年末調整の保険料控除の書き方と記入例(令和版)

年末になると会社から年末調整の書類を渡されて、保険料控除などの申請を行います。
保険会社から届いたはがきや封筒で届いた書類を見ながら記載するのですが、ちょっとわかりにくいですよね。

そこで今回は、保険会社の書類のどこを見ればいいのか、計算はどのようにすればいいのかなど、給与所得者の保険料控除申告書の書き方と記入例をご紹介します。

年末調整で控除できる保険の種類

年末調整で控除できる保険は5種類あります。

1.一般生命保険
2.個人年金保険
3.地震保険
4.社会保険料控除
5.規模企業共済等掛金控除

ひとつの保険会社でこれらの保険に複数加入している場合は、1つの書類にすべての内容が記載されていますので、間違えないように確認しながら書類を作成するようにしてくださいね。

一般生命保険控除

一般生命保険控除が受けられる保険には、「定期保険」「終身保険」などがあります。
一般的には、「定期付き終身保険」といって、定期保険と終身保険を組み合わせたものに加入している人が多いと思います。
「養老保険」も生命保険控除の対象になります。
「養老保険」については、個人年金控除の項目でもう少し詳しくご説明します。

個人年金保険料控除

個人年金に加入している場合は、個人年金保険控除を受けることができます。

「養老保険」も貯蓄性のある保険なので、「個人年金」と「養老保険」って何が違うの?という疑問を持つ人もいるかもしれませんね。

「養老保険」は、被保険者が生存している場合は満期保険金が、死亡した場合は死亡保険金が受け取れる保険です。
「養老保険」と「個人年金」は、死亡保障がついているか、いないかの違いがあるんです。

「養老保険」の場合、満期保険金を受け取る前に被保険者が死亡した場合は、満期保険金と同等の死亡保険金を受け取ることができます。
一方、「個人年金」は死亡時の保障はありませんので、年金の支払い開始前に被保険者が死亡してしまった場合は、今までかけた保険料に見合う金額した受け取ることができません。

「養老保険」は死亡保障がついているので、個人年金控除ではなく一般生命保険控除の対象になるので間違えないようにしてくださいね。

※契約者:保険を契約している人
被保険者:保険の対象になっている人

地震保険料控除

地震保険に加入している場合は、一般生命控除、個人年金控除とは別に控除を受けることができます。
控除の限度額は、5万円です。

社会保険料控除

社会保険料控除は、給与から天引きされている場合(ほとんどの人は給与から天引きされています)は、記入の必要がありません。
そのため家族の社会保険料をあなたが支払っている場合に、記入するケースことが多いです。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除の欄は、4つの掛け金について、該当する金額を記入します。

独立行政法人中小企業基盤整備機構の共済契約の掛金

独立行政法人中小企業基盤整備機構とは、小規模企業共済を運営している機構です。

小規模企業共済掛金とは、個人事業主が事業を廃止した場合に退職金に変わる共済金を受けるために払い込んだ掛金のことをいいます。

会社員は加入することができないものなので、会社に勤めている人は対象外ということですね。

確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金

企業型確定拠出年金とは、企業が掛け金を負担する確定拠出年金です。
従業員が掛け金の一部を負担することもあり、その場合は、控除として金額を記入できます。

確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金

個人型確定拠出年金は、個人で加入する確定拠出年金です。
iDeCOとも呼ばれています。

心身障害者扶養共済制度に関する契約の掛金

心身障害者扶養共済は、心身障害者扶養している人が加入できる共済です。

給与所得者の保険料控除申告書

年末調整の保険控除は保険料控除申告書で行います。
平成29年までは保険料控除と配偶者特別控除が同じ用紙でしたが、平成30年から保険料控除専用の用紙になりました。

用紙はその年度専用のものが会社でもらうことができます。
今年(2019年5月1日)から改元され、令和になりましたね。
年号が変更されたので、今年は令和と記載されます。

給与所得者の保険料控除申告書(令和版)

年末調整の生命保険控除欄の書き方

年末調整の生命保険控除の書き方についてご紹介します。
保険会社によって郵送されるはがきや書類のフォーマットが異なります。
記載されている文字を確認するとどの項目に該当しているものなのかがわかりますので、しっかり確認しながら転記していきましょう。

保険会社から郵送されたはがきや封筒を用意する

まずは、保険会社から郵送された「生命保険料控除証明書」を準備しましょう。
万が一紛失してしまった場合は、再発行をしてもらうことができます。
その場合は、加入している保険会社に問い合わせてくださいね。

生命保険の新制度と旧制度の違い

「生命保険料控除証明書」の書類を見ると、保険の種類として「旧」と「新」の2つがあります。
生命保険は加入期間が長いので、1つの書類に両方あるという人もいると思います。

「旧」と「新」は、保険を契約した年でわけられています。

平成24年1月1日以前に契約した保険には「旧制度(または旧)」。
平成24年1月1日以降の契約以降に契約した保険には「新制度(または新)」と表記されています。

ただし、平成24年1月1日以前に契約した保険であっても、平成24年1月1日以降に特約変更や保険の見直しを行った場合は、新制度が適用されます。
長期間加入していても見直しなどをした場合は、「新制度」と書かれているので確認してみてください。

保険の新制度の変更点

前の項目で、保険料控除が変更になったというご紹介をしましたが、平成24年1月1日以降に契約された保険のどの部分が変更されたのかについてご紹介します。

生命保険は、「定期保険」「終身保険」「医療特約」「傷害特約」「災害割り増し特約」など、自分に必要な保障を組み合わせて契約しています。(特約は単体で加入することはできません)

旧制度では、一律で一般生命保険控除として5万円を上限に控除されます。

新制度では、「医療特約」を「介護保険医療控除」として上限4万円。
「定期保険」「終身保険」の部分に対して上限4万円の控除されます。
ただし、「傷害特約」「災害割り増し特約」については控除の対象外です。

 旧制度
最大で10万円まで
新制度
最大で12万円まで
一般生命保険控除5万円まで4万円まで
介護保険医療控除なし4万円まで
個人年金控除5万円まで4万円まで

この表からもわかるように、制度の変更により控除額が2万円増えています。

旧制度と新制度では限度額が異なるので、複数の契約がある人は、年末調整の申告書に記入するときに注意してくださいね。

年末調整の一般生命保険料控除欄の書き方

保険会社から送られてきた書類をみながら、保険控除申告書に転記していきましょう。

保険会社から送られてくる証明書は会社によってフォーマットが異なります。
書類に印字されている文字をみながら転記してみてくださいね。

一般生命保険料控除欄 書き方

一般生命保険料控除証明書

① 生命保険会社の名称(保険相互会社は書かなくてもOK)
② 保険の種類(定期、終身など)
③ 保険期間(15年、終身など)
④ 保険の契約者名
⑤ 保険金の受取人名
⑥ 保険の契約者と受取人の続柄
⑦ 保険の「新・旧」の区分
⑧ 本年度中に支払った保険料(「参考」と書かれているほうの金額を記入してください)
⑨ 新保険料のみの支払った保険料の合計
⑩ 旧保険料のみの支払った保険料の合計

⑪以降は計算が必要なので、計算の仕方と記入例の項目で説明します。

年末調整の介護医療保険料控除欄の書き方

介護医療保険料控除欄 書き方

年末調整の介護医療保険制度に関する内容は、新制度の保険の加入者のみに内容が印字されています。
生命保険者名などは、一般生命保険控除と同様に記載します。

①には、それぞれ「介護医療保険証明額」と記載されている項目の金額を転記します。
複数の保険に加入している場合は、すべて該当する部分を転記してください。

②は、加入している保険が1つの場合は、①と同じ金額を転記します。複数の契約がある場合は、①に転記した契約の合計金額を記載します。

②は、申告書下部にある計算式に当てはめて出た金額を記載します。
計算の仕方と記入例の項目で詳しく説明します。

年末調整の個人年金保険料控除欄の書き方

個人年金保険料控除欄 書き方

年末調整の個人年金保険料控除も、他の項目は一般生命保険控除と同じように記載します。
個人年金も契約した年によって、新制度と旧制度のものがあります。
それぞれ該当するところに転記してください。

①の支払開始日は、個人年金の支払いが開始される日です。
書類に記載されていますので、支払開始日の日付を転記してください。

年末調整の控除額の計算方法と注意事項

保険会社から送られてきた証明書は、保険会社ごとにフォーマットは異なりますが、記載されている項目名はほぼ同じです。
上記の資料を参考に同じ項目名のものを探して転記してみてください。

また、その他にも年末調整の控除額を転記するときの注意点がいくつかあります。

新旧の違いを見間違えないようにする

前にご説明のように、保険の契約した年によって、「新制度」のものと「旧制度」のものがあります。
新制度と旧制度では最高の控除額が異なりますので、間違えないようにしましょう。

限度額以上の保険料は規定の計算式を使って計算をする

保険料の払い込み金額が20,000円以上の場合、規定の計算式を使って申告に必要な金額を算出します。
金額が少ない場合は、保険会社の証明書の書類に印字されている金額をそのまま転記しますが、保険料が20,000円を超えている人は、計算式に当てはめる必要があります。

計算後の金額の記入例

申告書の下部にある下記の計算式を使って、申告に必要な金額を計算します。
計算式も新制度と旧制度で金額が異なりますので、間違えないように注意しましょう。

一般生命保険控除額 計算方法

赤枠が新制度、青枠が旧制度の計算式です。

表の中にある「A」「B」「C」「D」のアルファベットは、一般生命保険料、医療介護保険料、個人年金保険料の枠の中に書かれている部分の金額をさしています。
※下記の図の緑色の枠の部分です。

一般生命保険控除の部分だけを抜粋した書類がこちらです。

一般生命保険控除

これを新制度の計算式で「A」の金額を使って、紫の枠に入れる金額を実際に計算してみます。

・Aに記入した金額が20,000円だった場合、計算式を見るとAの全額と書いてありますね。
この場合、紫の枠に入る金額は、「20,000円」になります。

・Aに記入した金額が40,000円だった場合、計算式を見るとA×1/2+10,000円と書いてありますね。
この場合、紫の枠に入る金額にはいる計算式は、「40,000円×1/2+10,000」になるので、「30,000円」になります。

・Aに記入した金額が80,000円だった場合、計算式を見るとA×1/4+20,000円と書いてありますね。
 この場合、紫の枠に入る金額の計算式は、「80,000円×1/4+20,000」になるので、「40,000円」になります。

支払った保険料が、80,000円を超えている場合は、一律で「40,000円」です。

新旧両方の保険に加入している人は、①と②の両方を計算し、合計額を③に記載します。
②と③のいずれか大きい方の金額を「イ」に記載します。

これと同様に、「B」「C」「D」に記載されている数字を使って控除額を計算してみてください。

その他の年末調整の保険控除欄の書き方

その他の年末調整の保険控除欄の書き方をご紹介します。

地震保険料控除

下記は自信保険料控除欄を抜粋したものです。

地震保険料控除

基本的には、一般生命保険控除や個人年金保険料控除と変わりません。
地震保険の場合は「地震保険料」と「旧長期損害保険料」の区分の違いがありますので、間違いのないように転記してください。

地震保険の計算式は、この画像の中に書かれているとおりです。
必要な金額を当てはめたら、「B」「C」の金額を使って計算してください。

地震保険料の最高控除額は50,000円、旧長期損害保険料の最高控除額は、15,000円です。
支払った保険料がこの金額よりも上回る場合は、一律でそれぞれ50,000円、15,000円になります。

社会保険料控除

社会保険料控除は、通常の場合は会社から天引きされているので記載する必要がありません。
この欄に記載する人は、あなた以外の社会保険料をあなたが支払っている場合のみ対象になります。

社会保険料控除

「社会保険の種類」「保険料の支払先」「誰の保険料を支払っているのか」「あなたとの続柄」「支払った保険料」を記載してください。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除は、会社員は加入することができないのでどこかの会社に勤めている人は対象外になります。
個人事業主でかつ小規模企業共済に加入している人は、書類を参考に記載してください。
なお、共済には「企業型」と「個人型」があります。
加入している方の保険について記載してください。

まとめ

年末調整の書類は年に1度なので、前の年に一生懸命調べながら書いたのに、毎回あれ?となることが多いですよね?
今回は、年末調整の保険控除申告書の書き方についてご紹介しました。
保険会社の証明書の「どこ」を転記すればよいかがわかれば、あとはそんなに難しくありません。

ただし、保険会社によってフォーマットが異なるため、「一般生命保険」「医療介護保険」「個人年金」を見間違えたり、「旧」と「新」を見間違えたり、使う計算式を間違えないように確認しながら記入してくださいね。

 

 

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