退職後の失業保険手続きマニュアル
会社を退職することを決めて、そのあとは失業保険をもらいながら少しのんびりしたいなと考えたことがある人も多いんじゃないかなと思います。
実は、私も同じことを考えた経験があるのですが、失業保険は仕事をしたいと思っているのに、自分のできる仕事が見つからない場合や、早く仕事をしたいのになかなか採用されなかった場合に、生活の援助をするために支給されるものなんですね。ですので、求職活動をしっかり行っていないとお金をもらうことができません。
今回は失業保険の手続きの方法について詳しくご紹介します。
すぐに仕事が見つからなかったらどうしようなど、求職活動中の生活に不安があるという人は、この記事を参考にできるだけ早く手続きをしておくようにしてください。
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失業保険の手続きの前に失業保険の受給資格があるか確認しておこう
失業保険は、「基本手当」と呼ばれています。基本手当(失業保険)をもらうためには、雇用保険に加入している必要があります。
退職した会社もしくは退職日以前の2年間の期間で働いた会社で、通算して1年以上雇用保険に加入していなければならないなど、受給するためにはいくつかの条件があります。
まずは受給資格の条件を知って、自分に受給資格があるのかについて事前に確認しておきましょう。
基本手当(失業保険)とは
基本手当(失業保険)とは、離職した会社(※勤務期間が短い場合は、その前の会社で加入していた雇用保険の加入期間も合算することができる)で雇用保険をかけていた労働者が、すぐに次の就職先が見つからない場合に、仕事が見つかるまでの生活を援助するために支払われるお金のことをいいます。
雇用保険に加入していれば誰もがもらえるというわけではありません。基本手当をもらうためにはいくつかの条件があり、そのすべてを満たしている必要があります。
基本手当(失業保険)が受給できる人とは
基本手当を受給するためには、以下の2つの条件を満たしていなければなりません。
1. 規定の期間、雇用保険に加入していた
2. 働く意思がある
条件の内容についてさらに詳しく説明します。
雇用保険の加入期間
雇用保険の加入期間には以下のような条件を満たしている必要があります。
「退職した日より前の2年間に雇用保険に加入していた期間が1年以上あること」
これは、直近で働いていた会社で雇用保険を1年以上加入していれば問題なく条件を満たします。
今まで働いていた会社で働いていた期間が1年に満たない場合でも、その前の会社で働いていた会社で雇用保険に加入していたなら、合算することができます。
※ただし失業保険の受給を受けていた場合は、条件に当てはまらないケースがありますので、注意してください。
働く意思の有無
基本手当(失業手当)は、今まで頑張って働いていたことに対しての、ご褒美と思っている人が多いですが、違います。
基本手当(失業手当)は、
・働ける状態でかつ本人も仕事をしたいという意思がある
・採用してもらえないなどの理由で、仕事をすることができない
という状態のときに、生活の援助をするという意味で支給されるものです。
そのため、
・働く意思がない
または、
・意思が合っても働くことができない
場合は支給してもらうことができません。
では、具体的に「働くことができない」「働く意思がない」とみなされる状態とはどんな状態のことをいうのでしょうか。
働く意思がないとみなされる状態とは
働く意思がないとみなされる人というのは、採用された状況になったとしてもすぐに働かないと決めている場合や、働ける状態にない人のことをいいます。
具体的には以下の状態のことをさします。
・病気やけがのため、すぐには就職することができない人
・妊娠・出産・育児のため、すぐには就職することができない人
・定年などで退職し、しばらく休養しようと決めている人
・結婚などにより家事に専念したいと決めているため、すぐに就職することができない人
基本手当(失業保険)を受給するための手続きと主な流れ
どこかで雇用してもらって働くというスタイルを考えている場合、本人が働きたいと希望していたとしても採用してもらえなければ働くことができません。
在職中に次の職場が決まっているという人以外は、基本手当(失業保険)の手続きが取れるように在職中に準備をしておきましょう。
会社を辞める前に必要な書類の作成を依頼しておこう
基本手当(失業保険)を受給するためには、ハローワークに必要な書類を持っていき、受給に必要な手続きをする必要があります。
その書類の中に、退職する前に働いていた会社で作成してもらわなければいけない書類があります。
会社の中には、依頼をしないと発行してもらえないケースもありますので、次の職場が決まっていない人は、退職前に前の会社に必ず発行してもらうように依頼しておきましょう。
基本手当(失業保険)を受給の手続きをする際に必要になる書類の中に「離職票」があります。
離職票には1と2の二種類があります。
離職票は、就職していた会社の離職証明書に基づいて、ハローワークが交付するもので、退職した会社より郵送で送られてきます(会社によっては取りにくるよう指示があるケースもあります)。
通常は、会社を辞めてから2週間~1か月ほどの間に郵送されてくることが多いようです。
必要な書類をそろえる
基本手当(失業保険)の手続きをする際に以下の書類が必要になります。「会社を退職時に会社から返却してもらうもの」、「退社後に郵送で送られてくるもの」などがありますので必要な書類をしっかりそろえておきましょう。
1. 離職票(退職した会社から郵送で送られてきます。
2. 雇用保険被保険者証(会社を退職時に返却してもらうことが多いです。
長方形の細長い書類で、会社によっては年金手帳などにホチキスで留められていることがありますので、見当たらなかった人は確認してみてください)
3. 証明写真((縦3cm×横2.5cm)2枚)写真は、就職活動を記録する書類などに使います。2枚準備しましょう。
4. マイナンバーを証明するもの
マイナンバーカードまたは通知カード(マイナンバーの記載のある住民票も可)
5. 本人確認ができる官公庁発行の写真付きの証明書(免許証等)
6. 印鑑
7. 本人名義の通帳
※指定できない金融機関がありますので、詳しくはハローワークで確認してください。
ハローワークで求職の申請と失業保険を受けるための受給説明会の書類を受け取る
書類が揃ったら、できるだけ早くハローワークに行くことをおすすめします。
理由は、あとの項目で詳しくご紹介しますが、基本手当(失業保険)を実際に受給できるようになるまでには「待機期間」と自己都合で退職した場合は「給付制限」というものがあるため、すぐにお金を受け取ることができないためです。
必要な書類を持参し、ハローワークで求職の申請と失業保険を受け取るための説明会の書類を受け取ります。
休職の申請と失業保険を受け取るための説明や書類の受け取る窓口が違うので、求職の申込をしたときに失業保険の申請もしたいということを担当に人に伝えておくと手続きがスムーズになります。
初回は、2つの窓口での手続きが必要になります。
雇用保険の手続きは、平日(月~金)の8時30分~17時15分となっていますが、16時頃までに行くことをおすすめします。
ハローワークの受給説明会に参加
雇用保険の手続きをすると、受給説明会に参加するように説明があります。
この説明会に参加しないと基本手当(失業保険)を受け取ることができません。
必ず参加するようにしてくださいね。
求職活動
説明会に参加すると、今後の求職活動の仕方や回数、認定日などについての説明があります。
その後、指定された回数の求職活動をしていくことになります。
次に、求職活動は何をすれば認定されるのかについてご紹介します。
求職活動は何をすれば認定される?
初回は、受給説明会に参加すると求職活動1回分として認定してもらうことができます。
その後は、定期的にハローワークに通って、パソコンで求人内容を探し、窓口で手続き(面接などの確認)をしてもらうと求職活動として認定してもらうことができます。
求人誌や新聞の求人欄の閲覧、ハローワークのパソコンで求人の閲覧作業をしただけでは求職活動として認定してもらうことができないので、注意してくださいね。
他にも企業説明会に参加したり、就職に有利になりそうな資格試験を受験するなども求職活動として認定してもらうことができます。
原則として、このような求職活動を認定日から次回の認定日までの間に2回以上行うことが必要です。
失業の認定
説明会に参加すると、「認定日」が設定され、今後の認定日のわかる書類をもらうことができます。
原則として4週間に1度の「認定日」にハローワークに行き、求職活動をしているにもかかわらず就職に至らなかったという証明をしていくことになります。
認定日は、人によって異なります。
自分の認定日の曜日を確認しておき、認定日には忘れずにハローワークに行くようにしてください。
受給
ハローワークで指定されたとおりに就職活動を行い、規定の待機期間を終了すると、書類に記載した金融機関にお金が振り込まれるという形で基本手当(失業保険)が受給できるようになります。
受給開始までに大きな影響のある「待機期間」や「受給制限」についてもう少し詳しく説明します。
失業保険はすぐにはもらえない?失業保険の待機期間と給付制限って何?
「待機期間」とは、わかりやすくいうと基本手当(失業保険)を受給することができない期間のことをいいます。
退職の理由に関係なく、受給資格の決定を受けてから7日間の待機期間があります。ちなみに、待機期間中は、アルバイトなど収入を得るような行動を取ることができません。
仮にアルバイトや知人から何か作業などを依頼され、それによって収入を得た場合は、収入を得たあとから7日間の待機期間がカウントされますので注意してください。
懲戒解雇など本人の重大な過失があって退職した人を除き、会社都合により退職した人は7日の待機期間が終わると失業保険を受け取ることができます。
ですが、自己都合(自分が辞めたいと思って退職した人)の場合は、さらに3か月の給付制限(失業保険を受給することができない期間)があるので、7日間+3か月間は受給資格がないんですね。
会社の倒産などでやむを得ず会社を辞めなくてはいけなくなってしまったなどの理由がない限りは、3か月以上経たなければ失業保険をもらうことができないのです。
自己都合で退職した人も会社都合で退職した人と同様に1回目の失業認定日から4週間後に2回目の失業認定日がきますが、自己都合で退職した人は給付制限期間中になります。
この時点では失業保険を受け取ることができないので注意してください。
退職理由の「自己都合」と「会社都合」で受給開始日と受給期間が違うって本当?
上記の内容からわかるように「自己都合」による退職と「会社都合」による退職では受給開始日に3か月の違いがあります。
受給期間も下記のように違いがあります。
<会社都合の場合>
会社都合の場合、退職時と雇用保険の加入期間で差がありますが、最大で330日間受給することができます。
<自己都合の場合>
自己都合で退職した場合は、年齢による金額の違いはなくて、雇用保険の加入期間によって受給できる期間が変わります。
会社都合の場合と比べると20年以上加入していた人でも最大150日までなので、会社都合で辞めた人とは日数に大きな差があることがわかりますね。
なお、失業保険を受給できる期間は、原則として1年間です。
手続きが遅くなってしまいますと、上記の日数が残っていた場合でも、受給できなくなりますので早めに手続きをするようにしましょう。
退職 | ||||||||||
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会社より離職票受け取り | ||||||||||
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ハローワークで受付 | ||||||||||
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7日間待機 | ||||||||||
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雇用保険受給にいついての説明会 | ||||||||||
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失業認定(1回目) | ||||||||||
会社都合による退職 | 自己都合・懲戒解雇による退職 | |||||||||
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振り込み | ||||||||||
▼ | 4週間 | |||||||||
失業認定(2回目) |
待機後3カ月間、 給付制限 | |||||||||
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振り込み | ||||||||||
▼ | 4週間 | |||||||||
失業認定(3回目) | ||||||||||
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振り込み | ||||||||||
▼ | 4週間 | ▼ | ||||||||
失業認定(4回目) | 失業認定(2回目) | |||||||||
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振り込み | 振り込み | |||||||||
▼ | 4週間 | ▼ | ||||||||
失業認定(5回目) | 失業認定(3回目) |
会社都合による離職とは
会社都合による離職とは、「会社側の経営不振」「リストラ」「倒産」などを理由に一方的に労働契約を解除され、退職に至った場合のことをいいます。
早期退職制度などに応募して退職したケースも会社都合による退職になります。
自己都合による離職とは
自己都合による離職とは、労働者側の理由で退職したことをいいます。たとえば、「転職」「結婚」「妊娠」「出産」「引っ越し」「家庭の都合」などで退職した場合は、自己都合による退職になります。
まれに、会社都合による退職にもかかわらず、自己都合として処理するように強要されたり、書類に自己都合による退職と記載されることもあります。
その場合は、そのときの状況をハローワークの職員に伝えるようにしてください。その後の「会社都合」「自己都合」の判断は、ハローワークの職員が行います。
※自己都合と会社都合では失業保険の開始時期や受給期間が大きく変わりますので、会社から強要された場合は必ず伝えるようにしてください。
自己都合で退職した場合は3か月間の給与分の資金を確保しておこう
ご紹介してきたように、自己都合で退職した場合は3か月間の給付制限があります。
給付制限期間中にアルバイトなどで生活費を稼ぐことは可能ですが、働く時間や収入によっては、失業保険の金額が減額されてしまうこともあります。
なお、ハローワークに申請せずにアルバイトなどを行うと、不正受給の対象となり処罰されることがありますので注意してください。
可能であれば、3か月間の生活資金をしっかり確保してから退職することがおすすめです。
まとめ
失業保険の手続きって面倒くさそうと思った人もいるかもしれませんね。
ですが、手続きに必要な書類さえしっかりあつめてさえおけば、書類の書き方や就職活動の仕方、受給に関する質問などはハローワークの人に教えてもらうことができるので安心してください。
また、自己都合による退職の場合は、受給制限が3か月あります。
3か月分の生活費を確保しておくこと安心して求職活動をすることできますね。
働かずに失業保険をもらってゆっくり仕事を探すのも1つの方法ですが、1日も早く希望の仕事を見つけて就職することで生活を早く安定させることができます。
この会社に勤めたいというところが見つかった場合は、失業保険を長くもらうことは考えずに、すぐに行動をおこしてやりたい仕事を確実にGETすることをおすすめします。