パートの休憩時間は法律で決まっている 納得できないときの対処法

「休憩時間に休憩が取れない」
「休憩時間に働いたのにお給料がもらえない」
「休憩時間はいらないから、そのぶんお給料が欲しい」

パートをしていると、休憩時間についていろいろと納得いかない事ってありますよね。

正社員と違ってパートは時給で計算されので、勤務時間がお給料に直結します。
だから休憩で勤務時間が減ると、その分お給料が減るんですね。
そして、そのことに関する悩みを持っている人って実はたくさんいるんです。

でも休憩時間って会社が勝手に決めたものではないんです。
法律で、しっかりと定められたものなんです。

だから
「会社に文句言っても、どうにもならないのよ」
ってこともあるんですね。

ですが、それ以外のことで文句を言えば改善してもらえることもあります。

そこで今回は、文句をいえるかどうかの判断をできるように、次のことを詳しく解説します。

この記事の内容

  • 法律では休憩時間についてどんな定めがあるのか
  • 休憩時間について不満があるときはどんな対処ができるのか

休憩時間が取れなくてお給料に反映されずに不満に思っている人や、休憩時間はいらないからもっと稼ぎたいと思っている人は参考にしてみてくださいね。

休憩時間に関する労働基準法の決まりとは

休憩時間は会社が勝手に決めているのではありません。
労働基準法という法律によって決められているんです。

労働基準法という法律は、労働者を守るための法律です。
まずは休憩時間について、どのように決められているのかについてご紹介しますね。

労働基準法では、勤務時間によって休憩時間が決められています。

休憩時間の決まり

  • 1.勤務時間が1日6時間以内の場合
    会社側は休憩時間を従業員に与える必要はありません

  • 2.勤務時間が1日6時間を超えて8時間までの勤務時間の場合
    最低45分の休憩を従業員に与えなければなりません。

  • 勤務時間が1日8時間を超える場合
    最低1時間の休憩を従業員に与えなければなりません。

つまり1日の勤務時間が6時間をこえたら、会社は従業員に休憩をさせないといけないんですね。
そうしないと法律違反になってしまうんです。

つまり7時間労働なら、休憩時間を引いて、6時間15分働けばいいんですね!

いいえ、それは違います。

働く時間の他に、休憩時間をとるということです。

【画像】勤務時間と休憩時間の関係について

よくある給与のトラブル

Aさんは、とあるスーパーで毎日7時間働いています。
そのスーパーはいつも忙しくて、休憩は昼を10分程度とるだけです。

それでもAさんはお給料のために頑張りました。
【画像】休憩しないで頑張りました

そして給与明細をもらってみると…

思っていたよりも、かなり少ないではないですか!
「計算間違えじゃないの!?」
Aさんは店長に確認します。

実はこのスーパー、給与は本部で一括で計算しています。
ですので店長は、本部に聞かないと理由がわかりません。

そこで店長が本部に確認すると…
「6時間をこえて働いたら45分休憩を入れないと法律違反になるので、休憩したことにしてあります。今後は気をつけてください。」
との答えが…

店長はAさんに、そのまま伝えました。
ですがAさんは納得できません。
当たり前です。実際に働いているんですから。

それでも店長にはどうすることもできず…
今後は休憩を確実にとるということで、納得するしかありませんでした。

ほんと、悔しいです。

休憩についての法律を、現場の責任者が把握していないことって、意外と多いです。

損をしないために、トラブルにならないために、働く側も知っておかないといけないんですね。

休憩の定義

そもそも『休憩』とは何なのでしょうか?

労働基準法で『休憩時間』は、『労働から離れられることが保障されなければいけない時間』と定められています。
わかりやすくいうと、休憩時間は従業員に仕事をさせてはいけないということですね。

会社の規模によっては、休憩時間に会社から人がいなくなってしまうと支障があるため、会社の敷地内から出てはいけないという決まりがあります。
ですが、仕事をしていなければ法律上は問題ありません。

しかし休憩時間に電話当番などで、電話対応しなければいけない場合は、労働から離れている状態ではありません。
そのため法律上は休憩時間として認められません。

【画像】昼休みは電話にでる必要はない

昼休みなどに会社に電話がかかって来ても、従業員は電話に出てはいけないんですね。
法律上はですが…

休憩時間はいらないからその分稼ぎたい!それって無理なの?

ここまでに、一日6時間をこえて働くと、最低でも45分の休憩時間をとらないといけないと書きました。
でも休憩の分、家に帰るのが遅くなってしまいます。

どうせなら休憩しないで働いて、家に帰ってからゆっくりしたいという人もいると思います。
あるいは、子どもがいる家庭なら、少しでも早く帰って、子どもを安心させてあげたいと思うかもしれませんね。

ですが休憩時間は法律で決まっていることです。
そのため、会社にお願いしてもどうにもならないんですね。
もし会社が「いいよ」といったら、法律違反になってしまうのですから。

お願いするとしたら、勤務時間を6時間以内にしてもらうのが現実的かもしれません。
ただ、それも難しいケースがあります。
詳しくは、次で紹介しますね。

休憩時間が法律よりも多いのは問題ないのか?

工場や事務などのパートをしていると、休憩時間を正社員と同じ時間にとることはよくあります。
たとえば昼休みに1時間などですね。

ですが社員よりも短時間、たとえば7時間勤務なら、法律上の休憩時間は45分のはずです。
1時間休憩することに問題はないのでしょうか?

これについては問題ありません。
法律上は、『最低○○分』となっているからです。
上限は決まっていないんですね。

だから

休憩時間は45分でいいので、15分早く帰らせてください!

と会社にお願いしても、許可してくれません。
それに現実的な問題として、給与計算の手間が増えたり、全部自動で計算していて変更するのが不可能というケースがあります。

6時間以内でも休憩しないといけないことがある?

法律上は6時間以内なら、会社は従業員に休憩をあたえる必要はありません。
ですが、休み時間を与えていけないということではないんです。

例えば10時出社・3時帰宅の場合、会社にいるのは5時間です。
ですが勤めているのが、昼休みを一斉に1時間とる会社なら、その時間は一緒に休憩をとらないといけません。
ぞうすると勤務時間は、4時間になります。
損した気分になりますが、仕方ないのです。

■サービス業でよくあるケース

またサービス業の場合、時間帯によってお客の人数に大きな差があることが多いです。

たとえば11時~12時の間のお客の予約人数が「0」だったとします。
正社員1人とパートさん1人で勤務をしていた場合、お客が誰もいないのに2人で勤務していたらその分人件費がかかることになります。
このような場合、会社側がパートさんに対して11時~12時まで休憩時間を与えたとしても法律違反にならないんです。

パートで勤務の場合、時給なので、休憩なしで働いて稼ぎたいと思いますよね。
でも職場の勤務内容によっては、このようなことが起こることがあるんです。

パートさん側が休憩時間はいらないからその分稼ぎたいと思ったとしても、状況によって給料が発生しない時間を作るということは、会社側が取る措置としてはよくあることなんですね。

休憩が取れなかったのに給料に反映されないのは納得できないときの対策は

「今月は忙しくて、ほとんど休憩がとれなかった。
休憩時間も働いていたんだから、その分給料がもらえないのは納得できない。」

こんなケースって、よくありますよね。
どうすればいいのでしょうか?

上司に相談しないで休憩時間に働くのはNG

もし会社が、「休憩時間なしで働け」といったなら、それは法律違反になります。
しかし仕事が終わらないからと上司に相談もせず、休憩時間に仕事をしていた場合、後で何らかの要求を会社にするのは難しいです。

なぜなら法律では、従業員が『自分の判断で自由に働く』ことを制限していないからです。

またパートなどのシフトで働いている場合、会社側は仕事量と人件費を考えながら、パートさんの勤務時間を決めています。
休憩時間に上司の許可なしで仕事をするということは、休みの日に稼ぎたいからと勝手に会社に来て仕事をして、お給料を請求するのと同じことになってしまうんです。

私は以前パソコン教室で責任者として働いていました。
そのときに、実際に次のようなことがありました。

ちょっと困った話
パートさんのシフトを組むのも責任者の仕事です。
シフトは予約の生徒さんの人数と、パートさん同士のお給料のバランスをみないといけないので、神経を使います。

ある日、お休みだったはずのAさんが突然教室に来ました。
「どうしたの?」と聞くと、「稼ぎたいので暇だったので仕事をしにきました」といわれました。

【画像】暇なので働きにきました

心情的には、働いて稼いでもらいたいという気持ちもあります。
ですが、そのまま仕事をしてもらうわけにいきません。
「働いてもらっても、今日はお給料出せないよ」
といって、帰ってもらいました。

たしかにAさんの立場から考えれば、暇だから稼ぎたいという気持ちはわかります。
ですが管理する側とすれば、人数が必要ではなかったのでAさんをお休みにしてあったわけです。

休憩時間に上司の許可なく仕事をするということは、このケースと同じということなんですね。
「勝手に働いたのに、どうしてお給料払わないといけないの?」という気持ちになってしまうんです。

もし休憩時間も仕事をしなければいけなくなりそうだったら、事前に上司に相談するようにしてくださいね。

ただし相談した場合でも、給料として受け取るのは難しいです。
なぜなら、例外的な給与計算は手間がかかるからです。
また『自動で計算しているので変更できない』、ということもあります。

そのため、後にずらして休憩をとるケースがほとんどです。

休憩時間に働くことを強制されたら?

何度も書いていてちょっとしつこいですが、もう一度書いておきます。
会社が休憩時間に働くことを強制した場合、法律違反になります。

この場合、法律にのっとって休憩させてくれるように、会社に働きかける必要があります。
また休憩として払われなかった賃金を請求することもできます。

具体的に何をしたらいいのか、解説しますね。

勤務日と休憩時間の記録を取る

会社に休憩時間で問題があることを分かってもらうには、証拠が必要です。

「なんだかおかしいから、確認してください」
ではまともに受け取ってもらえません。

会社が確認すればわかるはずです!

しかし確認するのにも手間がかかります。
『かもしれない』と言われるたびに確認していたら、他の仕事ができません。
だからしっかりとした証拠がなければ、動かないんです。

まずは勤務日と休憩時間がわかるように記録しておきましょう。
できれば、休憩時間に仕事をしていた証拠になるようなものがあれば残しておくとよりベストです。
※たとえば休憩時間中に仕事で必要なメールなどを送信した履歴など

上司に休憩が取れなかったことを相談してみる

証拠がそろったら、まずは上司に相談してみましょう。

それでも改善されない場合は、自分の直属の上司ではなく、その上の上司か給与などを担当している部署(総務または経理課など)に確認することをおすすめします。

それでも納得ができないときは労働基準監督署に相談する

会社に相談しても改善されないときは、労働基準監督署に相談してみてください。
労働基準監督署は匿名で会社の実態を調査してもらうことも可能です。

労働基準監督署の職員は労働基準法の法律の内容を理解している人たちです。
法律の内容を熟知した上で今後の対応の仕方について適切なアドバイスをしてもらうことができます。

しかし、実際に会社に今までの休憩時間分の給与の支払いを求める場合は、相談ではなく「申告」をする必要があります。
申告とは、勤務している会社が違法行為をしている事実を告発して、労働基準監督署になんらかの対応を求めてもらうことをいいます。

告発するためには、明らかに違法行為をしている証拠を集め、第三者がみても明らかに労働基準法に違反していることを証明する必要があります。

いきなり、告発するのはちょっと敷居が高いと感じる人も多いですよね。
まずは、労働基準法のプロに適切なアドバイスを受ける(相談)することから始めて、内容が悪質だと判断された場合は告発するというように段階を踏んだ行動をすることがおすすめです。

全国の労働基準監督署の所在地はこちらから確認することができます。
全国労働基準監督署の所在案内|厚生労働省

雇用主は休憩時間の代わりに給与を支払えば従業員を働かせることができるのか

「休憩時間も時給出すから、今日は頑張ってよ」

時々こんなことを言ってくる、パート先の店長さんっていませんか?

働いてる側からすると、
「うーん、お給料もらえるならいいかな」
とか
「休憩しないで働き続けるなんて、身体がもちません!」
とか、その時の気分で感じ方がかわりますよね。

でも実際のところ、休憩時間分の給料を支払えば、雇用主は従業員に休憩時間を与えずに働いてもらうことはできるのでしょうか?

ここまで読んでもらった方はわかると思いますが、これは違法行為です。

労働基準法では、休憩時間を与えなければいけないと決められています。
これは、休憩時間を与えない場合は給料を支払いなさいという意味は含まれていません。

もし休憩時間にも仕事をしてもらうのであれば、少し時間をずらして休憩をしてもらうことになります。

休憩時間は業務と業務の間に取らなければいけないという決まりがあります。
たとえば休憩時間が取れなかったので、

「休憩時間を消化してから帰宅してね」

というのも、やってはいけないことなんですね。

休憩時間といっても会社にいるんだから給料が発生しないのはおかしくないの?

休憩とは労働から離れている時間という説明をしてきましたね。
つまり休憩時間は仕事をしていないわけですから、給料は支払われなかったとしても違法にはなりません。

働いている人の目線で考えると、職場にいることは休憩時間も含め拘束されているわけですから、なんで給料をもらえないの?と思う人もいるかもしれませんね。

ですが、会社は会社の仕事をしてもらうこと、つまり「労働」という行為に対して、「対価」が支払われるわけです。
時間を拘束していることに対して給料が支払われているわけではないんです。

その視点で考えると、休憩時間に給料が支払われないのはおかしくないんですね。

まとめ

いかがでしたか?

労働基準法で決められている休憩時間のルールと休憩時間の定義を説明してきました。
会社の待遇や休憩時間に疑問や不満があるという人は多いです。

その不満のなかには、法律にのっとているので仕方がないことも多いです。
ですが会社や現場の責任者が、法律を熟知していないことが原因のものもあります。
そのようなケースでは、会社に改善を求めるようにしてください。

そして会社が法律を把握した上で、意図的に休憩を与えていないこともあります。
この場合は、労働基準監督署に相談してみてくださいね。

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