パートでももらえる有給休暇を活用するために正しい知識を知ろう

「疲れた休みたい」
「正社員は、休んでもお給料もらえるなんてうらやましいな」
そんなふうに、感じていませんか?
実は、これは間違い。
法律的には、パートでも有給休暇をとることができます。
ですが!
有給休暇をとろうとすると、
という目で見られたり
そもそも
なんてことを、いわれてしまうこともあります。
そのため有給をとりたくても、とれないという人が多いですよね。
そこで今回は、「有給休暇」の制度についてわかりやすく解説します。
法律を知って、会社に対して強く要求する!
のは難しいかもしれませんが、
「会社に騙されているかもしれない」
という気持ちのまま仕事をするよりはいいですよね。
この記事を読んで正しい知識を覚えてくださいね。
有給休暇とは?
有給休暇とは何か?
有給休暇は、正式には『年次有給休暇』といいます。
文字を見れば、どんな休暇なのか想像することができる人は多いですね。
目的などを簡単にまとめると、次のようになります。
■誰に?
一定期間勤続した労働者
■目的は?
心身の回復やゆとりのある生活ができるようにすること
■なにができる?
お給料を減額されずに休暇が取れる
平たくいうと、
休んでもお給料は支払うからお金の心配をしないで休暇を取って、心身の回復をしてね」
ということですね。
これはお給料を減額しないということで、増やすという意味ではありません。
どういうことかというと、もとから休日だった日を有給休暇にして、お給料をもらうようなことができないってことです。
また年次有給休暇は、働いている人であればだれでも取得できるというわけではないんです。
『一定期間勤続した労働者』という言葉があるように、年次有給休暇をもらうためには一定の条件を満たす必要があります。
次の項目では、その条件と日数について詳しく説明します。
パートでもらえる有給休暇の条件と日数は?
有給休暇は、労働基準法の39条で決められています。
■労働基準法|
39条によると…
年次有給休暇を取得するためには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 1.雇い入れの日から6か月経過していること
- 2.その全期間の8割以上出勤していること
この時、雇用形態は関係ありません。
つまり正社員・パート関係なく、半年以上働いていて、あまり休まなければ、有給休暇をもらうことができるんですね。
そして、最初の有給が付与されてから1年を経過後、あらたに有給休暇が付与されます。
ただしこれも、全勤務日数の8割以上の期間、出社していないといけません。
雇い入れ(採用された日)からの勤続年数と、付与される有給休暇の関係は次の表のようになります。
雇い入れ日からの勤続期間 | 付与される有給休暇の日数 |
---|---|
6か月 | 10日 |
1年6か月 | 11日 |
2年6か月 | 12日 |
3年6か月 | 14日 |
4年6か月 | 16日 |
5年6か月 | 18日 |
6年6か月以降1年ごとに | 20日 |
ただし一週間の所定勤務日数が4日以内の場合、付与される日数が少し減ります。
雇い入れ日からの勤続期間 | 一週間の所定労働日数 (一年間の所定労働日数) | 4日 (169日~216日) | 3日 (121日~168日) | 2日 (73日~120日) | 1日 (48日~72日) |
---|---|---|---|---|
6か月 | 7日 | 5日 | 3日 | 1日 |
1年6か月 | 8日 | 6日 | 4日 | 2日 |
2年6か月 | 9日 | 6日 | 4日 | 2日 |
3年6か月 | 10日 | 8日 | 5日 | 2日 |
4年6か月 | 12日 | 9日 | 6日 | 3日 |
5年6か月 | 13日 | 10日 | 6日 | 3日 |
6年6か月以降1年ごとに | 15日 | 11日 | 7日 | 3日 |
たとえば週3日勤務で1年6か月働くと、有給を6日もらえます。
パートの場合、こちらの表になるケースが多いですね。
ちなみに、週の労働日数が決められていない場合、一年間の所定労働日数で計算されます。
有給休暇の有効期限
有給休暇は、前年の残り日数にプラスされていきます。
だから…
使わなければ、どんどんたまっていって、何カ月も休むことができそうですね!
好きなところに旅行に行けますね!
となったら、よかったのですが…
有給休暇の有効期限は2年間しかありません。
つまり、有給休暇が付与されてから2年経過するとその分の有給休暇は消滅するということです。
使わなければ永遠に追加されていくわけではないのでこの点は注意してくださいね。
会社は有給休暇の利用を拒否できないって本当?
有給休暇を申請しようとしたら、空気を読めと言われた…
こんなケース、けっこう多いのではないでしょうか。
直接いわれなくても、職場の雰囲気で有給休暇をとりにくいというケースもありますよね。
有給休暇は、会社が独自で決められるものではなくて労働基準法という法律で決められたものです。
そして労働基準法では、次のようなことも定められています。
ただし、次のようなことも定められています。
人材が不足する時期に
休暇の申請があった場合、
会社は
時期をずらす
ことができる
わかりやすくいうと、
と、会社はいう権利があるという事ですね。
働き方改革で年5回以上取得が義務化に!
2019年4月から働き方改革関連法案が施行されます。
その結果企業は、年に10日以上有給休暇がある人に、
と、お願いすることが義務になってしまったのです!
つまり、
という状況から、
と逆の状況になってしまうんですね。
パートの立場としては、緊急時のために有給休暇をとっておきたいです。
そうすると余った分は、年度末にまとめて取ることになります。
多くのパート従業員が、年末に一斉に休まれると企業は困ってしまいます。
だから計画的に、割り振ろうとするわけです。
なんだか、無駄に休ませられる気分になりますね。
有給休暇の事後申請って可能なのか
朝起きたら…
とか、
とか、ありますよね。
こんなときは、会社を休むケースが多いですね。
しかし休むとお給料がもらえません。
だから有給休暇にして欲しいですね。
でも、休んだ後に有給休暇を申請することって可能なんでしょうか?
これは、結論から先にいうと
原則的には
「できません」
なぜなら、有給休暇を取得するときは、会社に事前に申請する必要があるからです。
でも実際には、急に休んだ分を、後から有給にしてもらっているというケースがよくあります。
これは、会社側が好意でそういう対応を取ってくれているだけなんですね。
ですので会社に勤めたら、先輩に次のことを聞いてみてください。
可能であれば、事後申請でも有給にしてもらえます。
ですがダメなときは、諦めるしかないんですね。
有給休暇を会社に買い上げてもらうことは可能なのか
有給があってもなかなか休みを取ることができなくて、有給がたまっているという人は多いですね。
そこで、誰もが考えるのが、
「有給休暇を会社に買い取ってもらうことはできないのか?」
ということです。
具体的には、有給を1日分の給料に換算して、給与として支払ってもらうことは可能なのかということですね。
これも結論からいうと、
原則的には
「できません」
これは、労働基準法で有給休暇を買い取ることを禁止しているためです。
ただし例外として、従業員が会社を退職するときなら、未消化分の有給休暇を買い取ることは許されています。
ですがそれは、
『買い取ってもいいよ』
ということで、『必ず買い取らなければいけない』ということではないんです。
会社側の判断によっては、そのまま未消化で終わってしまう事もあるんですね。
退職時に買い取りして欲しい場合は、就業規則を確認した上で上司や担当部署に相談してみてくださいね。
パートでも会社を辞めるときに有給休暇は消化できる
退職するときに
『使っていない有給休暇を、消化してから辞める』
という話はよく聞きますね。
これはパートでも同じことができるのでしょうか。
これも結論からいうと、
パートでも
「できます」
有給休暇は、雇用形態に関わらず労働者に与えられた権利です。
そして、
労働者が有給を取得することを、会社は拒否できません。
しかし会社は忙しい時期なら、有給の取得日をずらすように、従業員にお願いすることができます。
ですが退職する場合は、退職日以降に有給休暇を取得するようにお願いすることは不可能ですよね。
このようなことから、退職日までにまとめて有給をとっても、問題ないのです。
とはいえ円満な形で会社を退職するためには、有給を消化する前に、後任の人にスムーズな引き継ぎを行っておくことが大事です。
そのスケジュール調整のためにも、「有給を使いたいので退職日をいつにしたい」ということを、事前に上司や担当部署に相談しておくようにしてくださいね。
有給消化中に次の会社で勤務を始めるときは注意が必要
退職前の有給消化中に、次の仕事を始めるときは注意も必要です。
これはパートでも正社員でも変わりません。
有給消化中ということは、会社の籍はまだ前の会社にある状態です。
法律的には問題はないのですが、会社によっては、就業規則で二重労働を禁止している場合があるからです。
また社会保険の手続きなどの関係で、手続きがスムーズにいかなくなってしまうこともあります。
その意味からも、有給消化中に次の仕事を始めるときは注意したほうがいいんですね。
あとでトラブルにならないように、新しい会社と入社日の相談をするときに、確認しておいてくださいね。
パートと有給休暇の厳しい現実
ここまでは、労働基準法に基づいた有給休暇についてのお話をしてきました。
有給休暇は法律で与えられた労働者の権利です。
パートであっても、例外ではありません
という会社があれば、これは法律違反をしていることになります。
ですが…
実際には、嫌味をいわれたり、嫌な顔をされた経験があるという人が多いのが現実です。
会社にしてみれば、
と思ってしまうんですね。
建て前としては、有給を取らせない行為は法律違反です。
しかし現実の話として考えると、
有給の権利を主張することで
嫌がらせをされたり…
待遇が悪くなったり…
自分から辞めるといわせるような行動をされたり…
こんな人が実際にいるのです。
悲しいですが、それも現実です。
できるなら、こんな不当な扱いをする会社で仕事を続けるのは、やめるべきです。
でも女性の場合、新しい仕事を探すのって大変ですよね。
私の場合は不当な扱いではなく、家庭の事情で勤務日数や勤務時間を減らしたかったので、転職をしようと思いました。
ですが、面接にすらたどり着かないんですよ。
それなりに仕事はしてきたから、自信はあったのに…
余計にショックでしたね。
今の会社に入るのがとても大変だった、という人は多いと思います。
ですので、せっかく仕事ができているのに、それをみすみす逃したくないという人もいると思うんです。
もしパートで所定の条件を満たしているにもかかわらず、有給がもらえていないという人は、それは明らかに会社が法律違反をしています。
建前上は有給をもらっていても、使わせてもらえないなら、同じです。
ですが正当な権利を主張したとしても、証拠に残らない嫌がらせをされてしまう可能性もあります。
制度の内容を正しく理解したうえで、今後自分はどうしたいのかということをしっかり考えて行動してみてくださいね。
パートの有給休暇についてトラブルが発生したときの対処方法
パートの有給休暇について、前の項目で建前と現実のお話をしました。
それでも、請求すると決断した場合は、どのような対応をすればいいかというお話をします。
まずは、自分の上司に相談してみましょう。
自分の上司に何もいわずに上の上司や担当部署にいきなり相談をしてしまうと、感情的になり話がさらにややこしくなってしまう可能性があるからです。
自分の上司→さらに上の上司→担当部署という流れで相談するのがいいと思います。
これで解決すればいいのですが…
法律が絡むトラブルの場合、会社全体でわかっていて違反をしていることも多いです。
そのため、どこに相談をしてもまったく状況が改善されない可能性もあります。
その場合の最終手段は、労働基準監督署に相談・通告することです。
この場合、次のものを用意しましょう。
- 自分が入社した日
- 勤務状況
- 有給を取得できていない証拠
有給を取得している場合、証拠は給与明細に記載されますので給与明細で大丈夫です。
通告者が誰かわからないようにして、会社の調査してもらうことも可能です。
不安なことがあれば事前に、労働基準監督署に話をしておくことをおすすめします。
まとめ
有給休暇についてご説明してきましたがいかがでしたか?
最後は、パートの権利と現実のお話も絡めた内容もお伝えしました。
会社があきらかに法律違反をしていることはわかっていても、次の仕事が決まらないかもしれないという不安があると、行動に移すのも怖いですよね。
まずは有給休暇という制度を知り、今自分がどんな状況になっているのかを自分が理解しておきましょう。
自分の状況を把握したうえで、どうしたいのかしっかり考えて行動してくださいね。