ややこしいですが、区別しておいてくださいね!
(3)『所得』から『所得控除』を差し引き『課税所得』を計算する
最後に『課税所得』に税率を掛けて、税金が確定します。
税率については、後で紹介しますね。
ここで問題になるのが…
課税所得の金額が0円なら、税率をかけても0円
ということです。
つまり課税所得の金額が0円なら
税金を払わなくていい
ということになります。
パートで税金を払わなくていいのはいくら?
という質問は、課税所得が0円になるのはいくら?
という質問と同じなんですね。
自営業や在宅ワークなどの会社勤めでない人は、『給与所得控除』がありません。
その代わり『経費控除』があります。
『経費控除』は実際に使った経費。
『給与所得控除』のように、一律ではありません。
だから年収が同じでも、その後の計算結果がみんな違ってきます。
だから給与所得者でない人から
「年収いくらまでなら損をしないの?」
という質問が出た場合、答えるのは難しいんです。
この質問実は、パート社員などの会社勤めの人向けの質問だったんですね。
所得には『合計所得』や『総所得』というものがあります。
これは給与所得以外の所得がある時に、全ての所得を合計した金額です。
たとえば自営業の事業所得や、賃貸などの不動産所得です。
収入がパートのみの場合は、所得が一種類なので『所得(給与所得)』=『合計所得』です。
また『総所得』は、前期の負債などを考慮したもので、パートのみの場合は関係ありません。
税金はいつ払う?
そもそも税金はいつ払うのか、あなたは知っていますか?
答えはお給料をもらった時です。
所得税・住民税、それと正確には税金ではありませんが社会保険料(健康保険・年金・雇用保険)が、お給料から引かれます。
問題は、引かれたのはいつの分の税金なのか、ということなんです。
この3つ、全て対象となっている期間が違います。
ちょっと整理してみましょう。
所得税は前払い
所得税は、今年の税金を前払いしています。
所得税は一年分の税金を、翌年の3月までに支払います。
ですが所得税は、数十万円や人によっては数百万円になります。
これを実際に一括で支払うとなると、負担が大きいのですね。
そこで前払いという形で、毎月のお給料から天引きされているんです。
ただどうしても、正しい税額とズレてしまいます。
そこで、年末調整で調整しているのです。
年末調整をするには扶養控除申告書が重要となります。
こちらの記事で紹介しているのでチェックしてみてくださいね。
住民税は後払い
住民税は一年分の税額を、翌年の6月から翌々年の5月まで分割して支払います。
つまり今天引きされているのは、去年か一昨年の分なんです。
住民税は金額がズレないので、年末調整は関係ないのです。
問題は退職した場合。
退職後も前年分の住民税を支払わないといけません。
会社を通して住民税を納付する形式を、『特別徴収』といいます。
しかし会社を辞めてしまうと、会社を通して納税、つまり特別徴収ができなくなります。
そこで残りの支払い方法を、
- 最後の給与や退職金から一括で支払うか
- 「普通徴収」に切り替えて自分で支払うか
から、選ぶ必要があるんです。
ただし『特別徴収』が12回の分割払いだったのに対して、『普通徴収』は納付期限が6月、8月、10月、1月の4回。
3か月分の住民税を、一回で支払うことになるんです。
一度に支払う金額が大きくなるのです。
納税通知書を見て、驚かないようにしてくださいね。
社会保険料は…?
社会保険料は基本的に、加入資格を得た翌月から天引きされます。
タイミングによっては、資格を得た月から天引きされることがあるようです。
次は第二回:年収93万円から100万円の壁