パート勤務の産休・育休取得について
パート雇用で働いて、妊娠が分かった場合、どんな事を思いますか?
「妊娠して嬉しい!」
「でも出産後も働きたい」
「パートだけど産休・育休を取りたい」
無事に出産して赤ちゃんを迎え入れた、その先の生活もすごく不安…
だから仕事は辞めたくありません。
一時的にお休みをもらって、その後は働き続けたいですね。
そこで今回は、パートの産休や育休についての制度を私が制度を利用して、職場復帰をした経験も含めてお伝えしていきたいと思います。
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パート勤務でも取得できる!産休・育休制度
産休・育休の言葉そのものは、誰でも知っていると思います。
でも実際にどのようなものかは、詳しく調べる人って少ないのではないでしょうか。
そこでまずはどんな制度なのか、それぞれについてご紹介します。
産休とは?
『産前産後休業』の略です。
労働基準法で定められた、雇用形態に関わらず、妊娠している全ての女性が希望すれば取得できる権利です。
『雇用形態に関わらず』という点も重要ですね。
つまり
ということですね。
産前産後休業の期間は?
■産前休業■
出産予定日までの6週間。
(出産予定日を含む)
日数にすると42日。
■産前休業■
出産日の翌日から8週間。
日数にすると56日。
産前休業は、
予定日と実際の出産日がズレると、その分だけ日数が前後します。
例えば予定日より5日遅かった場合、
42日+5日=47日
と長くなります。
早かった場合はその反対で
42日-5日=38日
と少なくなります。
私も実際、予定日より4日遅かったので産前休業が長くなりました。
長くなることでメリットだったのは、このあと紹介する出産手当金が少し多くなったことです。
産後休業は、
実は必ずとらなければいけないものです。
『出産の翌日から8週間は、働いてはいけない』
と法律で決められているのです。
(労働基準法 第六十五条2項)
ただし本人の希望のうえ、医師が問題が無いと診断したなら、6週間後から働くことが出来ます。
育休とは?
『育児休業』の略です。
基本的に1歳満たない子どもを持つ親が、雇用形態に関わらず、育児をするために会社を休みことができる権利です。
育休も『雇用形態に関わらず』取得できます。
パートでもOKということですね。
さらに育休には、男女の制限がありません。
つまり
ということですね。
ですが男性は、職場によっては取得しにくいのが現状です。
場合によっては嫌がらせを受けることもあります。
詳しくは、こちらの記事をチェックしてみてくださいね。
■パパはパタハラで悩んでる-イクメンパパが会社で受ける嫌がらせとは
育児休業の条件
育児休業取得には条件がいくつかあります。
- 同じ会社で一年以上働いている
- 取得時点で、子どもが1歳になるまでに退職または雇用契約が終わることが決まっていない
- 週の所定労働日数が3日以上
育児休業の期間
育児休業は原則的に子どもが1歳を迎える前日まで取得することができます。
ですが、預ける保育所が無いなどの理由で保育が出来ない場合、1歳6ヶ月まで延長できます。
さらに2017年(平成29年)10月の法改正で、2歳まで延長できるようになりました。
ただし最初に申請できるのは、1歳になる前日までで希望する期間です。
2歳までの育休を一度に申請することはできません。
育児休業が終わったら?
育児休業後は、職場に復帰することになりますね。
ですが子どもが小さいうちは、フルタイムで働くのも難しい状況です。
しかし3歳になるまでなら、時短勤務を利用することができます。
詳しくはこちらの記事を、チェックしてみてくださいね。
■時短勤務とは-法律の内容を再確認
産休育休でパートでも支給される手当はあるの?
パート勤務でも、産休・育休は取れます。
でも
「貰える手当てなんてあるの?」
「正社員だけの特権でしょ?」
と思っているママが多いようです。
実はパートでも手当は支給されます。
子どもを育てるのって、経済面でもホント大変です。
もらえるものは、もらっておきたいですね。
出産育児一時金
出産育児一時金は、出産時に支給される手当です。
出産時に加入している健康保険から1人の子につき、42万円支給されます。
双子ちゃんやそれ以上であれば、42万円×人数分です。
ただし、産科医療補償制度に加入していない病院で出産した場合、40.4万円に減額されてしまいます。
1万6千円の差って大きいですね!
オムツが何百枚も買えます。
病院を選ぶときは、補償制度に加入しているか確認してくださいね。
また出産育児一時金は、
「パパの会社の社会保険に扶養として入っている…」
という場合は、パパの会社の保険から支給されます。
ですが
- ママが国民健康保険に加入している
- 共働きでママが会社の健康保険に加入している
など、自分で保険料を支払っている時は、ママの健康保険から支給されます。
入院費用がそれ以上になることもあるので、その場合は、差額分が実費になってしまいます
出産育児一時金を付加給付のある夫の保険からもらいたい
勤め先の社会保険によっては、出産育児一時金にプラスして『付加給付金』を支給しているケースがあります。
夫の社会保険で付加給付金を支給していて、妻の保険では支給していない場合、夫の保険から受け取りたいと思いますよね。
しかし出産育児一時金は原則として、妻の保険から支払われることになっています。
ですが組合によっては、柔軟に対応してくれるケースもあるようです。
一度保険組合に相談してみてくださいね。
出産育児一時金の申請方法と受け取り
出産は非常に多くの費用がかかります。
後から一時金をもらうにしても、先に全額支払うのは厳しいですね。
そのため支払時の負担をできるだけ少なくするために、出産育児一時金の差額だけ支払えばいいようになっています。
- 直接支払制度
医療機関が直接、保険組合に医療費の請求をおこなう制度です。
- 受取代理制度
自分で保険組合に出産育児一時金の申請をおこない、受け取りは医療機関でしてもらう制度です。
※全額自費で支払った後、後から出産育児一時金をうけとることもできます
どちらの制度を利用できるかは、医療機関によって決まっています。
早めに医療機関に確認して、保険組合から必要な書類を受け取っておくようにしてくださいね。
なお医療費が出産育児一時金よりも少なかった場合、後から組合に申請することで、差額を受け取ることができます。
こちらも忘れずに申請してくださいね。
出産手当金
出産手当金は、産前産後休暇中に働けなかった期間分の手当てです。
出産手当金受給条件
出産手当金は、次の条件にあっているときに、加入している健康保険から支給してもらえます。
- 会社の健康保険料を自分で払っている
パートでも会社の社会保険に加入していれば、手当をうけとることができます。
ですが、
「パパの社会保険の扶養になっている」
「国民健康保険に入っている」
という場合は、残念ながらこの手当ては支給されません。
会社が社会保険に加入していなくて、実は国民健康保険だったということもあるので、注意してくださいね。
国民健康保険は市町村が運営しています。
そして出産手当金を支給するかどうかは、市町村が決めていい事になっています。
ですが財政難などを理由に、出産手当金を支給していないんです。
出産手当金支給金額の計算方法
出産手当金は、次のように計算します。
1日当たりの金額
=(直近12ヶ月間の標準報酬月額を平均した金額÷30日)×2/3
難しいですね・・・
標準報酬月額とは、実際にもらったお給料です。
- 基本給
- 役職手当
- 残業手当
- 家族手当
- 住宅手当
- 交通費
- その他金銭で受け取るもの(4か月以上に1回のものは含まない)
12ヶ月のお給料を額面で合計して、12で割ると月の平均額が算出されます。
ただし「まだ12ヶ月働いていない!」という場合は、
- 働いた月分の標準報酬月額の平均
- 全保険者の平均金額(保険組合に確認してくださいね!)
の低い方の金額になります。
こうして求めた金額を30で割り、さらに3分の2にしたものが、出産手当金の一日の支給額です。
1日あたりの給付額がわかったら、
- 出産予定日以前の42日分+遅れた日数
- 出産日の翌日以降56日
の範囲で、休んでいた日数を掛け算すれば、総支給額を計算できますよ。
出産手当金の申請方法と受け取り
出産手当金の申請は、出産後におこないます。
ですが医療機関に出産したことを申請用紙に記入してもらう必要があります。
あらかじめ申請用紙を受け取っておきましょう。
出産後に勤務先に申請書を提出すると、2週間から2か月程度で出産手当金が振り込まれます。
育児休業給付金
育児休業給付金とは、育児休業中にもらえる給付金です。
育児休業中は仕事ができず、無給ですよね。
このような人に、雇用保険から給付されるものです。
育児休業中の人の生活を経済面で支えてくれる制度です。
育児休業給付金の受給条件
- 休業開始前の2年間の内に1か月に11日以上働いた月が12か月以上あること
- 雇用保険に加入していること
- 休業中に、休業開始前の1か月当たりの給料の8割以上の給与を受け取っていないこと
- 休業している日数が対象期間中、毎月20日以上あること
- 健康保険に連続1年以上加入していること
- 育休終了後は復帰すること
育児休業を取る条件が、
- 同じ会社で一年以上働いている
- 週の所定労働日数が3日以上
なので、休業ができるなら受給資格があると思ってもいいのではないでしょうか。
念のため、会社に確認してみてくださいね。
また育児休業給付金は雇用保険から支給されます。
自営業の場合は、受け取ることができないんですね。
復帰後、最低半年は働かなければ返還を求められることもあるようです。
個人的には、よっぽどの事情がない限りはしっかりと復職してもらいたいです。
貰うだけもらって退職する人が増えると、産休育休制度自体がなくなってしまう可能性もあります。
会社での産休育休制度の実績を上げてもらうため、また後輩へ選択肢になる道を広げて行って欲しいと思います。
育児休業給付金の申請方法、支給日
育児休業給付金の申請は、会社がハローワークにいって、手続きしてくれます。
自分でおこなうこともできますが、会社が用意する書類もあるので、会社に任せてしまった方が楽です。
支給日は、会社がハローワークに申請するタイミングによるので、人によって異なります。
育児休業給付金の支給額の計算方法
育休開始から180日(6ヶ月)の間は、産休に入る前までの直近6ヶ月間の平均月給の67%が支給されます。
181日目から育休終了までは、産休に入る前までの直近6ヶ月間の平均月給の50%が支給されます。
月給の中には、交通費、残業代、住宅手当など全て含まれますよ。
豆知識
産休・育休中も勤務表を毎月会社へ提出します。
私は毎月上司に社内メールで送信していました。
しかしなぜ休暇中なのに勤務表を出さなければいけないのか・・・
それは会社がハローワークへ受給者の勤務状況を報告する義務があるからです。
休暇中なんだから働いていないのに?と思いますよね。
実は育休中は働いてはいけない決まりがありません。仕事をしても問題ないのです。
ですが働くと会社からお給料が出ますよね。
一定時間以上働いてしまうと、給付金が減額されます。
ハローワークは受給者の給料把握をしたいので、毎月勤務表を提出させているのです。
社会保険料の免除
産休育休中は年金、健康保険料、介護保険料などの社会保険料が免除されます。
ただし会社の社会保険のみで、国民健康保険の場合は免除されません。
健康保険・厚生年金保険産前産後休業取得者申出書を会社へ提出すれば、残りの手続きはほぼ会社が行い、年金事務所に提出してくれます。
産休中の社会保険料免除は平成26年の4月から始まりました。
その前に出産していた私は、社会保険料の請求が会社から届き、泣きながら貯金を崩して支払っていた記憶があります。
思い出すと、また涙が…
産休・育休中にやること、出来ること
産休中はしっかり休むことと赤ちゃんの生活リズムを作ってあげたりも大事です。
でもこの期間に、やること、やっておくといいことがたくさんあります。
いくつか挙げてみますね。
提出書類の整理
産休や育休中でも、提出しなければいけない書類が沢山あります。
- 毎月の勤務表
- 産前産後休暇届
- 健康保険・厚生年金保険の免除申請や育児休暇申請書
それからお給料から天引きされていた市民税も産休・育休中は払わなければなりませんので、その支払い方法の変更なども必要です。
どの書類も提出のタイミングが違います。
そのため、ついつい忘れてしまう事も…
だから自分で忘れないように工夫しないといけません。
私は、何をいつまでに提出するのか、全ての書類を予め産休前に印刷し、付箋を貼って忘れないようにしていました。
保育所の見学や保育所入園申請書類を揃える
復帰となるとやはりお子さんの保育所確保が先決です。
通える範囲で見学をして、出来るだけ多くの保育所に申請できるようにしておきましょう。
資格取得の勉強ができる
仕事柄、新しいことを覚えたりする必要がある場合は、資格取得やそれに同等する勉強もしておくと、復帰後にスムーズに業務が行えます。
私は仕事には関係ありませんが、育休が延長できた頃に、主人がマイカーを購入したので、教習所へ普通自動車免許を取りに行きました。
託児所付きだったので子供と離れる練習、保育所の練習も兼ねて通っていました。
産休・育休の道を選択する前に考えたいこと
産休・育休を選択する前に、「復帰した後の自分はどうなっているか?」を想像してもらいたいです。
妊娠がわかった時、仕事を辞めないために産休・育休を積極的に使うべきだと思います。
しかし仕事に復帰後、家事と育児・仕事を両立させるのは相当な覚悟と、ある程度の犠牲を払います。
復帰した時の自分はどうなっているのか?
私は漠然と、仕事も家事も育児も普通にできると思っていました。
でも仕事に復帰することができても、しょっちゅうお熱で呼び出しの電話・・・。
早退しますと申し出るのが、結構辛かったです。
1人の時は難なく通えていた50分の通勤時間さえ、熱を出した子供をお迎えに行くことを考えると長く感じます。
有休はほぼ子供のために消えて行きます。
子供と触れ合える時間も相当減ります。
これから産休や育休を取得するか悩んでる方は、普段から会社の人と信頼関係を築いていってほしいです。
そして会社の人が、また戻ってきて一緒に働きたいと思ってもらえると一番ベストだと感じます。
産休や育休の道を選択する前に、
旦那さんと家事分担はできるのか?
保育園の送り迎えは旦那さんもできるのか?
旦那さんでなくてもおじいちゃんやおばあちゃんが送り迎えしてくれるか?
考えてみてください。
また育休中に、晩御飯の下ごしらえを前日の夜にしたり、洗濯物を夜に干したり、工夫できるところを探して、シミュレーションしてみるといいと思います。
周りの援助をあまり期待できない、復帰する自信がない場合は、産休だけ取得して育休は取らずに退職を選択する方法もあります。
想像と現実はまた違いますが、産休・育休を選択する前に復帰した後の自分はどうなっているかをぜひ想像してみてください。
産休・育休取得?退職?どちらを選ぶべき
産休育休を取得するか、退職するか、本当に大きな選択になると思います。
それぞれのメリット、デメリットをあげてみます。
産休・育休のメリット
・ある程度身体を休めることが出来て、育児の時間が持てる
・支給されるお金があるので経済面で心配がない
産休・育休のデメリット
産休・育休中はデメリットはそんなにありませんが、復帰後に考えられるデメリットとして、
・復帰後、忙しい日々が待っている
・子供にかけてあげられる時間が少なくなる
・家事と育児と仕事、毎日忙しくなる
退職のメリット
・子供とずっと一緒に居られる
退職のデメリット
・収入が無くなる
・働きたい時に就活から始めるとなると、保育所のポイントが少なくてなかなか入れられない。
産休・育休取得と退職。
どちらもメリット、デメリットがあります。
復帰後には、仕事の面、家庭の面で考えられる出来事も含めて、どちらを選んでも後悔しない選択をしてほしいと思います。
最初から分かっているなら退職を選ぶべき
前にも述べましたが、家族など援助が期待できないことが分かっているのであれば産休も育休も選ばず、退職の道もあります。
産休・育休取得者で復帰する人は、厚生労働省の平成27年度雇用均等基本調査結果概要によると92.8%と圧倒的に多いです。
しかし最近では育休終了と同時に退職をしたというコラムや、そういう選択肢も可能と助長した記事をよく見かけます。
私の身近な人には、旦那さんに家事を頼めない、旦那さんが転勤になるかも、自分の復帰後の勤務地が遠いなど、産休前から分かっている状況でも、産休・育休取得して退職した人がいます。
復帰する前提だったので、人手が足りなくても会社は増員などしてくれませんでした。
そのため、残った社員は私も含めて、その人の仕事を分担をしていました。
結局彼女は退職してしまったのですが、無理をすれば仕事が回ると判断した会社は、その後も増員してくれませんでした。
最初から分かっているなら退職を選んで欲しかったです。
法律的に触れなくても、道義的にどうなのかなと感じます。
保育所が見つからない、子供が生まれた時から重い病にかかってしまっているなど、本当に予期せぬ自体以外は、自分で決めた道ですから、復帰をしてもらいたいと思います。
まとめ
いかがでしたか?
パート勤務の方でも条件さえ合致すれば制度を利用することはできます。
経済面での支援もあって、生活の支えになってくれます。
産休・育休を選択した方は、復帰して働くお母さん像が思い浮かびましたか?
働くことを選択しても、退職を選択しても「お母さん」に変わりはありません。代わりもいません。
働くと社会と繋がりを持てます。生涯年収も上がります。
子供はいつか手を離れます。でも子供が可愛い時期は今しかありません。
仕事と家事、育児が大変なのも、長い人生の中のほんの一部です。 ずっとは続きません。
先を見据えたら、復帰をおすすめしたいです。
選ぶのは自分次第です。本当にこれで良かったんだと思える選択をしてくださいね。