税金や社会保険の扶養の意味についてまとめ
パートで働いていると、世帯の収入を減らさないように年収を扶養の範囲に留めておきたいものです。
ですが扶養の意味を正しく理解していないと、上手に働けないですよね・・・
そこで
・どんな条件があるのか
・扶養について注意すること
についてまとめました。
扶養について知っているだけでトクすることもある・・・かもしれません。
扶養の意味
扶養を辞書で調べると…
たすけ養うこと。生活の面倒をみること。
三省堂 大辞林
このような意味だそうです。
一方、民法では「親子や兄弟は互いに扶養する義務がある」と定められています。
直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
この絵のように、家族みんなで助け合いましょう・・・ということですね。
↓
ではパートなどで働く場合の扶養の意味はどうなのでしょうか?
まず知っておいて欲しいのが、
扶養には・・・
- 税制上の扶養
- 社会保険上の扶養
の2種類があって、別のものとして考えなければいけない、ということなんです。
Yahoo!知恵袋などで「私は夫の扶養に入れますか?」という質問があると、回答者が決まって最初に答えるのが「扶養に2種類ある」ということ。
扶養に2種類あることをしっていないと、聞かれた相手は答えることができないんです。
2種類の扶養とは、どのようなものなのか?
順番に紹介していきますね。
扶養の意味1:税制上の扶養=『所得控除』
一つ目は税制上の扶養です。
税制上の扶養とは、所得税や住民税の計算で、扶養者の「所得控除対象になるかどうか」ということを指します。
この扶養については、深く考えずに働けるだけ働いた方が家計全体の収入がアップすることが多いです。
詳しくはこちらの記事を見てください!
扶養の意味2:社会保険の扶養
二つ目は、社会保険上の扶養です。
社会保険の扶養とは、子供や配偶者が、労働者の加入している社会保険に「無料で加入することを認めてもらえるかどうか」ということを指します。
認めてもらいないと、子供や配偶者が各自で保険加入しなくてはいけないので、その分家計の出費が増えてしまいます。
詳しくはこちらの記事を見てください!
扶養者とは誰を指す?
『扶養者』という言葉だけ聞くと・・・扶養を受ける側なのか、それとも扶養してもらう側なのか・・・分からなくなることがあります。
扶養者は、扶養する側になる人です。
子供から見たら、親が扶養者ですね。
扶養してもらう側は、被扶養者ですね。
しかし『扶養家族』となると、扶養される側になります。
被扶養家族ではないので、少し混乱しますね。
ちなみに税法上は扶養家族ではなく、扶養親族という言葉を使用します。
カバーしているのが『6親等内の血族及び3親等内の姻族』と非常に広い範囲なので、扶養家族では実態にそぐわないのです。
■健康保険の場合
健康保険や年金で『被保険者』は、保険に加入している人のことを指します。
そして『保険者』は保険を運営している団体を指します。
扶養されている側は、『被保険者』の『被扶養者』という位置づけです。
■厚生年金の場合
会社を通して保険に加入すると、『第2号被保険者』となります。
『第2号被保険者』の扶養として年金に加入すると、『第3号被保険者』になります。
ちなみに『第3号被保険者』になれるのは、配偶者のみです。
子どもは、自分で年金に入らないといけません。
国民年金に加入する、自営業者や学生等は『第1号被保険者』となります。
妻が夫の扶養から外れると収入はいくら減る?
扶養の範囲内で、働きたい・・・
そう思っていても、では扶養から外れると、どんな影響があるか・・・具体的にいくら収入が減るか・・・よくわかりません。
そこで簡単にまとめてみました。
配偶者控除の影響
パートなどで妻の収入が所得金額が85万円(給与のみの場合150万円)増えると、配偶者控除できる金額が段階的に減っていきます。
そして所得金額が123万円をこえた時点でゼロになります。
実質的な減税額は・・・
夫の年収が500万円程度の時、
妻の所得金額が85万円以下
配偶者控除で10.9万円の減税・・つまり手取り金額増加
所得金額が85万をこえて90万円以下
配偶者控除で10.5万円の手取り金額増加です。
妻の収入が5万円上がったのに対して、夫の手取りは5千円減ったことになります。
こう考えると、妻の収入が増えても、夫の手取り額はあまり減らないという印象を受けませんか?
配偶者控除に関しては、扶養内で働くという考え方をしなくてもいいと、個人的には考えています。
ちなみに夫の所得金額が1000万円をこえていると、最初から配偶者控除を受けることができません。
社会保険の影響
■夫がサラリーマンの場合
夫の社会保険については金額的な影響はありません。
ただし妻が自分で保険料を払うことになるので、世帯としての収入が減ります。
妻の年収が130万円程度の場合、国民保険や国民年金に加入した場合は、年間30万程度の出費になります。
妻が勤め先の保険に加入できた場合は、20万円程度です。
■夫が自営業の場合
妻も独自に保険に加入しているので、特に影響はありません。
子供が扶養から外れる影響は?
子どもが扶養から外れる・・・
つまり『扶養控除』を受けられなくなると、どうなるのでしょうか?
扶養控除は所得税で38万円、住民税で33万円。
所得税率が20%の場合、税金額に換算すると合計で10.9万円になります。
子供が19歳以上23歳未満なら特別に所得税で65万円、住民税で45万円控除されます。
そのときの換算額は17.5万円です。
子供の扶養控除を受けられなくなると、10万円以上の税金を今までより多く支払うことになるのです。
また保険についても、子どもが自分で国民保険または、勤め先の保険に加入することになります。
ただしアルバイト等で年収130万円をこえてしまった場合、自分で保険料を支払うのが難しいケースがほとんど。
親がかわりに支払っているのが現状です。
子供がアルバイトを始めたら、収入について気にしておくようにしてください。
まとめ
いかがでしたか?
仕事をする上で、扶養には2種類の意味があります。
それぞれ世帯としての収入に大きく影響を与えるので、しっかりと把握しておいてください。
またどれだけ働くと、どれだけ税金が徴収されるのかを知っておくのも大事です。
給与明細に書いてある内容を、本当の意味で理解するのに必要ですからね。
パートをする上で知っておきたい税金の壁について、こちらにまとめました。
【保存版】パートの税金について・意外と多い収入が減る8つの壁とは
ぜひ一度ご覧ください。