奨学金は繰り上げ返済したほうがいいのか?

奨学金の返済中に経済的な余裕が出てきたときに、奨学金を繰り上げ返済したほうが得なのかな?という疑問を感じたことがありませんか?

そこで今回は、奨学金の繰り上げ返済する方法や、繰り上げ返済をするメリットやデメリットなどについて詳しくご紹介します。

奨学金の繰り上げ返済する前に確認することとは

奨学金は、在学中、卒業してからに関係なく繰り上げ返済することが可能です。
ですが、借り入れをした奨学金の種類によって異なるメリットとデメリットがあります。

奨学金の種類

日本学生支援機構(JASSO)で利用できる奨学金には、二種類あります。
(※注:2020年の4月に低所得者向けの大学など高等教育機関の無償化についての法律が施行予定です。
それに伴い、返済義務のない給付型奨学金が導入される予定になっています。
給付型奨学金が導入された場合は三種類になります。)

1つは、第1種と呼ばれているもので、奨学金を無利息で借りることができるものです。
もう1つは、第2種と呼ばれているもので、年(365日あたり)3%を上限とする利息がつきます。
ただし、実際にお金の給付が始まっていても在学中は利息が発生しません

第一種奨学金を借りた人は

第二種奨学金を借りている人は、繰り上げ返済をすることで利息分を節約できるメリットがあります。
ですが、第一種奨学金を借りている人は、利息に対するメリットはありません。

次の項目で奨学金の繰り上げ返済するメリットとデメリットについてもう少し詳しくご紹介しますので、繰り上げ返済の意味をよく理解した上で決めるようにしてくださいね。

奨学金の繰り上げ返済するメリットとデメリット

奨学金は借金をしている状態なので、できれば早く返済してしまいたいと思う人も多いのですね。
では、奨学金を繰り上げ返済するメリットやデメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。

どの部分をメリットと捉えるか、デメリットと捉えるかは人によって違います。
内容を理解した上で、自分に合った返済方法を選んでみてください。

繰り上げ返済をするメリット

第一種、第二種を問わず共通するメリットは、精神的に楽になれるということです。

一部返済だけでも、返済額が減少することで、気分的にはかなり楽になります。

第二種奨学金の繰り上げ返済の最大のメリットは、利息分を節約できることです。
ただし、元金を減らせるわけではないので注意してくださいね。

もうひとつのメリットは、住宅をローンで購入しようと考えている場合です。
住宅ローンの審査項目の中に、「返済負担率」というものがあります。

返済負担率とは、年収に対してローンを返済している金額の割合のことをいいます。
奨学金も含まれるので、早く返済してしまえばその分多く借り入れができるようになります。

奨学金の返済をしている人が、家の購入を考えている場合はメリットの1つになりますね。

繰り上げ返済をするデメリット

繰り上げ返済をするデメリットは、手元の現金が減るということです。

奨学金を繰り上げ返済した結果、手元のお金が足りなくなり別のところからお金を借りなければいけなくなってしまったとします。
その場合、奨学金の利息よりも新しく借り入れた利息の方が高くなってしまう可能性があります。
そんなことになってしまったら、繰り上げ返済をした意味がなくなってしまいますね。

奨学金の繰り上げ返済で受け取れる報奨金とは

奨学金を繰り上げ返済すると報奨金が受け取れるという話を聞いたことがありますか?

報奨金とは、奨学金をある規定の条件内で全額繰り上げ返済をした人が受け取れるお金のことをいいます。

実は奨学金の報奨金は、奨学金を繰り上げ返済すれば全員が受け取ることができるものではないんです。
そこで、報奨金を受け取れる人の条件などについてご紹介します。

奨学金の繰り上げ返済で報奨金を受け取れる人

報奨金を受け取るにはいくつかの条件があります。

実はこの報奨金の制度は、平成17年度に廃止になっています。
ですが以下の条件を満たしている人は、報奨金を受け取ることができます。

1.平成16年度以前に奨学金を借りた人
(平成17年度以降は廃止になったため)

2.第一種奨学金で借りた人
(※ 第二種の奨学金を借りた人は、平成16年以前に奨学金を借りていても対象外なので注意してください)

3.最終返済期日の4年前までに繰り上げ返済で完済できる人
(ただし、返済期間が元々4年以下に設定されている人は対象外になります)

報奨金で受け取れる金額

報奨金で受け取れる金額は、借り入れた金額と完済時期によって異なります。

・1回目の返済日翌日から7年未満に完済した場合・・・5%

・1回目の返済日翌日から7年経過後に完済した場合・・3%

たとえば、奨学金を300万円借りた場合

7年未満に完済すると報奨金は5%なので
3,000,000円×0.05=150,000円になります。

7年経過後から最終期限の4年前までに完済すると報奨金は3%なので
3,000,000円×0.03=90,000円になります。

最終期限までにまだ期限があって、完済できる人にとっては大きな金額ですね。

奨学金を繰り上げ返済すると金利はどうなる?

第一種の奨学金は利息がかからないので、ここでは第二種についてご説明します。

奨学金の返済には、据え置き期間というものが設けられています。
奨学金は、実際の返済が始まるのは卒業してから6か月後の10月からです。

この6か月間のことを「据え置き期間」といいます。

ただし据え置き期間中は、金利が発生します。
※在学中は発生しません。

繰り上げ返済はどの部分の利息が得になる?

全額繰り上げ返済をした場合、繰り上げ返済をした日から最終返済日(返済月)までの金利を節約することができます。
一部繰り上げ返済をした場合も、残りの返済額が少なくなるので返済期間を短縮することができますね。

繰り上げ返済を在学中に行う場合

在学中は奨学金に金利は発生しません。
そのため、卒業した年の3月に全額繰り上げ返済をした場合は金利が発生しません。

繰り上げ返済の種類

繰り上げ返済は、2種類あります。

全額繰り上げ返済

全額繰り上げ返済とは、借り入れた残金の全額を一括返済することをいいます。

一部繰り上げ返済

一部繰り上げ返済とは、借り入れた金額の一部分を返済することをいいます。
たとえば、月々10,000円ずつ返済している人の残金が150万円あった場合に50万円返済するといったように、通常の返済額以上でかつ残金の全額ではない金額を返済する方法が一部繰り上げ返済です。

繰り上げ返済をする際の注意点

全額繰り上げ返済をする場合、日本学生支援機構に事前の申し込みが必要です。

繰り上げ返済を希望する月の3か月前から1か月前までが申込期間です。
繰り上げ返済することを決めたら、できる限りはやく申し込んでおきましょう。

奨学金を繰り上げ返済する方法

奨学金の繰り上げ返済の申込方法は、3つあります。

スカラネット・パーソナル

スカラネット・パーソナルは、奨学金に関する情報、住所や氏名などの変更など、奨学金に関することをインターネット上で手続きができるシステムのことです。

現在、奨学金を給付中、返済中であればいつでも登録することができます。
スカラネット・パーソナルの登録をしていない人は日本学生支援機構のホームページから新規登録することができます。

新規登録が完了すると、スカラネット・パーソナルから繰り上げ返済の申込が可能になります。
それ以外にも返済期間や残りの返済額なども確認することができるので、奨学金を返済中の人は登録をおすすめします。

郵送・FAX

日本学生支援機構のホームページから繰り上げ返済の申込書をダウンロードして、書類を郵送やFAXで送ることもできます。
ただし書類に不備があった場合、繰り上げ返済を希望する日までに手続きが間に合わなくなってしまうことがありますので注意してくださいね。

電話

繰り上げ返済は、電話でも受け付けています。
『奨学金相談センター』に電話をして申込をしてください。

繰り上げ返済に手数料は必要?

繰り上げ返済に手数料はかかりません。

奨学金の繰り上げ返済は月々の返済金額が減るわけではない

奨学金の繰り上げ返済を行ったとしても、月々の返済額を減らすことはできません。
奨学金の一部繰り上げ返済を行なうと、月々の返済額が少なくなるのではなくて返済期間を短くすることができるのです。

契約時に決めた返済額が変更されるわけではないので、間違えないようにしましょう。

奨学金の繰り上げ返済を行う前に生活プランを考慮しよう

奨学金は、月々の返済額の負担を減らすために返済期間を長めに設定している人が多いのではないかと思います。
10年以上にわたって返済を続けていたりすると、精神的にきついと感じてくるかもしれませんね。

そのため、経済的に余裕が出てきたなら一括で返済するのは間違いではありません。

しかし結婚、出産といったライフイベントがあるとまとまったお金が必要になることもあります。

会社の業績低下などにより減給、倒産や転職などによる再就職などで収入が下がってしまうことも考えられます。

奨学金の繰り上げ返済を行う前に、将来のことも考慮しておくことをおすすめします。

まとめ

繰り上げ返済は、繰り上げ返済をしたい月の引き落とし日の1か月前までに申し込みをすればいつでも行うことができます。
自分の経済状況や将来のプランなどもしっかりと考えてから決めてみてくださいね。

 

 

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