パートでも忌引き休暇でお給料もらえるのか
朝起きて知らされた身内の不幸。
とても悲しいけれど、一方で
「今日のパートどうしよう。忌引きで休んでもお給料もらえるのかな?」
と冷静に考えてる自分がいる…
別に不謹慎なことではありません。
生活のために働いているなら、当然の疑問です。
そこで今回は、
- 法律で忌引きはどうなっているのか?
- 忌引きの取り方
- アフターフォロー
などについてまとめてみました。
労働基準法には忌引き休暇がない!?
忌引きって法律でどう決められているのか、ご存知ですか?
実は労働基準法には忌引き休暇についての記載が一切ありません!
そのため各事業所つまり会社は、忌引き休暇を労働者から求められても、与える義務は一切ないのです。
ですが実際には、多くの会社で慣例的に忌引き休暇の制度を導入しています。
しかし正社員だけに忌引き休暇を与えていたり、忌引き休暇を与えたとしても、休暇中の給料は与えていなかったりと、事業所によって条件は様々です。
特にパート社員に対しても正社員と同様に忌引き休暇を与えている事業所は意外と少なく、全体の40%程度にとどまっています。
正社員に対して忌引き休暇を実施している事業所は80%程度となっているのでこの差は大きいですね。
慶弔休暇(結婚・出産・忌引き)の実施状況が厚生労働書で調査され公表されています。
平成28年パートタイム労働者総合実態調査の概況によると、
- 正社員に実施 79.4%
- パートに実施 40.3%
ちなみに平成23年実施分は、次のようになっています。
- 正社員に実施 82.7%
- パートに実施 42.2%
23年から28年の5年間で、2%下がっています。
もしかしたら、今後も下がり続けるかもしれませんね。
忌引き休暇があるかどうかは会社次第
では忌引き休暇の有無はどこで決まるのでしょうか。
それは各事業所の職務規定です。
職務規定は「就業規則」とも呼ばれていて、労働基準法やその他の法律に触れない限りは各事業所が好きなように決めることができます。
多くの事業所では職務規定の中で年次有給休暇の他に病気休暇などの特別休暇を設けています。
忌引き休暇はその一種です。実際には冠婚葬祭などまとめて、慶弔休暇として規則を設けています。
ただ「慶弔」には喜ぶという意味があるので、不幸があった場合は忌引きとして申請するケースが多いようです。
職務規定の中で忌引き休暇がパートに対しても設けられているのであれば、事業所は忌引き休暇の申し出を断ることが出来ません。しかし給料に関しては「有給である」という記載がない限り、貰うことは不可能です。
職務規定の中で忌引き休暇が設けられていなかった場合には、有給休暇を利用することになります。
パートには有給休暇がないと思われがちですが、6か月以上継続して勤務している場合には取得することが可能です。
有給休暇は忌引きと異なり、法律で規定されています。
パートタイム労働者など、所定労働日数が少ない労働者についても年次有給暇は付与されます。
しかし正社員だけでなく企業の経営者までもが、パートは有給がとれないと認識していることがあります。
この場合有給を下さいと言ってももらえないのが現状です。
法律で決まっていると訴えても、すぐに企業が有給休暇を支給することはほぼありません。
有給が必要になる前に、同じ職場のパート仲間に有給をとったことがあるか、一度聞いて確認しておくようにしましょう。
一般的な忌引き休暇は何日?
忌引き休暇の日数も各事業所が職務規定で定めています。
では一般的な日数は大体何日間くらいなのでしょうか。
まず、配偶者が亡くなった場合が最も長く、大体10日間前後となっています。
その次に長いのが父母で、約7日間前後です。
子はその次に長く5日間前後という事業所が多くなっています。
その次が兄弟姉妹、祖父母、配偶者の父母で3日間です。
そして孫、叔父叔母、配偶者の祖父母、配偶者の兄弟姉妹が最も短く1日間となっています。
続柄 | 一般的な忌引き休暇の日数 |
---|---|
配偶者 | 10日前後 |
父母 | 7日前後 |
子 | 5日前後 |
兄弟姉妹 | 3日 |
祖父母 | |
配偶者の父母 | |
孫 | 1日 |
叔父叔母 | |
配偶者の祖父母 | |
配偶者の兄弟姉妹 |
忌引き休暇の日数は故人との関係の深さを基に決められていることがほとんどです。
しかし、人によって故人に対する思い入れは様々です。
そのため事業所によっては、交渉次第で忌引き休暇の日数を延ばすことも可能でしょう。
またお葬式のために遠方へ行かなくてはならないという場合にも例外が認められるかもしれません。
給料の貰える貰えないを変えることはほぼ不可能ですが、忌引き休暇の日数を変えることはそれほど難しくありません。
もし事業所から提示された日数が自分の都合に合わないのであれば「パートだから」と諦めたりせずに交渉することをおすすめします。
連絡は電話?それともメール?
忌引き休暇を取得しなければいけないという事態は、急にやってくることがほとんどです。
だから忌引き休暇が必要になったら早急に事業所に連絡を入れるようにしましょう。
基本的には電話で連絡を入れるのが良いです。
何故なら口頭で伝えることが社会的なマナーとなっているからです。
しかし早朝や深夜には電話することができない場合もあります。
そうした際にはメールで伝え、後で改めて電話をします。
どちらの場合でも必ず、自分とどういう関係の人が亡くなったのかということを伝えるようにしましょう。
また給料に関しても、貰えるか貰えないか分からない場合には電話で聞いても良いかもしれません。
パートだからと言って連絡もせずに勝手に休むことは絶対にやめましょう。
無断欠勤になってしまいますよ!
休ませてくれない時は?
忌引きの電話をしたら、認めてもらえない。
こんなケースもあります。
一人一人の作業量が多くて、休まれると他の人がフォローできない場合など、上司の個人的な判断で出社するように求められるのです。
もっとひどいパターンは、会社全体で忌引きができない雰囲気を作っているケースです。
「俺は親の葬式に出られなかった」
だからお前も仕事を優先させろ。
日ごろから自慢のように上司が口にしていると、休めない雰囲気になります。
いずれにしても、できる行動は休むか休まないかだけです。
個人的には休むことをおススメします。
後でお葬式に行けなかったことを後悔しますし、出席した親族がとても残念に思うからです。
葬儀への出席は社会的に優先されます。
そのため忌引きという理由がある場合、基本的に職場から何か言われたりペナルティを受けることはありません。
もしペナルティを受けるなどしたら、そこで働き続けるかどうかを考えてみた方がいいかもしれませんね。
職場の人へのアフターフォローが大事
パートとは言え給料を貰って責任ある仕事をしている身です。
忌引き休暇から復帰した後には必ず社員や同僚のパートの方に迷惑をかけてしまったことに対する謝罪と、代わりに仕事をしてもらったお礼をしましょう。
またお礼の気持ちとして職場で分けて食べられるようなお菓子を持っていき、「今日からまた頑張って働きます」という意思を表示するのも良いですね。
お葬式のために遠方へ行っていた場合には地方の名産品などを買って行きましょう。
お礼の意味だけでなく、葬儀に行ってきた証拠にもなります。
ズル休みの理由を忌引きにするのはNG!
中にはパートをズル休みするために、忌引き休暇を利用している人がいます。
しかしそれは絶対にやめましょう。
何故ならば忌引き休暇をするにはきちんとした書類の提出を求められることがほとんどで、後々面倒なことになる可能性が非常に高いからです。
また香典が送られる可能性も十分に考えられます。
その他にも、職場の方にも非常に迷惑をかけてしまうことになり、必ず後悔するはずです。
またズル休みをしたかどうかは、一緒に働いているとすぐに気が付きます。
そして信用を失い、本当に忌引き休暇が必要な時に、疑われてしまうことになります。
最悪の場合、解雇される事態にまで発展するかもしれません。
パートとは言え給料を貰って責任ある仕事をしているのだから、忌引きを利用するようなことは絶対しないようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
忌引き休暇できるかどうかは会社の職務規定次第です。
できたとしても無給というケースが少なくありません。
法律で忌引きについて定められていないので、忌引き休暇は会社次第。
必要になる前に一度、職務規定を確認しておいてくださいね。
また仕事中や通勤中に怪我をしたり病気になった場合、労災を使うことがあるかもしれません。
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