退職したいけれど引き止めがしつこい 円満退職のために実践してほしいこと

「また引きとめられた…」

退職したいと上司に伝えたのはいいけれど、

ちょっと待ってくれ

といわれて、退職できなかったということありますよね。

こんにちは。
出産や育児、その他自己都合などで、何度も退職した経験のあるトモこと山下智子です。
そのほとんどで、引きとめられ、そして引きとめました。

一般社員として…

退職を申し出た時に、忙しいという理由で引きとめられたことがあります。
後日、後任が見つからず、思うように引き継ぎができないという理由で引きとめられたこともあります。

管理職として…

部下から突然、退職希望を出されたこともあります。
その時は、

『え!今やめられたら、あなたの仕事誰がやるの?…こっちの苦労も知らないで…引き止めようか…』

という心境になりました。

このように私は、引きとめられる立場と引きとめる立場、両方の経験をしてきたんですよね…
だから両者の気持ちや、つらさがわかるんですよね…

そこで、

しつこい引き止めにあっていてなかなか辞められない

という人や

これから辞めたいけど引き止めにあったらどうしよう

という人のために、

両方の立場から、

『円満的に退職するために実践すべきこと・実践して欲しいこと』

をお伝えしていきます。

ぜひ参考にしてください。

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退職をしつこく引きとめられたときに実践することは?

【画像】退職について調査する

しつこく引き止められたときに、まず次のことを実践してください

まず実践すること就業規則や退職に関する法律の内容を理解しておく

就業規則や法律の内容をちゃんと理解しておくと、相手に対して自信を持って自分の意思を伝えることができるんです。
さらに、相手が正論をいっているのか、理不尽な要求をしてるいるのかを判断することもできます。

でも、

就業規則とか確認するの面倒です
何書いてあるかわかんないし…

なんて思っている人も多いですね。

ですが確認しないで辞めようとすると、就業規則違反ですんなり辞められなくなっちゃう可能性があるんです。

しかも辞めたあとに、事務的な手続きを会社にしてもらうことが、けっこう多かったりします。
退職後の手続きをスムーズにおこなってもらえるように、できれば穏便に、そして円満に辞めておいたほうがいいんですね。

とはいいながら、実は私も規則とか法律とかってよくわかっていませんでした。
性格的に、面倒だと思ってしまうし、内容が理解できない文章を読むと知恵熱が出そうだしで、めちゃめちゃ嫌いなんです。

【画像】円満退職するために、ちょっとだけ頑張ろう

でも円満に退職するために、ちょっとだけ頑張って確認しました。
おかげで、辞めたいタイミングでちゃんと辞められるようになりましたよ。

退職を申し出る前に就業規則を確認する

法律の前に、まずは会社の就業規則を確認してみましょう。
会社を辞めるときに基準になるのは、原則としてその会社の就業規則です。

たとえば法律の場合、退職する2週間前に会社に報告すれば退職できるという項目があります。
でも会社の就業規則に「退職を希望する場合は、1か月前に申し出る」となっていた場合は、1か月前に申し出ないといけないんです。
法律と就業規則の内容が異なっていた場合、どちらが優先されるかというと『就業規則』が優先されるんですね。

でも

え!法律よりも就業規則のほうが効力があるの??

って思うかもしれませんね。

仕事をするっていうことは、経営者と雇用者の間で契約が結ばれているってことなんです。
簡単にいうと、

「あなたを採用してあげるから、就業規則を守ってくださいね。
守らないと辞めてもらうこともありますよ。
もし辞めたいって思ったらそのときはちゃんと就業規則を守って辞めてね」

と書いてある書類に同意した上で雇用契約を結んだってことになっているのです。

そのため、『辞めたいという報告をいつまでにしなければならないのか?』ということを就業規則で確認する必要があるんですね。

雇用契約については、こちらの記事で詳しく紹介しているので、一度チェックしてみてくださいね。
パートで採用されたのに雇用契約書がもらえないのは違法か?

退職を申し出る前に法律を確認する

雇用に関する内容は民法という法律で定められています。

【画像】民法第627条抜粋

でも、この記事を読んでくれている方は

就業規則のほうが優先されるなら、民法は関係ないのでは?

と思うかもしれませんね。

就業規則の内容は法律よりも優先されるのですが、法律よりも絶対的な効力があるものなのかというと、そういうことでもないんです。

就業規則は会社独自で定められているものです。
もっといえば、就業規則を決めるには、社員の同意が必要ないということです。
※改定などを行う場合は、労使(労働者と使用者)の合意が必要なものもあります。

そのため、就業規則をすべてのルールにしてしまうと、雇用者が不利益になってしまうことがあるんです。

雇用者が不利益なケースあまりにも長い期間が定められていて、実質的に退職できないなど

雇用者だけが不利益になってしまうことがないように、就業規則のほかに民法で雇用者が守られていると考えてもらうといいですね。

退職に関する民法の内容については、のちほど詳しく説明しますね。

引き止めにあっても退職の意思を崩さない

【画像】NG

「引き止めにあっても退職の意思を崩さない」

これって、今まで会社でお世話になったという気持ちがあると、ちょっと難しいかもしれませんね。

「今すぐ人を入れるのは難しいんだ。
せめて後任者が決まるまではなんとか働いてくれないかな?」

と言われたら、

「仕方ないなー」

と感じて、うなずいてしまいますよね。

ですが一度うなずいたり、答えを保留したりすると、

「引き止めればまだ働いてもらえるかも?」

なんて考えに変わってしまうことがあります。

すると、なかにはしつこく引きとめするようになる人もいるんです。

少しでも早く辞めたいなら、何を言われても退職の意思を崩さないっていうことが重要ですよ。

上司が退職を認めてくれない・退職届を受け取ってくれない場合

【画像】受け取り拒否されたら

あなたが退職したいという気持ちを変えないということがわかったら、上司が退職を認めてくれなかったり、退職届を受け取ってくれないということがあります。

そんなときは、どうすればいいのでしょうか?
対処方法についてご紹介していきます。

退職届と退職願はまったくの別物!

退職に関する書類には二つあります。

退職に関する二つの書類

『退職(ねがい)』

『退職(とどけ)』

実はこの2つは、似ているようでまったく意味が異なるんです。
かなり重要なポイントなので注意してくださいね。

『退職願』とは

退職届は、文字どおり退職したいと会社にお願いすることを意味しているんです。

つまり、退職願は会社が承諾しなければ退職できないという書類なんですね。
もっとわかりやすくいうと、相手に断る権利を与えている書類ということになります。

「退職していいですか?」

「ダメです」

と、口で言うのと同じようなものなんですね。

『退職届』とは

退職届は、会社に退職しますという意思を伝えるものになります。
退職届は、就業規則にのっとり、会社に退職の意思を伝え、退職日を設定し、提出します。

そして受理されると

  • 受理された時点で
  • 会社の承諾に関係なく
  • 退職日に退職できる

という、書類なんです。

引き止められずに円満に退職する場合は、間違えて『退職願』と書かないように注意してくださいね。

【画像】私会社を辞めます。退出届を提出しましょう。

退職届の正しい書き方と提出方法

【画像】退職届を書く

退職届っていうのは、実は法的な効力を持っています。
そのため就業規則を守り、規定の日数の前に退職届を提出すれば、本来会社は退職届の受け取りを拒否することはできないんですね。

ただし必要なことを、正しく書かないと受理してもらえないことがあります。

そこで、正しい退職届の書き方と提出方法についてご紹介していきたいと思います。

退職届の正しい書き方

一部の企業では、独自の書式を作成していることがあります。

ですがほとんどの場合、便箋などに以下の内容を記載するのが一般的です。

【画像】退職届

  1. 最初の行に『退職届』と書きます。このとき間違えて『退職願』と書かないように注意してください。

  2. 次に『(この度)一身上の都合により平成〇年〇月〇日をもちまして、退職いたします。』と記入します。
    このときのポイントは、文末を『退職させていただきたくお願い申し上げます』などのお願いする表現にしないことです。
    退職届は、『会社を辞めます』と宣言する書類なので『退職いたします』と言い切りの形でかくことが大切です。

  3. 提出日の日付を記載します。日付は西暦でも和暦でもどちらでもOKです。

  4. 自分の所属部署名を記入します。

  5. 自分の氏名を記入します。

  6. 退職しようとしている会社の名前を記入します。会社名は省略せず正式名称を書いてください。

  7. 最後に会社の代表者である社長の名前を役職名をつけて記入します。

    例:代表取締役社長 山田太郎 様

社長につける敬称ですが、『様』ではなく『殿』のほうがいいのかな?と思う人もいるかもしれませんね。
実は『殿』は、目上の人が目下の人に対して使う敬称なんです。
『殿』を使ってしまうと失礼になりますので注意してくださいね。

「へー、そうなんだ」と思った方は、こちらの記事でビジネスでの敬語について紹介しているので、一度チェックしてみてくださいね。
今後の役に立ちますよ。
ビジネスシーンの敬語 正しい使い方を再確認しよう

退職届の提出方法

退職届の提出方法ですが、次のようなことはやらないほうが無難です。

やってはいけないこと相談なしでいきなり上司に退職届を出す

話がこじれて、円満に退職できないかもしれないからです。

まずは就業規則でいつまでに退職の意思を伝えればよいかを確認してください。
そして、その日よりも余裕を持ち、直属の上司に退職の意思を伝えましょう。
個人的には、1か月半くらい前がいいのかな、と思います。

■上司に意志を伝えるとき

上司の忙しくない時間帯に

「話したいことがあるので、時間をいただけませんか?」

ということを伝えます。

時間を作ってもらったら、退職したいという意思をきっぱりと伝えましょう。

このときに理由を聞かれたり、引き止めにあう可能性があります。
すぐに答えられるように、準備しておくことを忘れないでくださいね。

辞めたい理由が、ネガティブな理由のときは、正直に答えないほうがいいです。

ネガティブな理由の例

  • お給料が安い
  • 待遇が悪い
  • 人間関係に疲れた

「ほかにやりたい仕事ができた」
「家族の面倒をみなくてはいけなくなった」
など、相手が信じなかったとしても、もっともらしい理由を考えてみてくださいね。

『嘘も方便です』

最初の報告で、

  • いつまでに辞めたい
  • 就業規則にのっとり1か月前の〇月〇日頃会社に退職届を提出したいい

ということも、伝えておくといいですね。

上司としては、それまでに心の準備ができますしね。

【画像】退職届は直接手渡しする

退職届は上司の机の上に置くのではなく、本人が在席しているときに、直接手渡すようにしてくださいね。

もしも、上司が退職届を受け取ってくれなかったら…

上司によっては、

「上司が退職届を受け取ってくれません」

ということも考えられます。
性格的にやりそうだな、という上司もいますよね。

前の項目でも書きましたが、『退職届』は、就業規則を守って提出したなら、受け取りを拒否できるものではないんです。

でも受け取りを拒否されたり、目の前で破られたなんて話もあったりします。

【画像】うけとりを拒否

上司が『退職届』の意味を理解しているなら、拒否してもムダだとわかるはずですが…
受け取ってもらえないと悩んでいる人がいるということは、知らない上司が多いってことなのかもしれませんね。

そんなときは、最終手段として次のことが可能です。

最終手段
配達証明付きで退職届を郵送する

配達証明付きで送れば、退職届を会社に提出したという証拠を残すことができるんです。

ご紹介しておいてこんなことをいうのはおかしいかもしれませんが、これはあまりお勧めできない方法です。
まだ、会社を辞めていないのに、郵便で退職届を提出してしまうと、あとあとしこりが残ります。

そうしたら、退職日を迎えるまで居心地がかなり悪くなると思うんですね…
『退職は穏便に!』をめざしてほしいので、これは本当に困ったときの最終手段にしてくださいね。

会社が退職を引きとめる三つの理由

会社に引きとめられて、退職できなくて困っている人が多いのはなぜでしょうか。

それは、次のように会社が引き止めたい理由があるからなんです。

退職を引きとめる三つの理由

  • 会社にデメリットがあるから
  • 上司にデメリットがあるから
  • 本人のことを考えて思いやりの気持ちから

では、一つずつ見ていきましょう。

会社にデメリットがあるから

従業員が退職しようとすると、会社はとても困ってしまいます。
なぜなら、あなたがやっていた仕事を、他の誰かにやってもらわないといけないからです。
その方法には二つありますが、どちらも会社にとってデメリットとなってしまいます。

■方法1:他の従業員に割り振る

その方法として一番簡単なのが、他の従業員に仕事を割り振ること。
しかし割り振られた側は、仕事量が増えるわけですから、不満に感じます。
やる気がなくなって、その人まで辞めてしまうなんてことも、考えられますね。

■方法2:従業員を雇う

もう一つが、新しく従業員を雇うこと。
しかし仕事に慣れてない人が、前任者と同じレベルになるまで、しばらく時間がかかります。
他の従業員のフォローが必要になるかもしれません。
直接お客様と取引する業務だったら、お客様に迷惑をかけてしまうことも考えられますね。

このような理由から、

「完璧に引き継げるまで会社にいてほしい」

という気持ちで、引き止めるのです。

上司にデメリットがあるから

上司は、直属の部下に退職者が出たりすると、自分の査定が下がってしまうなんていうことがあります。
すると昇進やボーナスに影響が出てしまいます。
管理能力を問われることもありますね。

だから、

自分の部下からできるだけ退職者を出したくない

という、本音があるんです。

本人のことを考えて思いやりの気持ちから

純粋に、本人のためを思って退職を引きとめることもあります。

たとえば、

「私、この仕事向いてないのかな」

という理由で部下が辞めようとしていたとします。
仕事に慣れていないうちは、うまくいかないことがあるのは当然です。
でも本人が、そのことに気が付いていないこともあります。

そんなとき上司は、

「もう少し続ければもっと伸びるのに…」

という気持ちから、引き止めようとするんですね。

もちろん、先に紹介した

  • 会社のデメリット
  • 自分のデメリット

を回避したいという気持ちもあります。

ですが、「本人のためを思って」という気持ちもあるんです。

退職をしつこく引きとめられないために実践することは?まとめ

退職をするときは、しつこく引き止められないで円満に辞めたいですね。
この記事で、これまで紹介してきた内容も含めて、『しつこく引きとめられないために実践すること』をまとめました。

「ひきとめられそう」と感じている方は、ぜひ以下のことを実践してみてください。
これを実践するだけでも、スムーズな退職ができますよ。

退職前に実践1:規則・法律を確認

退職を決意したら、まずは就業規則、民法、労働基準法など退職に関する内容確認することから始めます。

これは

『退職するためにはいつまでに報告しなければならないのか』
『万が一スムーズな退職が難しくなった場合、何をすればいいのか』

ということを理解して、自分がやらなければならないことをわかりやすくするためです。

退職前に実践2:就業規則の報告日よりも前に直属の上司に相談

次に就業規則の報告日よりも余裕をもって、直属の上司に退職したいということを伝えます。

就業規則を守って退職の手続きを取れば、会社の同意とは関係なく会社を退職することは可能です。
でも、直属の上司にいきなり退職届を出してしまうと、円満に退職することは難しくなってしまいます。

円満に退職するための報告の仕方には2つポイントがあります。

報告:二つのポイント

  • 1:就業規則の規定の日よりも前に上司に相談すること
  • 2:相談というスタンスから入るということ

いきなり辞めますといわれてしまいますと、報告を受ける側も聞くという姿勢ではなくなってしまうんです。

退職希望日よりも余裕をもって上司に相談することで、相手の気持ちにもゆとりが生まれます。
すると、穏便に話をすすめやすくなりますよ。

退職前に実践3:退職の相談・報告は冷静に行う

退職の報告は、必ず冷静に行いましょう。

でも辞めたい原因が、報告している目の前の上司だったとしたら…
感情的になってしまいそうですよね。

でも目の前の上司がとても苦手だったり、理不尽なことをいう人だったとしても、感情的になって報告をしてしまうとよい結果にはつながりません。
売り言葉に買い言葉という言葉があります。
相手の言葉を受けて、つい言葉がきつくなってしまうことってありますよね。

仮に退職の原因が目の前の上司であったとしても、ぐっとこらえて冷静に報告してくださいね。

退職前に実践4:上司には感謝の言葉を伝える

退職の相談や報告をする場合は、上司への感謝の言葉を伝えながら話すようにしてください。

もしかしたら、「辞めたいと思った原因が目の前の上司だから、感謝の言葉なんで思いつかない…」という人もいるかもしれませんね。

でも、今まで何かしら上司にお世話になったことはあると思うんです。
そこの会社で働いて、お給料をもらっていたから助かっていたことだってあるはずです。

文句ならいえるけど、お礼なんて絶対無理と思った人は、円満に辞めるためのゲームをしていると思ってみませんか?

感情的に話をされたら、あなたもあまりいい気分にはならないのではないでしょうか。
でも誰かから褒められたら、いやな気分にはならないものです。
上司も感謝の言葉を次々に聞かされたら、「絶対に退職は認められない」とはいいにくくなるはずです。

上司に報告するときは、いくついえるかゲームをしているつもりで、感謝の言葉を伝えてみてくださいね。

退職前に実践5:退職日希望日を決める

「○月いっぱいで退職したいです」

退職日を決めてから相談をしないと、具体的な話にならず、単なる相談で終わってしまいます。

もしかしたら、上司から「退職日はもう少し相談させてほしい」といわれるかもしれません。
ですが本人が本気で退職を考えていることは、わかってくれているはずです。

また退職日が決まっていれば、双方の退職までのスケジュールが立てやすくなります。
会社側は、その日までに後任者を確保し、引き継ぎをすませます。
辞める側は、就活がしやすくなるというメリットがあります。

また、『なぜその日に辞めたいのか』についての理由を伝えておくと、退職日が決まりやすくなりますよ。

退職前に実践6:上司への報告は最低1か月以上前に行う

就業規則で申し出る期限は決まっています。
もしかしたら民法と同じ二週間となっているかもしれません。
ですが上司への最初の報告は、最低でも退職希望日の1か月前に行うことを心がけてみてください。

時間のゆとりは心のゆとりにつながります。
逆に時間に余裕がないと、心にゆとりがなくなり感情的になりやすくなります。

円満に退職するためには、相手に心にゆとりのある状態で行うことがベストです。

退職前に実践7:会社の繁忙期を避ける

退職の時期を決めるときは、会社の繁忙期は避けて考えるようにしてください。

「なんでこんな忙しい時期に辞めるんだ!」と思われてしまいますと、退職がスムーズにいかなくなる原因になってしまいます。
それに会社に残った他の人たちに、迷惑をかけてしまうことになります。

会社の繁忙期は会社によって異なります。
自分の業務だけではなく、会社全体の繁忙期も考慮しながら、退職日を決めるようにしてくださいね。

退職に関する法律(民法第627条)

最後に退職に関する法律について少しお話しておこうと思います。

退職に関する法律は民法

仕事に関する法律といって最初に思いつくのは『労働基準法』という人もいるかもしれませんね。
労働に対する条件や環境、労働時間や賃金などについて、労働者が無理な労働を強いられることがないように法律によって守っているものが労働基準法という法律です。

ですが、退職に関する法律は労働基準法ではなく民法という法律で定められているんです。

退職の申し入れは原則2週間前

民法第627条には以下の内容が記載されています。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三カ月前にしなければならない。

民法第627条 期間の定めのない雇用の解約の申入れ

これだけ読むとちょっと難しくて意味がわかりにくいですね。ちょっとかみ砕いた文章に変えてみますね。

『当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。』

この部分は、

雇用の期間が決めていない場合、2週間前なら

・雇用主は雇用される人に、いつでも辞めてほしいと伝えることもできる。
・雇用される人は雇用主に、いつでも辞めたいと伝えることができる。

という意味の文章になります。
つまりお互いに2週間前に申し入れればいいということですね。

ちなみに雇用している側が解雇する場合、労働基準法で30日前までに予告しなければならないと定められています。
法律としては民法よりも労働基準法が優先されるので、解雇する場合は30日前となるんですね。

雇用期間が決められているパートは、2週間前ではない!

先ほどの法律は、雇用期間が決められていない場合、つまり正社員の話でした。
ではパートはどうなんでしょうか?

つづけて、次のような項目があります。

『期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三カ月前にしなければならない。』

この文章の意味は、

◎雇用期間が決まっている場合

・雇用期間内は、辞めることができない
・その雇用期間の終了時に辞めるなら、前半までに申し出る
・ただし雇用期間が6か月以上あるときは、3カ月前でもいい

ということです。

つまり契約期間を決めて働いている人が辞める場合は、早めに退職の意思を伝えないといけないということになります。
これは期間内の雇用を守るため、このような法律が定められています。

ちなみに労働基準法第137条には、次のような条文があって、契約期間が一年以上の場合、一年経過すればいつでも退職できることになっています。

期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

労働基準法第137条

原則としては就業規則が優先

民法の条文として読むとちょっと難しくなってしまいますが、2週間前か契約期間の前半までに辞めることを伝えれば辞めることができるっていうことなんですね。

でもパートなどで契約期間が1年・2年と長い場合、家族の転勤や、妊娠出産などでも辞められないってことになります。
そのようなケースを想定して、民法の628条では、『やむを得ない事由直ちに契約の解除をすることができる』という条文があります。

つまり働き続けることができない理由があれば、辞めることができるんですね。
ですが『やむを得ない事由』がどんなものなのかは、法律では決まっていません。

自分ではやむを得ないと思っても、会社がそう判断しないで、損害賠償を請求してくる可能性もあります。
そんなことにならないためにも、円満に退職できるよう、まずは会社の就業規則を確認するようにしてくださいね。

まとめ

法律の条文などもご紹介したので、難しかったでしょうか?

引き止めに合わずに円満に退職するためには、会社の就業規則を確認するという作業をはずすことはできないんですね。
会社の就業規則は、法律の条文よりはわかりやすい言葉で書かれていると思いますので、何度か読み返していると、意味がわかってくるんじゃないかと思います。

会社を辞めるときに大切なことは
「辞めるためのルールを守る」
「辞めたいという報告を早めに行う」
「報告は感情的にならず冷静に」
そして「感謝を伝える」ことが大切です。

会社を辞めたい、引き止めにあっていて辞められない方は、記事を参考にして円満退職をしてくださいね。

 

 

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