働き方改革とは-何が変わる?

「働き方改革って、何?」
2019年4月に働き方改革関連法が施行されます。
その結果、働き方が変わるそうです。
でも、そもそも働き方改革とは、どんな改革なんでしょうか?
そこで、
- 働き方改革とは何なのか
- 働き方改革で、具体的にどのように変わるのか
- 働き方改革関連法が施行されることで、どんな影響があるのか
などについて調査してみました。
調べてみると、うわ難しいな!という点が多いですが、なるべく、わかりやすく解説しますね。
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働き方改革とは?
働き方改革実現推進室というものがあります。
目的は文字通り
『働き方改革』の
『実現』を
『推進』する
『部署?』
ですね!
この推進室を開所するときに、安倍総理が次のように訓示しています。
『働き方改革』にいよいよこれから我々は着手するわけでありますが、一億総活躍社会を目指す私たちにとって『働き方改革』は最大のチャレンジであります。
つまり働き改革とは、『一億総活躍社会を目指すために行う』ための手段の一つなんです。
では、一億総活躍社会とはなんでしょうか?
働き改革の目的・一億総活躍社会とは?
そもそも政府はなぜ、一億総活躍社会を目指そうと思ったのでしょうか?
それは、少子化。
少子化からおこる人材不足が原因のようです。
2017年10月1日現在の日本の人口

およそ1億2670万6千人
そのうち
65歳以上の高齢者:3515万2千人
生産年齢の15歳~64歳:7596万2千人
一人の高齢者を二人で支えている!
出生率が年々低下しています。
逆に医療の発達に伴い、寿命が延びています。
だから将来的には、もっと深刻な状況が予想されるのです。
■たとえば…
企業は慢性的な人手不足

ブラック的な働き方をさせるようになる。

辞める人が増え、さらに人手が足りなくなる
■たとえば…
年金の支給源を確保できなくなる

支給金額が減る・支給開始年齢が遅くなる

年金を支払う若者が減る

さらに支給金額が減る・支給開始年齢が遅くなる
状況は悪くなる一方ですね。
未来が暗すぎます。
そこで政府は、今働いていない人
- 元気な高齢者
- 育児で忙しい主婦
- 介護で働くことが難しい人
などが働きやすくなるしくみを作り、日本を1憶人が活躍する社会にしたいと考えたんですね。
これが『1憶総活躍社会の実現』ということなんです。
ちょっとわかりにくい!?働き方改革関連法の施行日と内容
私は働き方改革は、2019年4月からだと思っていました。
ですが実は、
1回目:2019年4月施行
(一年後)
2回目:2020年4月施行
(一年後)
3回目:2021年4月施行
(二年後!)
4回目:2023年4月施行
と、4回に分けて施行されるんです。
では、もう少し詳しく書いてみます。
働き方改革関連法はいつから?時系列で整理
厚生労働省のパンフレットを見ると、ごちゃごちゃでよく分かりません。
だから全て2019年4月からだと、思っている人が多いようです。
そこで、時系列で整理してみました。
2019年4月からの働き方改革関連法
2020年4月からの働き方改革関連法
2021年4月からの働き方改革関連法
2023年4月からの働き方改革関連法
働き方改革での中小企業とは
中小企業は一部の関連法で、施行が猶予されていますね。
では働き方改革の、中小企業の条件はなんでしょうか?
厚生労働省のパンフレットより、引用してみます。
業種 資本金の額または出資の総額 常時使用する労働者数 小売業 5,000万円以下 または 50人以下 サービス業 5,000万円以下 100人以下 卸売業 1億円以下 100人以下 その他
(製造業、建設業、運輸業、その他)3億円以下 300人以下
働き方改革関連法の各項目を簡単にわかりやすく説明します
では働き方改革で施行される各項目を、説明します。
とはいえ、詳しい説明は厚生労働省のパンフレットに書いてあるので、そちらをご覧ください。
ここでは要点だけ簡単に、わかりやすくお伝えします!
働き方改革関連法:年次有給休暇取得の義務化
有給休暇は、取得しにくい職場がけっこう多いようですね。
結局使わないで、終わってしまうのです。
そこで働き方改革では、
年10回以上有給休暇が付与されている従業員に対して
企業から、
と指示することを、義務化しました。
パートでも正社員でも関係ありません。
これで有給休暇を積極的に、使えるようになったわけですね。
ですが…
「休みたくない!」
という人もいます。
なので基本的に、労働者の意見を聞いた上で、企業が休む日を決めます。
でもこれって…
決められた日以外は、休みにくいってことは、変わらないですね…
やっぱり、そちらの改善は難しいのでしょうね。
年次有給休暇取得の義務化について、詳しくは厚生労働省のパンフレットを見てください!
なお有給休暇ってなに?という方は、こちらの記事をチェックしてみてくださいね。
働き方改革関連法:時間外労働の上限規制
中小企業:2020年4月
■告示から法律へ
今まで残業時間の上限は、
- 月45時間まで
- 年360時間まで
と決められていました。
ですが実はこれ、法律ではなかったんです。
大臣が決めた基準だったんです。
それが働き方改革で法律として制定されたのです。
そして法律になったことで、違反すると…
『6か月以下の懲役または30万円以下の罰金』
という罰則が適用される可能性が、でてきたのです。
■実質無制限だった特例を制限
「もっと残業しないと終わらない!」
特別な事情があるなら、仕方がありません。
具体的な理由があることを条件に、
年6か月までなら月45時間以上の残業をさせてよいことになっています。
しかも無制限に!!
ですが働き方改革関連法が施行されると
- 月100時間未満
- 2か月、3カ月・・・6カ月。
いずれの平均も80時間以内 - 年間720時間以内
という条件が設定されます。
月100時間は、一日5時間程度です。
6時から残業だとしたら、11時。
一応、その日のうちに帰宅できる時間ですね。
会社で仮眠して、すぐに仕事…
なんてブラックな状態が、少しでも解消できればいいのですが…
そもそも、仕事が多すぎるのが問題なのです。
長時間労働の是正には取引環境の改善も重要です。労働時間等設定改善法では、事業主の責務として、短納期発注や発注の内容の頻繁な変更を行わないよう配慮するよう努めることと規定されました。
厚生労働省も把握してて、
と言っているんですね。
今後労働環境が、本当に良くなることを期待したいですね。
■施行前の36協定は一年間有効
実は企業は従業員に、勝手に残業をさせることができません!
労働基準法第36条第1項では…
- 労働者の代表と残業することを合意しなさい
- 合意したことを労働基準監督署へ届け出なさい
- 届け出ないと、違反ですよ!
と決められています。
36条なので、36(サブロク)協定と呼ばれているものですね。
そして36協定を関連法の内容に変更するには、もう一度36協定を結びなおす必要があるのです。
しかし、
と経過措置が設けられています。
だからそれまでは、以前のままです。
超ブラックな会社勤めの方は、もう少し我慢しないといけないんですね…
時間外労働の上限規制について、詳しくは厚生労働省のパンフレットを見てください!
働き方改革関連法:産業医・産業保健機能の強化
働きすぎ!
働かせすぎ!
長時間労働で健康だけでなく、精神的にも病気になってしまうことありますよね!
さらにひどい場合、過労死なんてことも…
そこで働き方改革関連法では…
産業医、つまり企業で労働者の健康管理をおこなう医師の権限を強化しています。
具体的には、
産業医への情報提供
労働者の健康を確保する必要がある場合、
「こうしたほうがいいよ」
と、産業医から企業へ勧告できるだけでした。
施行後は…
労働者の残業時間などの情報を、企業側から産業医に提供することが義務になりました。
つまり、『企業は労働時間を把握しておきなさい!』ということですね。
産業医からの勧告を報告する義務
産業医からの勧告を尊重するのが義務。
施行後は…
企業が勧告をうけたら、労使や衛生委員会に報告しなければいけない。
つまり、
ということですね。
残業時間の制限などで、終わらない業務を管理者が残って処理するなどの、しわ寄せが行くのが予想されます。
管理者はたまったものでは、ありませんね。
ですが厚生労働省のパンフレットには、次のような記述がありました。
労働時間の状況の把握は、労働者の健康確保措置を適切に実施するためのものであり、その対象となる労働者は、高度プロフェッショナル制度の適用者を除き、①研究開発業務従事者、②事業場外労働のみなし労働時間制の適用者、③裁量労働制の適用者、④管理監督者等、⑤派遣労働者、⑥短時間労働者、⑦有期契約労働者を含めた全ての労働者です。
事業主・産業医・その他産業保健関係者の皆様へ
つまり企業は、
ということですね。
管理者だから管理外だとは、企業はもう言えないんですね。
働き方改革関連法:フレックスタイム制の改正
導入していない企業には関係ないのですが…
フレックスタイム制も改正されます。
一般的に、コアタイムという、必ず出社していなければいけない時間帯が設定されていて、その時間を挟んで自由に勤務できる制度です。
ただし、一か月間で、決められた勤務時間以上になるように調整する必要があります。

改正後は…
調整期間が1か月間だったのが、3カ月間に延長することも可能になりました。
政府的には、
ということですね。
3カ月の区切りはどうするの?
という疑問もあります。
これも
ということです。
フレックスタイム制の改正について、くわしくはこちらを見てくださいね。
働き方改革関連法:【努力目標】勤務間インターバル制度の導入
出ました。
努力目標。
実質、
という意味です。
■勤務間インターバル制度とは
勤務間インターバル制度とは…
仕事が終わった後から翌日の出社までに、一定時間の間隔(インターバル)を設ける制度です。
普通、残業で帰宅が遅くなった場合、何もせずに寝て、すぐに出社です。
なんて、考えてしまいますよね!
ですが、インターバルのおかげで自分の趣味の時間を確保して、ゆっくり寝ることができるのです!
ただ導入には、出退勤のシステム改修が必要です。
具体的には、始業時間以降の出勤を遅刻としない、などですね。
それにはお金がかかるので…
努力目標なのは、仕方がないのかもしれませんね。
勤務間インターバル制度について、くわしくはこちらのページを見てくださいね。
働き方改革関連法:非正規社員の待遇改善
中小企業:2021年4月
パートや、それ以外の有期雇用労働者・派遣労働者についても、働き方改革では改善されます。
正社員と非正規社員の間の不合理な待遇差の禁止
働き方改革では、次のような決まりができました。
基本的に
- 仕事内容が同じ
- 仕事時間が同じ
- 責任が同じ
なら、
ということです。
つまり、
という理由はNGになったんです。
差をつけるなら、具体的かつ合理的な理由が必要です。
待遇に関する説明義務の強化
そう思っていても、企業側が説明する義務はありませんでした。
ですが働き方改革関連法の施行で、待遇差の内容や理由を質問されたら、説明することが義務となったのです。
行政ADRの整備
企業と非正規社員で、待遇差などでトラブルになったら…
行政から無料で
- 助言
- 指導
- 紛争解決手続き
を受けることができます。
■個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)|厚生労働省
非正規社員の待遇改善について、くわしくはこちらのパンフレットを見てくださいね。
【中小企業】月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し
中小企業:2023年4月
もう10年以上前に大企業で導入されている制度が、やっと中小企業で導入されます。
残業の割り増し賃金は25%ですが、60時間をこえた分は50%になります。
働き方改革の問題点とは
働き方改革が施行されれば、一億総活躍社会が実現できるのか?
難しいとかいえないですね。
働き方改革の内容だけを見ると、労働者の状況はどんどん良くなるような感じがします。
しかしながら、働きやすい環境とは、待遇だけではありません。
妊娠がわかった瞬間に対応を変えてしまう人、短時間労働者に対して嫌味な対応をする人など、人の気持ちが働きにくい環境を作ります。
このようなことは法律的には違法です。
しかし昔ながらの考え方が根強いこともあり、法律は変わっても人の考え方は簡単には変わらないのです。
法律で人の気持ちを変えるのは難しいのです。
中小企業に勤める人の気持ちは?
働き方改革では、中小企業の経営者の負担軽減のために、施行開始に猶予が設けられています。
しかしこれは、政府が
『大企業に勤める人』と『中小企業に勤める人』を区別したということです。
中小企業に勤める人からしたら、
という気持ちになります。
猶予期間を努力目標の期間として、全ての企業で同時に義務化するなどできなかったのでしょうか?
まとめ
働き方改革関連法(働き方改革)に関して、できるだけわかりやすくご紹介してきましたがいかがでしたか。
働き方改革という言葉を聞いたことがある人でも、実際にどんな法律改正が行われるのか、この法律はいつから施行されるのか知らなかったという人も多いと思います。
法律の内容を詳しくみると、「こんな働き方ができたら理想だな」「こんな働き方ができるようになったら、仕事ができるのにな」と思った人もいるかもしれませんね。
法律が施行されれば、すぐに世の中が変わるのは難しいかもしれません。
ですが法律の改正によって、自分の希望する働き方ができる会社がこれから増えていくことを期待できるのではないかなと思います。