『扶養控除申告書』は提出しないと毎月の手取りが減るってホント?
パートでも正社員でも仕事を始めると、会社から『扶養控除申告書』を書くように言われます。
さらに年末になると、また書くように言われます。
でも
とか
すてちゃっていい?
って思っていませんか?
実は調べてみると・・・
扶養されている・されていないに関わらず、必ず提出しないといけないということが分かりました!
しかも提出しないとペナルティがあるようなんです。
パートでも正社員でも、扶養控除申告書を提出しないと・・・
なんと、毎月のお給料が減ってしまうんです!
それはなぜなのか?
気になって調べてみました。
ということで、この記事では、
- 申告書がなぜ必要か
- 申告書の目的
- 申告書の書き方
など、調べてみてわかったことについて、紹介します。
扶養控除申告書とは?提出しないとどうなる?
扶養控除申告書は、正式には『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』という名称です。
もし扶養控除申告書をもらっていないという方。
すぐに人事担当者からもらってください。
実はこの申告書を提出してない人は、
- 普通よりも多く税金をとられてる
- 無税なのに税金をとられてる
なんてことが、今おこっています。
おこっているかもしれない・・・ではありません。
おこっているんです。
「え、まじで?」
まじです。
まずは、その理由から紹介しますね。
■ どうなる1 ■
源泉徴収額(所得税)に差がでる
パートで働いて、毎月もらうお給料。
実は今年分の所得税が、毎月引かれています。
例えば給与明細を見ると、『所得税』という欄があるはず。
この所得税欄、別名、『源泉徴収』といいます。
この源泉徴収の金額が、扶養控除申告書を出すか出さないかによって、大きくかわるんです。
源泉徴収とは
所得税法では、年収が確定したら、その金額を元に所得税を計算して一括で国に納めます。
しかし一度に納めるのは負担が大きい・・・
だから、毎月の給与額に応じて、所得税を前払いするのが源泉徴収です。
ちなみに住民税は、源泉徴収ではありません。
なぜなら住民税は、昨年の分の税金を分割して、徴収しているからなんです。
所得税と住民税の納税時期については、税金はいつ払う?で紹介しているので、気になる方はチェックしてみてくださいね。
源泉徴収税額の求め方はどうなる?
源泉徴収の税額は、『給与所得の源泉徴収税額表』という表を見て、きめられます。
源泉徴収は、扶養控除や配偶者控除も考慮されています。
この表を見ると、給与の額と扶養親族等の数で、源泉徴収額が決まっているのが分かりますね。
例:給与が12万円の場合
扶養親族がいない場合の、源泉徴収額は1,850円。
一人の場合は220円と、その差は1,620円もあります。
年間にすると19,440円の差。かなり大きいですね。
ちなみに扶養控除や配偶者控除は、38万円です。
所得税率が5%(最低税率)の時、38万円が控除されることで19,000円の減税になります。
この金額を月額にすると、1,583円。
先ほどの差額と、ほぼ同じですね。
先ほども説明したように、源泉徴収額は給与明細では『所得税』として書かれています。
『給与所得の源泉徴収税額表』とお給料の額を照らし合わせてみて、いくら源泉徴収されているか、確認してみてくださいね!
『扶養控除申告書』で扶養親族等の数を調査
では源泉徴収の扶養親族の申告は、どのようにして、おこなうのでしょうか。
それが『扶養控除申告書』なのです。
会社は扶養親族等の数を、扶養控除申告書で調査することになっています。
つまり会社は従業員に、扶養控除申告書を提出してもらわないと、親族数に応じた源泉徴収計算ができないんです。
そのため申告書の裏面には、
最初の給与の支払を受ける日の前日までに、給与の支払者に提出してください。
と記載されているんです。
もし入社時に用紙をもらっていない人は、すぐに会社に確認してくださいね!
ただしパートなどで仕事をかけもちしている場合は、扶養控除申告書を提出できない場合があります。
この記事の2か所で働く場合は1か所に提出で紹介しているのでチェックしてみてください。
扶養内で働くなら『扶養控除申告書』は提出しなくていい?
扶養内で働きたいのに扶養控除の申告書を出したら、扶養から外れてしまう・・・
と思って、申告書を出さないって人もいるようです。
しかし扶養控除申告書は、扶養する親族がいるかどうか調査するための用紙です。
一人なのか二人なのか、それとも扶養している人がいないのか・・・これを把握するんです。
だから、申告書を提出したからといって、扶養から外れることはありません。
それどころか、扶養控除申告書を提出しないと大きなペナルティがあるのです!
そのペナルティとは、源泉徴収の『乙欄』と呼ばれているものなんです。
※ちなみに、扶養控除申告書を提出した時に見る欄は『甲欄』です。
扶養控除申告書が提出されない場合、会社は乙欄を見て源泉徴収することになっています。
そして乙欄で計算すると、税額が給与の3%以上になります。
扶養控除申告書を提出していると、給与額が9万円だったら0.2%の180円。
しかし提出していないと・・・3200円。3.5%です。
大きな差がありますね。
さらに問題なのが、本来なら無税な金額でも源泉徴収されることなんです。
扶養控除申告書を提出していると、給与額が8万8000円未満だったら源泉徴収されません。
しかし提出していないと、給与額に一律で3.063%かけた金額が徴収されてしまうんです。
2,690円です。
本当に損ですよね。
扶養控除申告書は、会社によっては、パート従業員に対して渡していないことがあります。
渡していたとしても、積極的に回収をしていないケースもあります。
パート従業員が扶養控除申告書を提出しなくても、乙欄で計算するだけ・・・会社としてはデメリットがないんです。
逆に提出するように求めると、質問が来た時に説明するのがメンドウなのです。
扶養控除申告書を提出すると、損をすると思っている人がいますが、それは間違いです。
損をしないように、申告書は必ず出すようにしてくださいね!
源泉徴収の給与額と扶養親族とは
では次に『給与所得の源泉徴収税額表』について、もう少し詳しくみていきます。
左側に『社会保険控除後の給与額』とありますね。
これは文字通り、給与の額から社会保険を引いた金額です。
共働きで夫の社会保険に入っている場合は、自分で払っていないので差し引かれません。
ただし週20時間以上働いている場合は、雇用保険に入ることになっています。
この場合は、雇用保険の金額を差し引きます。
真ん中の『扶養親族等の数』は16歳以上の『6親等内の血族及び3親等内の姻族』です。
子供や孫、両親や祖父母はもちろん、甥や姪、いとこやはとこも含みます。
表にしてあるので、チェックしてみてくださいね。
クリックで拡大されます
そうなんです!・・・ですが・・・
共働きで、配偶者側で扶養親族の申請をしている場合は、あなた側では申請できないんです。
この場合、あなたの扶養親族は0人になります。
妻と夫の両方で申請して、源泉徴収を少なくしようと思ってもできないんです・・・
ですが子供が二人いて、夫に上の子を、妻に下の子を・・・と分け合うことは可能です。
詳しくは、こちらをチェックしてみてくださいね。
■扶養対象を夫婦で分けることも可能
親族の数は市(区町村)で把握しています。
間違えて記入すると、指摘されてしまうんです。
そして、税金を後でまとめて追加で納めることになるので、注意しましょう!
また源泉徴収額の計算対象は、扶養親族等となっていて、配偶者も含まれます。
ただし夫婦共働きの場合、お互いを対象にすることはできません。
夫、または妻のどちらかだけです。
源泉徴収の扶養親族は夫婦どちらに分ける?
では扶養親族の申請は、妻と夫、どちらですると損をしないのでしょうか?
夫婦共働きの場合、扶養親族は収入が多い方で申請するのが合理的なんです。
源泉徴収のために申請した扶養親族の数は、そのまま年末調整で扶養控除などの計算に使用されます。
そして扶養親族の数が多ければ多いほど、控除額が多くなります。
もし収入が少ないと、年収よりも控除額が多くなってしまうかもしれません。
マイナスになった分は、切り捨てられてしまうので、もったいないんです。
また所得税は、課税所得が多いほど税率が高くなります。
そして同じ控除額でも、税率が高いほど減税額が多くなります。
■例:控除額38万円の場合
妻の課税所得80万円の場合の税率5%
=> 38万円の5% = 1.9万円の減税
夫の課税所得350万円の場合の税率20%
=> 38万円の20% = 7.6万円の減税
なお課税所得については、こちらで紹介しているので、チェックしてみてくださいね。
■パート(給与所得者)の税金の仕組み
このように、夫婦のうち収入が多い方で、扶養親族の申請をした方がお得なんです。
そんな理由から、夫が会社員で妻がパートの場合、子どもと妻を夫の源泉徴収額の計算対象にして、妻は対象人数ゼロにするのが一般的です。
■ どうなる2 ■
年末調整してもらえない
『扶養控除申告書』を提出する目的の二つ目は、『年末調整をしてもらう』ということです。
年末調整すると、源泉徴収で払い過ぎた税金が戻ってくるんです。
年末調整するとどうなる?
実は源泉徴収は、本来支払うべき所得税額よりも、多く払うようにできています。
源泉徴収される総額(一年分):8,640円 > 計算後の所得税の税額:8,500円
源泉徴収額:720円 × 12か月 = 8640円
所得税額の課税対象: 120万円(年収)-65万円(給与所得控除)-38万円(基礎控除) = 17万円
所得税額:17万円 × 5%(税率) = 8,500円
給与が月30万円の場合、『甲欄』で計算すると・・・
源泉徴収される総額(一年分):101,040円 > 計算後の所得税額:98,500円
源泉徴収額:8,420円 × 12か月 = 101,040円
年収:30万円 × 12 = 360万円
給与所得控除後の金額:234万円
末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表より
所得税額の課税対象:234万円 – 38万円 = 196万円
所得税額:196万円 × 10%(税率) – 97,500円(控除) = 98,500円
このように源泉徴収されている金額と、実際の所得税に差が出るんです。
そこで年収が確定したら、いろいろな控除などを含めて正しい税額が計算されます。
そして、すでに徴収している金額と、正しい税額との差額が還付されるんです。
自分は税金を払うほど働いていない・・・と思っていても、実は働き方によっては、源泉徴収されていることがあります。
例えばパートの給与で毎月6万円もらっていて、3カ月だけ10万円こえていたすると・・・
年収: 6万円 × 9カ月 + 10万円 × 3カ月 = 84万円
収入がパートのみの場合、103万円まで所得税がかからないので84万円なら無税です。
ですが
『給与所得の源泉徴収税額表』を見ると、10万円の月は720円を差し引かないといけないことになっているのです。
3回で2160円です。
これは所得税を2160円も、前払いしているということなのです。
年末調整することで、多く引かれていた2160円が戻ってきます。
また扶養控除や生命保険の控除などがある場合は、それらの控除を考慮して正しい税額を計算してもらえます。
(生命保険の控除は、別紙の『給与所得者の保険料控除申告書』を提出します。)
年末調整されないと本当に損をしている
扶養控除申告書を提出していないと、先ほど紹介した年末調整をしてもらえません。
また、もう一つ前で紹介した源泉徴収が、『乙欄』で計算されます。
するとどうなるのでしょうか?
源泉徴収が『乙欄』計算されると、毎月かせいだお給料の、最低でも3%が差し引かれます。
これはあきらかに、とりすぎです。
例
年収120万円の時、税額は・・・8500円
(120万円-65万円-38万円) x 5% = 8500円 年収の0.7%
『乙欄』計算されていると・・・3万6000円
120万円 x 3% = 3万6000円
3万6000円 – 8500円 = 2万7500円も多くとられてる!
なのに・・・扶養控除申告書を提出してないから、年末調整されない・・・
多くとられた分が、返ってこないんです。
パートを始めると会社から、扶養控除申告書を書くように言われることがあります。
でも
すてちゃっていい?
って言って、出さないでいると、払わなくていい税金を払うことになるんです。
なので、仕事を始めたら必ず提出してくださいね!
会社の担当者が、用紙を渡すのを忘れていた、だけならいいのですが・・・
意図的に配布していないのなら、会社として問題があります。
まずは職場の先輩に、扶養控除申告書を書いたことがあるか聞いてみてくださいね。
年末に仕事を辞めた場合
会社を辞めてしまうと、年末調整をしてもらえません。
つまり、払い過ぎた税金が戻ってこないんです。
国税局としては、税金が多く入って来てウハウハですね。
くやしーい!という人は確定申告をしましょう。
払い過ぎた税金が戻ってきますよ。
ただし年内に別の会社に転職した人は、その会社で年末調整してもらえます。
前の会社から『源泉徴収票』をもらって、新しい会社に提出しましょう。
「年末ギリギリで、ちょっと不安」という人は、担当者に相談してみてくださいね。
■ どうなる3 ■
住民税に影響する
扶養控除申告書を提出する目的の三つ目は、市(区町村)に扶養している親族を報告することです。
地方税法の第四十五条の三の二によると、給与所得者は最初に給与の支払を受ける日の前日までに、扶養親族の氏名を報告しなくてはいけません。
その申告書を、扶養控除申告書は兼ねているんです。
では市に扶養親族を報告すると、どうなるかというと・・・
住民税の非課税額が上がるんです。
住民税の非課税額は次のように決められています。
■扶養親族がいない場合
合計所得が『35万円』をこえると、住民税の所得割の課税対象になる
■扶養親族がいる場合
合計所得が『 35万円 ×(自分+扶養人数)+32万円 』をこえると、住民税の所得割の課税対象になる
※扶養人数には控除対象配偶者(所得が38万円以下)も含まれます
例えば共働きで妻・夫共に十分な収入があって子供が二人いる場合、扶養人数は二人です。
なので、合計所得が 35万円 × (1 + 2) + 32万円 = 137万円まで住民税の所得割が非課税になります。
収入が給与のみの場合、所得が137万円だと年収が約220万円です。
年収が220万円以下なら、住民税が免除されるのです。
16歳未満の子供も対象
住民税の非課税計算は、16歳未満も対象になります。
源泉徴収や扶養控除の計算は、16歳以上。
この点が、異なるので区別しておきましょう。
さて先ほどの扶養人数は二人の例で、所得が137万円以下なら非課税と書きました。
しかし夫がこの金額以上かせいでいるなら、あまり関係のない話ですね。
ですがもし、あなたの収入が137万円以下だったらどうでしょうか?
あなたの扶養にすれば住民税が非課税になって、とてもオトクですよね!
ただし子どもが16歳以上なら、扶養控除が適用されるので、所得税率が高い夫側で申請した方がトクです。
しかし16歳未満なら扶養控除に影響しないので、妻側で申請するメリットがあります。
注意しないといけないのが、扶養申請していないと会社の子供手当や健康保険を受けられないことがある点です。
ケースバイケースなので、一度会社に確認してみてくださいね。
ちなみに、住民税の計算は扶養人数が考量されません。
扶養人数は、税金を徴収するか・しないかの判断だけに使用されます。
そのため、数万円違うだけで・・・
合計所得 | 住民税 | 課税対象 | 徴収額 | |
---|---|---|---|---|
ケースA | 136万円 | 10.3万円 | <非課税 | 0円 |
ケースB | 138万円 | 10.5万円 | >非課税 | 10.5万円 |
このように、住民税額が大きく変わることもあるんです。
■ どうなる4 ■
控除を受けられない
『扶養控除申告書』を提出する目的の四つ目は、控除を受けるです。
扶養控除申告書なんだから、当たり前?
実はもっと多くの控除を申請できるようになっています。
扶養控除
16歳以上の扶養親族がいる場合は、扶養控除を受けることができます。
扶養親族については、こちらを見てください。↓
■控除対象扶養親族の条件
扶養控除を受けると税金が減るので、もれなく申請したいものですね。
寡婦控除
寡婦控除は夫と死別、または離婚して、再婚していない人に対しておこなわれている控除です。
シングルマザーは、積極的に利用して欲しい控除なのです。
寡婦控除の対象は『普通の寡婦』と『特別な寡婦』に分かれていて、それぞれ控除額が決まっています。
普通の寡婦
次のどちらかにあてはまる人は、27万円の控除を受けることができます。
次のどちらかにあてはまる人
- 夫と死別していて、自分の合計所得が500万円以下で、子供がいない人
- 夫と死別・離婚していて、子供の合計所得が38万円以下の人
特別な寡婦
次の3つの全てにあてはまる人は、35万円の控除を受けることができます。
次の全てにあてはまる人
- 夫と死別・離婚している
- 自分の合計所得が500万円以下
- 子供がいる
寡夫控除
シングルファザーが適用できる控除です。
次の3つの全てにあてはまる人は、27万円の控除を受けることができます。
- 妻と死別・離婚していて再婚していない
- 自分の合計所得が500万円以下
- 合計所得が38万円以下の子供がいる
寡婦控除は合計所得が500万円以下なら子供がいなくても適用されますが、寡夫控除は子供がいないとダメです。
この点では女性の方が優遇されています。
個人的には税制面で優遇されなくても、男性と同じように働ける社会になって欲しいです。
勤労学生控除
自分が働きながら学生をしている場合、控除をうけることができます。
年齢制限がないので、パートをしながら勉強している人も対象です。
子どもが学生の場合ではないので、注意!
次の条件を全て満たすと、勤労学生控除として27万円の控除を受けることができます。
- 勤労による所得がある。
例:パートやアルバイト - 合計所得金額が65万円以下(給与の場合130万円以下)
- 勤労による所得以外の所得が10万円以下
例:株など - 特定の学校の学生、生徒であること
障害者控除
本人・配偶者・扶養親族が一定の障害を持っている場合、障害者控除として27万円から75万円の控除を受けることができます。
条件は、こちらを確認してくださいね。
■No.1160 障害者控除|国税庁
2か所で働く場合は1か所に提出
この記事は「パートでも扶養控除申告書を提出しましょう!」という趣旨で書かれています。
しかし実は、扶養控除申告書を出してはいけないケースがあるんです。
それは二つ以上の会社から給料をもらっている場合です。
この場合は一か所だけにしか、扶養控除申告書を提出できないことになっています。
- 正社員+パート
- パート+パート
- 派遣+パート+パート
などなど、雇われ方は問いません。
この記事の年末調整してもらえないでも書きましたが、扶養控除申告書を提出しないと、その会社では年末調整してもらえません。
しかも『乙欄』で源泉徴収されているので、通常より多くの税金を前払いしています。
例:給与9万円 扶養親族なし
メイン(申告書提出済) => 源泉徴収180円
サブ(申告書未提出) => 源泉徴収3,200円
そのため2か所以上から給料をもらっている場合は、自分で確定申告しましょう。
※年末調整していない給与額が20万円以上の時、確定申告しなければいけません。
転職する場合は?
扶養控除申告書は同時に二つの会社に提出できませんが、『扶養控除申告書』を提出している会社を辞めて、べつの会社に転職する場合は提出できます。
その際、前の会社を辞める時に源泉徴収票を必ずもらっておくようにしてください。
次の会社に源泉徴収票を提出することで、その分も一緒に年末調整してもらえます。
年内に転職できない場合も、自分で確定申告するなら源泉徴収票は必要です。
確定申告しなくてももらっておいて損はないので、退職時に請求しておくといいですよ。
扶養控除申告書の書き方-平成30年版-
最後に、扶養控除申告書の書き方を紹介します!
ここでは夫婦共働きで、妻が記入すると想定して説明しています。
ですが妻が主婦で夫が記入する場合でも、立場を逆にしてもらえれば参考にできると思います。
なお平成30年から変更されている箇所があるので、
という人も一度確認してみてくださいね!
扶養控除申告書の書き方 index
多くの人が勘違いしている扶養控除申告書を書くタイミング
書き方1.扶養親族がいない(扶養親族を夫側で申請)場合
書き方2.源泉控除対象配偶者
書き方3.控除対象扶養親族
書き方4.障害者・寡夫・寡婦・勤労学生控除
書き方5.他の所得者が控除を受ける扶養親族等
書き方6.他の所得者が控除を受ける扶養親族等
多くの人が勘違いしている扶養控除申告書を書くタイミング
「扶養控除申告書」の書き方を紹介する前に、知っておいて欲しいのが「扶養控除申告書」はいつ書くかということ。
多くの人がその年度の終わりか、翌年の始めだと思っているのではないでしょうか。
実際にその時に渡されるのだから、そう思っていても仕方がありません。
しかし渡された用紙は、来年度の分なんです。
例えば平成30年度の年末に渡される用紙のタイトルには、平成31年度分と書いてあるはずです。
そのため「年度途中で扶養家族が増えたから、扶養控除を受けよう・・・」、そう思って用紙に記入しても、それが適用されるのは来年度になるんです。
今年度分は、昨年末か入社時に記入した、平成30年度用の扶養控除申告書を訂正します。
会社によっては、記入済みの申告書を一緒に渡されることがあるので、その場合は訂正して再提出すれば大丈夫です。
渡されない場合は、担当者に確認してみてくださいね。
なおこの記事ですでに書いてありますが、新規入社の時は「最初の給与をもらう前日まで」に申告書を会社に提出することになっています。
提出していない場合は、源泉徴収を『乙欄』徴収された上で、年末調整されないので非常に損をします。
必ず提出するようにしてくださいね!
書き方1.扶養親族がいない(扶養親族を夫側で申請)場合
申請する親族がいなかったり、勤労学生などの控除を受けない場合は、住所・氏名(印)・生年月日・世帯主を記入して提出すればOKです。
配偶者の有無は配偶者控除とは無関係なので、実態に合わせてどちらかに丸をつけます。
個人番号(マイナンバー)の記入は、会社の指示に従って記入します。
なお左側の、『所轄税務署等』や『給与の支払い者の名称・住所』などが印字されていない場合は、わかるところだけ記入しておけばOKです。
扶養控除等申告書にマイナンバーを書いてしまったら?
マイナンバーは基本的には、記入しなければいけないことになっています。
ですが重要な個人情報なので、マイナンバーが書かれてしまうと企業は厳格に管理しなくてはいけなくなってしまうんですね。
そこで企業の負担を軽減するために、平成29年以降から法律で次のように決まったんです。
企業が従業員のマイナンバーを帳簿で管理しているなら
扶養控除等申告書にマイナンバーを記入しなくてもいい
つまり帳簿で管理できていない企業に勤めているなら、マイナンバーを記入をしないといけないんですね。
逆に管理できている企業で勤めていてマイナンバーを記入してしまうと、企業としては手間が増えるだけなので困ってしまうわけです。
なのでマイナンバーの記入については、会社の指示に従うようにしてください。
もし「書かなくてもいいよ」といわれていたのに、書いてしまったら、悩まないで会社の担当者に確認してくださいね。
従たる給与についての扶養控除等申告書の提出
この欄は、使う人がほとんどいないので空欄でOKです。
この欄は、二つの会社からお給料をもらっていて、二つ目の会社に『従たる給与についての扶養控除等申告書』を提出している時に、〇印を記入します。
『従たる給与についての扶養控除等申告書』を提出すると、扶養親族ひとりにつき『乙欄』から1610円減額した金額が、源泉徴収額として差し引かれます。
ですが・・・
年末調整してくれないので、確定申告しないといけないのは変わりません。
さらに自分は副業をしていると、両方の会社にばれます。
手間とリスクを考えると、従たる申告書は出さない人がほとんどなんです・・・
書き方2.源泉控除対象配偶者
配偶者(夫)を配偶者控除の対象にする場合は、『A源泉控除対象配偶者』欄に記入します。
次の条件を満たす場合、記入できます。
- 配偶者(夫)の所得が85万円以下
- 自分(妻)の所得が900万円以下
- 夫側の申告書に記入していない
- 配偶者(夫)が同じ生計の元で暮らしている・仕送りされている
所得とは年収ではないので注意!
収入が給与のみの場合、年収から給与所得控除した後の金額が所得になります。
具体的には、次のリンク先の表にあてはめます。
■給与所得控除後の給与等の金額の表
年収が161.9万円未満なら、65万円差し引いた金額になります。
161.9万円以上から162.0万円未満なら96.9万円になります。
配偶者(夫)の所得が85万円以下という条件なので、収入が給与のみの場合、年収150万円以下なら記入できます。
この金額に、以前から記入していた方は違和感を感じているのではないでしょうか?
平成29年以前の条件は、所得が38万円以下でした。
しかし平成30年から配偶者控除の見直しで、85万円以下となったのです。(*補足)
以前は配偶者の収入が38万円をこえていて記入できなかったという方・・・条件が緩和されて記入できる可能性があります。
確認してみてくださいね!
もう一点注意があります。
所得額は見積額なので、予定額を記入しまう。
年初に記入することが多いので書けないという人が多いですが、年末に訂正することができるので気楽に記入して大丈夫です。
また見積もり額の下の非居住者である親族は、外国に一年以上住んでいる人を指します。
あてはまる場合〇印をつけて、提出しましょう。
少し細かい話ですが、所得が38万円までが『配偶者控除』。
それをこえると『配偶者特別控除』を受けることができます。
配偶者特別控除は、所得が上がるごとに段階的に控除が減っていきます。
しかし所得額85万円までは、配偶者控除と同額の38万円の控除をうけることができるのです。
『A源泉控除対象配偶者』欄は、38万円の控除を受けるかどうかを確認するのが目的なので、所得が85万円以下なら記入してもOKなのです。
ちなみに扶養控除申告書のA欄は、源泉控除の対象になるかどうか確認するだけの欄です。
実際に『配偶者控除』や『配偶者特別控除』を受けるには、『給与所得者の配偶者控除等申告』を提出する必要があります。
『給与所得者の配偶者控除等申告』は、平成30年から使用される新しい様式です。
年末に配布されるので、記入して会社に提出しましょう。
なお配偶者が非居住の場合は、それを証明する書類を添付する必要があります。
『非居住時の添付書類』については、この後の『書き方3.控除対象扶養親族』で説明しているので、チェックしてみてくださいね。
書き方3.控除対象扶養親族
親族を扶養控除の対象にする場合は、『B控除対象扶養親族(16歳以上)』欄に記入します。
次の条件を満たす場合、記入できます。
- 親族が16歳以上である
- 親族の所得が38万円以下
- 記載する親族を夫側の申告書に記入していない
- 親族が同じ生計の元で暮らしている・仕送りされている
扶養控除の対象が16歳以上なので、ここでは16歳未満の子供を記入できません。
またアルバイトなどで所得が38万円以上、収入が給与のみの場合は103万円以上の時も記入できません。
70歳以上の親族を扶養している場合、同居なら『同居老親等』、同居していないなら『その他』にチェックをつけます。
ちなみに、平成30年度で対象となるのは、昭和24年1月1日以前に生まれた人です。
『同居老親等』に該当(がいとう)すると、所得税で63万円、住民税で45万円の控除。
同居していない場合は、所得税で48万円、住民税で38万円の控除をうけることができます。
仕事を退職した両親の生活費を負担していて、今まで申告していないという方。
もったいないので、この機会に申告してくださいね!
19歳以上23歳未満の親族扶養している場合、『特定扶養親族』にチェックをつけます。
平成30年度で対象となるのは、平成8年1月2日から平成12年1月1日の期間に生まれた人です。
この『特定扶養親族』に該当すると所得税で58万円、住民税で45万円の控除をうけることができます。
かなり大きな控除なので、忘れずにチェックしてくださいね!
扶養親族が留学などで国外に一年以上住んでいる場合は『非居住である親族』に〇印を記入して、『生計を一にする事実』に送金額を記入します。
さらに『親族関係書類』として、
- 戸籍の附表の写しやパスポートの写し
- 外国の政府が発行した親族の名前や住所が記載されている書類
などと、
『送金関係書類』として
- 金融機関の送金明細・依頼書
- クレジットカード利用明細
などを、年度の最後の給与を受け取る前日までに、会社に提出しましょう。
書き方4.障害者・寡夫・寡婦・勤労学生控除
障害者控除、または寡夫・寡婦・勤労学生控除を受ける場合は、この欄を使用して申請します。
最初に申請する控除に します。
障害者にチェックした場合
控除を受ける障害者控除の種類を、右側の欄から選んで
控除対象が扶養親族の場合は、かっこ内に人数を記入しましょう。
次に、障害者控除を受けるのが本人の場合は、『左記の内容』欄に次の内容を記入しましょう。
- 障害の程度(等級)
- 障害の状態、手帳の種類・交付日など
障害者控除を受けるのが、配偶者または扶養親族の場合は、本人の場合の内容にプラスして次の内容を記述します。
- 氏名
- 同居の有無(特別障害者の場合)
- マイナンバー
- 住所
- 生年月日
- 続柄
- その年の所得の見積額
- 送金額(同居していない場合)
ただし、この中で『A源泉控除対象配偶者』欄、『B控除対象扶養親族(16歳以上)』欄に、すでに記入してある内容は省略できます。
寡婦または寡夫にチェックした場合
寡婦・特別の寡婦または寡夫に
した場合、次の内容を『左記の内容』欄に記入します。- 今の状況(死別・離婚・生死不明)
- 子供の氏名・所得の見積額
- 自分の所得の見積額
勤労学生控除にチェックした場合
勤労学生控除に
した場合、次の内容を『左記の内容』欄に記入します。- 学校名と入学年月日
- 所得の種類(パートなら給与所得)
- 自分の所得の見積額
書き方5.他の所得者が控除を受ける扶養親族等
この欄は、妻と夫で複数の扶養親族を分ける場合に記入する欄です
例えば、夫が長男を申告、妻が長女を申告する場合・・・
夫の扶養控除等申告書の、この欄には長女の名前。
妻の同欄には長男の名前を記入します。
ただし記入しなくても特に問題がないようです。
書き方6.他の所得者が控除を受ける扶養親族等
この欄は16歳未満の扶養親族の名前を記入します。
記入するとどうなるのか・・・?
この記事の住民税に影響するで紹介しているので、チェックしてくださいね!
まとめ
いかがでしたか?
『扶養控除申告書』は扶養控除だけでなく税金の前払いや年末調整の有無にも影響します。
所得税を払う必要がない年収にもかかわらず、徴収されてそのままというケースもあるので、必ず提出するようにしましょう。
またパートで共働きで働いているなら、税金について知っていないと思わぬところで損をしているケースがあります。
最低限知っておいた方がいい知識をこちらにまとめてあるので、一度チェックしてみてくださいね。
■【保存版】パートの税金について・意外と多い収入が減る8つの壁とは