財形貯蓄制度とはどんな制度?

「お金を少しでも増やしたい。」
そんなとき、財形貯蓄は選択肢の一つになります。
ですが財形貯蓄について、少し難しいと感じてしまうことも多いですね。
そこで今回は、財形貯蓄制度とはどんな制度なのか、利用する場合はどんなメリットやデメリットをお伝えします。
財形貯蓄制度について知り、賢く利用してお金を貯めてみてくださいね。
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財形貯蓄制度ってどんな制度?
財形貯蓄制度とは、厚生労働省の「勤労者財産形成促進法」に基づき、会社が導入している福利厚生の1つです。
「勤労者財産形成促進法」は昭和46年に制定されたもので、退職後の生活の安定や住宅の取得、その他の財産形成をすることを目的として、事業主や国が援助する制度です。
会社が給与から天引きをして口座に預金をしてくれるので、会社がやってくれているのかな?と思っている人は多いと思います。
実は国も援助しているんですね。
財形貯蓄は、目的に応じて数種類あります。
次に財形貯蓄の種類についてご紹介します。
財形貯蓄制度の種類
財形貯蓄には、以下の3種類があります。
一般財形貯蓄
一般財形貯蓄は、貯蓄の目的を決める必要がありません。
使用目的が限定されていないので、自力で貯金するのが苦手という人に向いています。
しかし使用目的が限定されていないので、税制面での優遇も特にありません。
財形住宅貯蓄
財形住宅貯蓄は、「住宅の購入」や「家の増改築」などの費用として貯蓄することを目的に利用するものです。
将来住宅を購入したい、現在住んでいる家の増築やリフォームをしたいと考えている人に向いています。
「住宅」に関すること以外に貯蓄したお金を使用する場合は、税制面での優遇措置が受けられなくなります。
税制面での優遇措置の詳細についてはメリット、デメリットの項目で詳しくご紹介します。
財形年金貯蓄
財形年金貯蓄は、老後の生活資金を目的に貯蓄するものです。
公的年金以外に退職後の生活資金を確保しておきたいと考えている人に向いています。
財形住宅貯蓄と同様に使用目的が限定されているので、年金として以外に使用する場合は、優遇措置が受けられなくなります。
財形貯蓄制度のメリット・デメリット
財形貯蓄には種類や使用目的によってそれぞれメリットやデメリットがあります。
財形貯蓄の種類や税制面での優遇措置の内容、使用目的以外に使用した場合のペナルティ(デメリット)を理解した上で、自分に合ったものを選ぶようにしてくださいね。
財形貯蓄制度のデメリット
財形貯蓄制度のデメリットはいくつかあります。
項目ごとに詳しくご説明します。
解約に関するデメリット
財形住宅貯蓄や財形年金制度の場合、積立期間内に解約してしまうと元本割れをしてしまう可能性があります。
元本割れとは、実際に預けた金額よりも戻ってくる金額が少なくなってしまうことをいいます。
財形貯蓄は、会社を通して貯蓄をしているので、なんらかの事情で会社を退職した場合は基本的に解約せざるを得ません。
ただし、次の会社でも財形貯蓄制度を利用している場合は、財形貯蓄を継続することが可能です。
ですが、そのまま次の会社に就職しなかった場合や、次の会社が財形貯蓄制度を利用していなかった場合は継続することができないのです。
また2年以上中断することができないなど、中断期間にも制限がありますので注意してくださいね。
税制措置に関するデメリット
財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄は、税制の優遇措置として550万円まで非課税になります。
ただし、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄の金額の合算で計算されますので、両方を利用する場合は注意が必要です。
なお超過した金額に対して課税されるのではなく、全額が課税対象になってしまいます。
ここでいう550万円というのは複利で積み立てられた元本のことを指しています。
※福利とは:元本に利子が組み込まれて、元本+利子が新しい元本に計算しなおされて運営される方式のこと。元本だけではなく、利子に利子がつくので資産運用には有利になります。
逆に複利方式でお金を借り入れた場合、利子に利子が加算されるので期間が長くなればなるほど元本が増えてどんどん借金が膨らんでしまうということです。
お金を貯めるときも借りるときも複利について覚えておくと便利ですよ。
使用目的に関するデメリット
財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄の場合、使用目的以外で使用してしまうと、5年にさかのぼって課税されてしまいます。
利子に課税されないというメリットが生かされなくなってしまうので、注意してくださいね。
預金保険制度についてのデメリット
財形貯蓄は、「預金保険制度」の対象商品です。
「預金保険制度」とは、顧客が預け入れをしていた金融機関が経営破綻などをしてしまった場合、預入をしていたお金を一定の制限に基づき保障するという制度のことをいいます。
たとえば、500万円貯金していた銀行が経営破綻した場合、その分のお金は保障しますよという制度です。
一定額が必ず保障されるという制度なのでデメリットではありません。
しかし保障されのは、1,000万円までという制限があります。
この金額を超えてしまうと、戻ってこない可能性があるんですね。
また保障する金額は、財形貯蓄も含めた金融商品や預金額を合算したものが基準となります。
預金額が多い場合は、デメリットとなりますね。
財形貯蓄制度のメリットとは
財形貯蓄のデメリットを紹介してきましたが、もちろんメリットがないということではありません。
次に財形貯蓄のメリットについてご紹介します。
強制的に貯金をすることができる
財形貯蓄の最大のメリットは、給与から天引きされるため強制的に貯蓄ができるということです。
給与の中から自分で貯蓄するのって大変です。
手元にお金があると、ついつい使ってしまうという人って多いと思います。
私もそうです。
ですが財形貯蓄の場合、給与の支払いがあった時点ですでに差し引かれているので、自分でも気が付かないうちに財産形成ができるのです。
意思が弱くてなかなか貯金ができないという人は、財形貯蓄をおすすめします。
自分の家を建てたい人にもおすすめ
将来、自分の家を建てたいと考えている人に財形貯蓄はおすすめです。
財形貯蓄を利用していると「財形住宅融資」という制度を利用できます。
これは住宅を購入したり、家を建築したり、増築、リフォームなどを行うときに住宅支援機構から融資を受けることができる制度です。
住宅支援機構の融資を受けるメリットは、長期間にわたり固定金利で融資を受けることができること。
お金の余裕ができたときに、いつでも繰り上げ返済ができたることなどです。
金利が安いときに融資を受ければ、仮にそのあと金利が上昇したとしても安い金利のままお金を借りることができるのはありがたいですよね。
これは、「一般」「住宅」「年金」のいずれかの財形に1年以上加入していること、申し込みの時点で財形貯蓄の残高が50万円以上あることなどいくつかの条件を満たす必要があります。
ですが、家を購入したいという希望がある人にとっては大きなメリットといえますね。
利子が一定額非課税になる
デメリットの項目でご紹介しましたが、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄の場合、両方の合計が550万円まで利子課税が非課税です。
通常は、預貯金についた利子から税金が引かれます。
ですが、この2つの財形の場合は合算で550万円までは利子がかからないのです。
※550万円の説明は、税制措置に関するデメリットの項目ごご覧ください。
財形貯蓄と確定拠出年金はどちらがお得?
最近では、退職金がわりに利用する会社が増えてきているので、「確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん)」という言葉を聞いたことがあるという人も多いかもしれませんね。
そこで、気になるのは財形貯蓄と確定拠出年金ってどっちがお得なのかということではないかと思います。
財形貯蓄と確定拠出年金を比較した場合、どちらがお得なのでしょうか。
確定拠出年金とは?
確定拠出年金とは、わかりやすく説明すると、自分でお金を運用する個人年金です。
財形貯蓄年金は、払い込んだ金額に金利をプラスしたお金を年金形式で受け取るものです。
つまり財形貯蓄年金で受け取れる金額は、金利がどのように変化するかで決まるということです。
確定拠出年金の場合は、払い込んだ金額を元手に自分で資金を運用します。
たとえば、元手の金額が10万円あったとします。
これをA社に3万円、B社に2万円、C社に5万円のように自分で預入先と金額を決めます。
会社によって利率が違うのでうまく運用しなければ元本割れをしてしまう可能性もあります。
逆に運用がうまくいけば一気に増やすことも可能です。
つまり確定拠出年金は、自己責任でお金を運用する年金ということです。
財形貯蓄と確定拠出年金の税制面の違い
財形貯蓄は、合計550万円まで税制面での優遇措置を受けることができます。
確定拠出年金の場合は、3つの優遇措置を受けることができます。
1つ目は、掛け金を全額所得控除できることです。
所得税や住民税は、所得から所得控除を差し引いた金額に対して課税されます。
確定拠出年金の掛け金分を控除することで、税金を少なくすることができるのです。
2つ目は、運用利益が非課税だということです。
これは、財形貯蓄と同じで運用で得た利益に対して、税金がかかりません。
3つ目は、受け取り方法に関わらず一定額まで非課税だということです。
年金商品の場合、年金形式(定期的に受け取る)ではなく、一時金としてまとめてお金を受け取る場合、税金がかかるんですね。
でも、確定拠出年金の場合は、受け取り方法に関係なく一定額まで税金がかかりません。
財形貯蓄の利息はどうなっている?
金利がどんどん下がっているので、財形貯蓄の利息はどうなっているのか気になりませんか?
そこで、財形貯蓄の利息についてご紹介します。
会社が財形貯蓄に利用している銀行によって利率が異なる
ひとくちに財形貯蓄といっても会社によって利用している金融機関や商品が異なっています。
そして運用利率は、預けている金融機関や商品によって異なります。
1年複利や半年複利など、利率の計算期間も商品によって異なります。
利率を知りたい場合は、会社が利用している金融機関の利率などを参考にしてみてくださいね。
退職金がない会社の財形貯蓄の利用方法
退職金の制度がないという会社もありますね。
その場合は、財形貯蓄を利用して自分で退職金として貯蓄しておくというのも1つの方法です。
一般財形貯蓄の場合は、解約をしなくても一部支払いとして途中でお金を引き出すことが可能です。
注意点としては、途中で何度も引き出してしまうと、退職時に思ったよりも金額が少なかった…なんてことにもなりかねないことです。
退職金としての目的でお金を貯めるのであれば、財形年金貯蓄を利用する方法もあります。
ただし、デメリットの項目でご紹介したように、途中で退職すると解約をしなければならなくなってしまう可能性もあります。
その場合は、元本割れをしてしまうリスクがあります。
メリットやデメリットを考慮して、利用するようにしてみてくださいね。
金融商品を利用する場合は内容を把握してから契約しよう
会社に入社すると、財形貯蓄以外にも保険会社の商品や郵便局などで販売している商品など、さまざまな金融商品の勧誘を受けることがあります。
勧誘を受ける場合は、メリットだけではなく、デメリットについても質問をすることをおすすめします。
私は生命保険会社で少しだけ働いた経験があるのですが、商品をおすすめするときって「メリット」をメインに説明して、「デメリット」について積極的に説明することってあまりないんですね。
だから契約したあとに、こんなはずじゃなかった…と思う人も多いです。
そんなことがないように、内容を理解して、じっくり検討してから契約するようにしてくださいね。
まとめ
今回は、財形貯蓄の種類や確定拠出年金との違いなどについてご紹介しましたが、いかがでしたか。
財形貯蓄という言葉は聞いたことがあっても、詳しいことはよくわからないという人も多いと思います。
金融商品は、それぞれにメリットやデメリットがあります。
また、メリットに感じるかデメリットに感じるかも人によって違うと思います。
商品の内容をよく把握した上で、上手に利用してみてくださいね。