パートの最低賃金額-下回っていたときは請求できる?

「パートの時給が安すぎる!」
「こんなに安いのは法律違反じゃないの?」
パートで働いていて、自分の時給が安すぎるのではないだろうかと思った事ありませんか?
もしそう感じているなら、国が定めている最低賃金より低い金額かどうか確認するべきです。
もし最低賃金を下回っていたら、時給を上げるように会社に言うことができますからね。
でも国が定めた最低賃金はいくらなのか分からない人が多いと思います。
そこで今回は、最低賃金とは何かということを含めて、詳しく紹介したいと思います。
時給が最低賃金を下回っていた場合の対処の仕方も紹介しているので参考にしてみてくださいね。
最低賃金額とは
最低賃金とは、最低賃金法という法律に基づいて決められた金額です。
■最低賃金法
そして最低賃金法には、次のような目的があります。
最低賃金額以上の報酬額が保障される
従業員の生活が安定すると労働力の質が向上する
事業の公正な競争を確保できる
パート目線だと、
企業がパートを安く使って儲けようとしないように
パートの生活が安定してやる気がでるように
という目的になりますね。
また、最低賃金は、全ての仕事で同じ金額というわけではないんです。
- 会社の仕事内容(事業)
- 職業の種類
- 働いている地域
などでかわります。
最低賃金額の種類
最低賃金額を定める種類は2つあります。
「地域別最低賃金」
「特定(産業別)最低賃金」
「地域別最低賃金」
「地域別最低賃金」は、都道府県別に決められている最低賃金です。
一般的には、こちらを目にすることが多いと思います。
これは、働く人すべての人が対象になります。
もうひとつの特定(産業別)最低賃金が年齢などの条件で適用されない場合は、地域別最低賃金が適用されます。
「地域別最低賃金」
もうひとつが「特定(産業別)最低賃金」と呼ばれているものです。
鉄鋼業、電気機械器具製造業など特定の産業のみに適用されるもので、通常は「地域別最低賃金」よりも高く設定されています。
ただし、職種が該当しても、就業期間、年齢、業務内容によっては適用されない場合もあります。
「地域別最低賃金」と
「特定(産業別)最低賃金」の
どちらか高い方が適用されます。
最低賃金は、正社員、パート、派遣社員などの労働の形態に関係なく、すべての労働者に適用されます。
ただし派遣社員の場合は、派遣先の最低賃金が適用されます。
他県に派遣されたときなどは、最低賃金がかわるのでチェックしておいた方がいいですよ。
「特定(産業別)最低賃金」の詳細については、厚生労働省のホームページまたは、各都道府県労働局、労働基準監督署に問い合わせてくださいね。
最低賃金額の調べ方
「地域別最低賃金」は、毎年10月頃改定されています。
日にちは決まっていないようで、10月1日に改正される場合もありますし、数日たってから改正される都道府県もあります。
場合によっては、古い情報を見ていることがあるので、最低賃金を確認する場合は、いつ改定されたものか日付を確認するようにしてくださいね。
最新の最低賃金は、こちらで確認できます。
■最低賃金制度|厚生労働省
ちょっとかわいいホームページですが、作っているのは厚生労働省なので、正確ですよ(笑)
以下の表は、平成30年10月現在の都道府県別最低賃金です。
厚生労働省のページでも同じ内容を確認できますが、こちらでも掲載しておきます。
参考にしてみてくださいね。
- 北海道
- 835
- 青森県
- 762
- 岩手県
- 762
- 宮城県
- 798
- 秋田県
- 762
- 山形県
- 763
- 福島県
- 772
- 茨城県
- 822
- 栃木県
- 826
- 群馬県
- 809
- 埼玉県
- 898
- 千葉県
- 895
- 東京都
- 985
- 神奈川県
- 983
- 富山県
- 821
- 石川県
- 806
- 福井県
- 803
- 新潟県
- 803
- 山梨県
- 810
- 長野県
- 821
- 岐阜県
- 825
- 静岡県
- 858
- 愛知県
- 898
- 三重県
- 846
- 滋賀県
- 839
- 京都府
- 882
- 大阪府
- 936
- 兵庫県
- 871
- 奈良県
- 811
- 和歌山県
- 803
- 鳥取県
- 762
- 島根県
- 764
- 岡山県
- 807
- 広島県
- 844
- 山口県
- 802
- 徳島県
- 766
- 香川県
- 792
- 愛媛県
- 764
- 高知県
- 762
- 福岡県
- 814
- 佐賀県
- 762
- 長崎県
- 762
- 熊本県
- 762
- 大分県
- 762
- 宮崎県
- 762
- 鹿児島県
- 761
- 沖縄県
- 762
最低賃金額の計算方法
パートの場合は時給でお給料をもらっていることが多いですね。
そのため、日給や月給のときに時給がいくらか計算する方法は、あまり関係がないかもしれません。
ですが、一応知識として知っておくといい思うので、簡単に紹介しますね。
最低賃金は、日給や月給の場合は時給に換算して計算されています。
【日給の場合】
時給=日給÷1日の所定労働時間
【月給の場合】
時給=月給÷1箇月平均所定労働時間
簡単ですね(笑)
ちなみに所定労働時間というのは、実際に働いた時間ではありません。
就業規則や雇用契約書などで、決められている時間のことですよ。
この方法で求めた金額が、自分の住んでいる地域の最低賃金よりも高いかどうか確認してみてくださいね。
最低賃金の対象になるものは、毎月支払われる基本的な金額のみです。
ボーナスや残業代、祝金などの金額は対象外になります。
残業代などを対象にしてしまうと、
「今月のお給料は最低賃金をこえた」
「今月のお給料は最低賃金よりも低かった」
なんてことが、おきるかもしれません。
法律では、それはダメですよ!と言っているんですね。
最低賃金額以下で働かせることは法律に違反している
最低賃金は、国が定めた『最低賃金法』という法律に基づいて決められているというお話をしました。
つまり最低賃金以下で従業員を働かせるということは、法律に違反しているということになるんです。
最低賃金法の違反が発覚した場合、行政が実態調査を行います。
事実だと分かった場合は是正勧告といって、違反内容を改めるように会社に連絡があります。
それを無視したり、虚偽(嘘)の報告をするなど会社の対応が悪質だと判断された場合は、書類送検、罰金という手続きに進みます。
ちなみに、罰金ついて法律で次のように決められています。
第四条第一項の規定に違反した者(地域別最低賃金及び船員に適用される特定最低賃金に係るものに限る。)は、五十万円以下の罰金に処する。
第四条第一項とは、最低賃金を守りなさいということ。
これを違反したら、五十万円以下の罰金を払いなさいということですね。
さらに別の項目で、次のことをおこなったらまたは、やらなかったら三十万円以下の罰金になると書かれています。
- 行政から賃金に関する報告を求められて報告しない、または虚偽の報告をする
- 立ち入り調査を求められたとき、こばんだり妨害する
罰金の内容にはもう一つあって、これは「あまり守られていないかも」しれません。
最低賃金の適用を受ける使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該最低賃金の概要を、常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければならない。
最低賃金法 第八条
つまり、次のような意味です。
自分が最低賃金だと知らない人も多いのではないでしょうか?
この記事内で最低賃金は毎年改定されると書きました。
つまり最低賃金で働いている場合、毎年お給料が更新されるのです。
ですが最低賃金だと伝えていなければ、パート従業員がそのことに気がつかないかもしれません。
それを狙って…というのは言い過ぎかもしれませんね。
会社は知らないんだなと思って、罰金になる前に教えてあげるといいかもしれませんね
パート代が最低賃金額を下回っていたときの対処法
先ほども書きましたが、最低賃金額は、毎年10月頃に改定されます。
すると、パートで働き始めたときは、最低賃金を上回っていたとしても…
改定された時点で、最低賃金を下回ることがあります。
そのまま放置したら、会社は最低賃金法違反をしていることになってしまいますね。
違反になるまで待ってもいいですが…
「今の最低賃金額よりも自分の時給が低いので給与を見直してください」と会社に対して請求した方がいいですね。
では、具体的にどのような対応をしたらいいのでしょうか。
改定後に最低賃金を下回ってしまったケースだけでなく、元から下回っているケースも含めて紹介しますね。
会社に申し出る
まずは穏便に会社に申し出ます。
従業員から申し出があったら、会社は時給を最低賃金額と同じまたはそれ以上に時給に変更しないといけません。
申し出ても無視をされたり、職場移動や解雇などの不利益な対応をされたら、労働基準監督署に相談してください。
労働基準監督署に相談する
「会社に申し出たけれど、どうにもならなかった」
こんな人の他にも、会社の雰囲気的に申し出ることができないというケースもありますよね。
これらの場合は、労働基準監督署に相談してみてください。
労働基準監督署というのは、労働に関する警察署のような役目をしているところです。
でも、「相談したら嫌がらせをされたり、首になったりしないの?」という不安があるという人もいると思うんです。
こういった場合は、相談に来た人の名前を伏せて調査をしてほしいとお願いすることもできます。
安心して相談してみてくださいね。
最低賃金は、法律で定められている労働者が認められている最低限の保障です。
つまり、最低賃金法という法律は、賃金に対してだけではなく労働者のことも法律で守っているということなんです。
そのため労働者が最低賃金の相談をしたとしても、雇用主は不当な嫌がらせや解雇ができないんです。
最低賃金以下のパート代しかもらえていない場合は、泣き寝入りしてしまうのではなく、きちんと対応をして必要最低限の保障を確保するようにしてくださいね。
全国の労働基準監督署の所在地は、こちらから調べることができます。
労働者には申し出る権利があります
最低賃金法では、労働者が行政に申し出るのは権利だと書いてあります。
労働者は、事業場にこの法律又はこれに基づく命令の規定に違反する事実があるときは、その事実を都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官に申告して是正のため適当な措置をとるように求めることができる。
2 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
さらに、申し出て不当な対応をしてはいけないと決められているんですね。
第三十四条第二項の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する
(第三十九条)
上で書きましたが、泣き寝入りしないでくださいね。
最低賃金額は過去に戻って請求することができる
最低賃金は、現在の時給だけではなくて過去に戻って請求することも可能です。
今まで支払ってもらった給料のうち、最低賃金を下回っていた給与に関しても請求することが可能だということです。
最低賃金について確認する場合は、過去にもらったお給料に関してもしっかり確認しておきましょう。
まとめ
最低賃金というのは、労働者が安心して生活を営むことができるように、雇用主が労働者に対して最低限支払わなければいけない金額を法律によって定めたものです。
最低賃金額が下回っていた場合は、過去の分も含めて会社に請求することができます。
自分では会社に請求しづらい場合は、近くの労働基準監督署に相談してみましょう。
この場合、匿名や相談者の名前を伏せてもらった状態で調査をしてもらうことも可能なので、安心して相談してみてください。
最低賃金以下の給与しかもらっていないことがわかったときは、泣き寝入りせずにしっかり会社に請求してくださいね。