パートの無期雇用と解雇の可能性とは

「私今月で契約期間が切れるのよね・・・」

パートは有期雇用といって、採用時に雇用期間が決まっています。
そのため期間満了後に続けて雇ってもらえるのか、そのまま雇止めになるのか不安になります。

しかし最近の法律改正で、何年か働き続けると雇用期間のしばりがない無期雇用に変更できるようになりました。
パート従業員にとって、とても喜ばしい事ですが、ちょっと問題があるようなのです。

そこで今回は

  • 有期雇用から無期雇用への転換の問題
  • 無期労働契約への転換とは?

についてまとめてみました。

無期労働契約への転換のせいで、解雇される人が増える!

【画像】解雇の可能性

有期雇用から無期雇用への転換の問題。
それは、「解雇される人が増える可能性がある」ということ。

それはどうしてなのでしょうか?
簡単に解説しますね。

無期雇用と有期雇用の違い

パートやアルバイトは採用時に雇用期間が決められていて、期間満了後に継続するか終了するか判断されます。
このような期間が定められている雇用方法を有期雇用といい、その際に結ばれる契約を有期雇用契約または有期労働契約といいます。

その反対に期間が定められていない雇用方法が無期雇用で、正社員がこれにあたります。
契約は無期雇用契約または無期労働契約ですね。

長く働きたいと思っているパートやアルバイトにとって、期間の満了時は雇止めになってしまうのかとても不安なものです。
できれば無期労働契約をして安心して働きたいものですね。

法律が改正されてパートが有利になったはずが・・・

2013年4月に労働契約法の一部が改正されました。
その結果パートなど有期雇用で働いている人でも、雇用期間が通算5年を超えた場合は、無期雇用に転換(変更)してもらうことが可能になったのです!

【画像】5年働くと無期雇用

これは有期雇用の従業員にとって、とても嬉しい事のはずですが・・・
実はこの法律改正のせいで、解雇される人が増えるのではないかと言われているのです!

今まで契約を毎回順調に更新していて、職場でも特に問題なく円満に勤めている人が契約更新をストップされてしまう。
そういうことが今後増えるのではと言われているのです。

なぜかというと・・・

企業の方にもパートを有期契約で雇用するのには理由があります。

不況の時や人手が余ってしまった場合に正社員を簡単に解雇するわけにはいきません。
パート契約は、そういう時の会社の人数調整に便利な契約と認識されているのです。

しかし無期労働契約に変更すると、解雇しにくくなる。
そんな理由から、

今雇われているパートが無期雇用申込権を得る前に解雇してしまおう

という判断をしかねないのです。

【画像】人員整理しにくくなるから辞めてもらう

契約期間満了を理由に、今まで継続的に契約更新を重ねてきた有期雇用の更新を止めることを「雇い止め」と呼びます。
雇い止めは原則的には不法な行為ではありませんが、厚生労働省では「無期転換ルール」の適用が2018年から発生することを理由に雇い止めをするのは法律改正の趣旨に反していて望ましくないとしています。

ですから明らかに5年無期転換ルールのせいで契約更新が止まったと考えられる場合は、会社に撤回を求めることもできます。

無期転換ルールは始まっている!

【画像】無期転換ルールは始まっている

5年無期転換ルールは2013年(平成25年)4月1日以降の契約開始または更新からスタートします。
それ以前の雇用期間は含まれません。
どうしてこんな不公平な決まりにしたのかわかりませんが、仕方ないようです・・・

【画像】2013年(平成25年)4月1日以降の契約からスタート

無期転換ルールは2018年4月をもって、施行されてから5年経過しました。
もうすでに適用可能な人も出てきています。

そして会社から雇止めを言い渡されている人がいないとは言えません。
そのような会社は5年無期転換ルールの説明などはしないので、なぜ急に会社が態度を変えてきたのか戸惑っている人も多いでしょう。

もしあなたが当事者でなくても、同僚が悩んでいたら5年無期転換ルールについて教えてあげてくださいね!

ここで相談しましょう!
もし他に思い当たる節がなく5年という理由だけで契約終了を言い渡されたと思ったら?
相談できる専用窓口があります。
都道府県労働局雇用環境均等部(室)(無期転換ルール特別相談窓口)

ぜひ利用してみてくださいね!

無期労働契約への転換

パートなど有期雇用の契約が5年以上続くと無期労働契約に変わるといっても、自動的にそうなるわけではありません。

それにはまず、

  • 通算5年の間に一定以上の無契約の期間をはさまないこと
  • 契約更新が1回以上されていること
  • 同じ会社との契約であること

この3つを満たしていなければなりません。

一定以上の無契約の期間とは

原則的に、一度契約が中断すると「クーリング期間」となり、以前の雇用期間は5年に含みません。

無契約期間は無効

 

例外として無契約期間が、無契約以前の雇用期間の2分の一未満なら、以前の雇用期間も通算対象になります。

例えば中断前に合計5か月働いていたとすると、2分の一は2.5カ月ですが、切り上げされて3カ月以内に再契約すれば、以前の雇用期間も通算対象になります。

 

無契約以前の雇用期間の2分の一

 

ただし以前の雇用期間が一年以上の場合、無契約期間は6か月未満までです。

 

用期間が一年以上の場合、無契約期間は6か月未満まで

無契約期間を悪用!

3カ月働いて3カ月休んだり、1年働いて6か月以上休むなどの働き方を強要することで、パート従業員が無期雇用への転換をさせないようにすることが考えます。

不自然な働き方を求められたら、無期転換ルール特別相談窓口で相談してくださいね!

今まで一度も契約更新されていない時

無契約期間への転換には1回以上の契約更新が必要です。
パートの雇用期間の上限は原則3年と決められているので、5年経過した時点で普通なら1回は契約更新されているはずです。

しかし今まで一度も更新されたことがない、という人も多いようです。
この場合、次のケースが考えられます。

  • 自動更新されている
  • もとから雇用期間の定めがない
  • 事業者の怠慢で更新手続きをしていない
  • 雇用期間についての契約をしていない

まずは雇用契約書の記載内容が基準となります。
自動更新や更新手続きなしで何度も更新されている場合は、そのまま5年経過した時点で申し込み可能です。

何も記載されていない、または「雇用期間の定めなし」となっている場合は、実質的に無期契約です。
すでに会社が契約期間満了を理由として、雇止めすることはできない状態になっているです。

無期雇用は申し込みが必要

またもう1つ大事なポイントは、パートで働いている人の方から使用者側に無期雇用の申し込みをする必要があるということです。
もし上に挙げた3つの条件を満たすパートが無期雇用を希望して申し入れた場合、その時点で承諾されたとみなされます。
会社側は断ることができないのです。
そして次の契約更新時から、契約は無期雇用契約に変わります。

申し込みは口頭でも法律上問題ありません。
ですが言った言わないの話になってしまうので、書面で申し込むようにしましょう!

もし会社が申し込み用紙を用意していない場合は、自作で大丈夫です。


参考様式 無期労働契約転換申込書・受理通知書の例

労働契約法がこのように変更された理由は、社会全体での雇用の安定を促進するためです。
ただし、もしもパートで働いている方が何らかの理由で無期労働契約を望まない場合は、そのまま有期雇用のパートで働き続ける権利もあります。

会社によっては無期雇用の転換で労働条件が変更されるケースがあります。
どう変わるか確認して、メリットがあると思ったら積極的に申し込んでみてくださいね。

無期労働契約のメリット

有期雇用から無期雇用へ転換する一番のメリットは、契約満了時の雇い止めの心配がなくなることです。
また無期雇用になれば、何か会社に大きな変化があった時にはいち早く契約を切られる可能性が低くなります。

有期雇用といえども解雇するのには正社員と同レベルの条件があるので、簡単なことではありません。
しかし会社側に有期雇用のパートは解雇しやすいという意識があります。
そのため、まず最初に解雇対象になってしまうのです。

パートの解雇については、こちらにまとめてあるので参照してみてください。

無期雇用になれば会社が意識的に解雇しにくくなるので、長く働き続けることができるのです。

つまり無期転換ルールを利用すれば、収入が急に途絶える不安や、いつまた仕事探しをしなければならないかわからないといった不安はグンと少なくなります。
もし毎年順調に契約を重ねることができていたとしても、毎年有期雇用の更新で働き続けるよりは、契約更新の必要がない身分になれる方が精神的な安定も得られるのではないでしょうか。

先々の出費や貯蓄などの計画に関しても見通しが立てやすくなります。
そうした安定感・安心感があるのが無期労働契約で働く一番のメリットですね。

そして、働く側の気持ちの中に、安心感から今まで以上に働く意欲が芽生えてくるかもしれません。
もしそうなれば、そのこともメリットとして数えられるでしょう。

無期雇用は雇用期間が変わるだけで、正社員になるわけではない

ただ5年無期転換ルールでパートが有期雇用から無期雇用に変わるといっても、正社員になれるわけではありません。

無期転換ルールでは契約上の雇用期間が1年限定・3年限定など期限を切ったものから、期間の定めのないものに変わるだけなのです。

給与や待遇などその他の労働条件については、会社側は原則として直前の有期労働契約での条件をそのまま引き継いで良いことになっています。
会社と働く側が話し合って別途新しい条件を定めない限り、変わるのは無期雇用になるということだけなんですね。

ただ、もしかすると企業の方で、有期雇用から無期雇用に変わった人材のための新しい契約条件を整備することもあるかもしれません。
そのあたりについては今後の社会全体の動きにより変わってくる可能性もあり、未知数の部分です。

日本ではパートは正社員より一段も二段も低い位置に見ている人が多いのが現状です。
実際のところ無期労働契約へ転換できたとしても、解雇の不安が正社員よりは大きいはずです。

個人的には、今のままでは、あまり有効な制度改正とは言えないと思います。
もう少し踏み込んで、本当に不安が解消される制度にしてほしいですね。

まとめ

いかがでしたか?

5年間同じ会社で働くと雇用期限のない無期雇用契約に変更することができます。
変更は簡単で、会社に変更したい意志を申し出るだけです。
会社側に拒否する権利がありません。

しかし一部の会社では無期雇用に変更するのを嫌がり、勤続年数が5年になる前に雇用を中止するかもしれないのです。
もし当事者となってしまったら、無期転換ルール特別相談窓口で相談してくださいね!

また無期雇用契約の転換とは関係ない場面で突然解雇を言い渡されるケースもあります。
そんな時にどうしたらいいかをこちらでまとめています。
パートで解雇!?クビと言われたとき確認するべきこと

参考にしてみてください。

 

 

 

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