パートで採用されたのに雇用契約書がもらえないのは違法か?

【画像】

あなたは雇用契約書もらいましたか?

パートで採用されて初めての出勤日。

緊張しながら出社したら、
「〇〇さんが教育担当だから、よく聞いてね」
と言われて、現場へ・・・

数週間後、仕事に慣れて余裕が出てきたらふと思った。

私、労働条件とか聞いてないんだけど!

とりあえず仕事が欲しくて、細かい条件を聞いていなかったのです!

こんな話、何気に多いようです。

会社が雇用契約書で労働条件を説明していれば、こんなことはないのですが・・・

会社は契約書を渡すのが義務なのではないでしょうか?

雇用契約書は義務ではない

【画像】労働条件と異なる

働いたら、その分お給料を確実にもらいたいですよね!

そのためには、会社と労働条件についての契約を結ぶことが必須です。

その契約の時に取り交わさせるのが雇用契約書で、労働時間や休日といったことに関するものや、就業場所などさまざまな項目が記載されています。

雇用契約書とは、雇用する側と労働者の間で交わされるものです。
雇用側と労働者側で読み合わせなどをして、双方の承認・了解のもとに作ることが必要になります。
これがあることで、雇用主と労働者側で労働条件による認識のずれが起こることを防ぐことができるのです。

【画像】契約書は双方の合意

「だから仕事を始める前に、雇用契約書をもらえるはず!」

と思いがちですが・・・

労働契約法では契約について次のように書かれています。

労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

労働契約法 第六条

ここでは契約書が必要とは書かれていません。
「労働者及び使用者が合意することによって成立」となっています。

つまり、

時給800円で働いてね
はい!

で、契約は成立しているのです!

このためパートタイム労働者として働くときに、「雇用契約書をもらえない」「作成されていない」ということは珍しいことではないのです。

もちろん違法ではありません。

労働条件を伝えるのは義務

労働条件は、自分から聞きにいかないとダメなんですね・・・

いいえ、そんなことはありません!

労働基準法では

「労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」となっていて、

さらに労働契約法で、次のように定められています。


1 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。
2 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。

労働契約法第四条(労働契約の内容の理解の促進)

つまり、

お互いに契約書を取り交わす必要はありませんが、会社は従業員に労働条件を伝えないといけないのです。

もっと言うなら、

「聞いたけどよく分からない」

という人がいたら、理解できるように説明しないといけないのです。

ちなみに先ほどの労働契約法第四条では、「できるかぎり書面で伝える」となっていますが、労働基準法施行規則第5条では必ず書面で交付するように義務付けられています。

法律が入り乱れていて、よく分かりません・・・

そうですね。

ようするに口頭ではダメ。
書面を用意しなさいということなのです。

その書面が労働条件通知書と呼ばれるものです。

【労働条件通知書:モデル様式】
【画像】労働条件通知書

厚生労働省より

通知書と契約書の違いは、署名欄と押印欄があるかどうかです。
労働条件通知書のモデル様式の最後に次のような項目を追加すれば、雇用契約書のひな型として使用できます。

【画像】雇用契約書ひな形

労働条件を明示しないと罰則あり

パートは正社員よりも労働条件が厳しくない。
そう思っている経営者が多いようです。

そのためパート労働者には労働条件の明示が必要ない、と勘違いしている経営者が多いのです。
その勘違いに気がつかないでいると・・・

第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
第百二十条 次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

労働基準法

このような労働基準法の義務違反となって、30万円以下の罰金を支払うことになるのです。

さらにパートタイム労働法では、行政指導をされても改善されない場合、パート一人につき10万円以下の罰金です。
10人雇っていたら100万円。会社からしたら、無視できないものになっているのです。

だからと言って、パートとして働く側から会社に注意しても、どうにもならないんですけどね

労働条件を教えてもらえない時は、労働基準監督署で相談してくださいね!

パートに伝えるべき労働条件とは

パートタイム労働者に伝えるべき労働条件としてはまず、

  • 労働契約の期間
  • 働く場所や従事する業務の内容
  • 始業時間や終業時間
  • 残業の有無
  • 契約の更新基準

などといった労働時間に関する事項・仕事の内容・仕事をする場所・時間の条件があります。

そのほかにも、

賃金に関すること

  • 賃金の決め方
  • 賃金の計算方法
  • 賃金の支払方法
  • 締め日
  • 支払時期

そして

  • 退職に関する事項

が必ず伝えるべき労働条件、記載事項として労働基準法で定められています。

また昇給や退職手当、臨時に支払われる賃金や賞与などについて、その支給があるのかどうかということも明示しなければいけません。
これはパート労働法という法律で、定められているものなのです。

このほかにも必要があれば記載するべき事項があります。
労働者の負担する費用、たとえば食費や作業用品費に関する記載、安全衛生や災害補償、休職などに関するものです。

特に休職や最低賃金などについてはトラブルになりやすい事項ですので、記載がない場合には説明してもらってくださいね!

労働条件は就業規則で伝えることもできる

労働条件の伝え方は、次の3種類あります。

  • 雇用契約書で伝える
  • 労働条件通知書で伝える
  • 就業規則で伝える

雇用契約書と労働条件通知書を個別に配布してもOKです。

また次の条件を満たしていれば、就業規則で労働条件を伝えてもいいことになっています。

(1)就業規則に伝えるべき労働条件が明記されている。
(2)就業規則に労働条件が明記されていると、労働者が知っている。
(3)労働者がいつでも就業規則を見ることができる。

ただし地域や年齢・勤続年数など個々の状況によって時給が判断されるなど、就業規則に記載できないものについては労働条件通知書などで通知する必要があります。

雇用契約と労働契約の違い

少し細かい話ですが、雇用契約と労働契約は何が違うのでしょうか?

雇用契約とは

雇用は民法第623条で「雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。」と定められています。

お仕事をしてもらって、お金を払う。そんな関係の両者で交わされる契約が雇用契約です。

労働契約とは

労働基準法や労働契約法に基づいて使用者と労働者の間で交わされる契約が、労働契約です。
雇用関係であっても、賃金をもらう側が労働者でないと判断される場合、労働契約にはなりません。

労働者は労働基準法の第九条で「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」と定められています。

パートはどちら?

パートは労働者であると同時に、会社に雇用されているので、「雇用契約」と「労働契約」は実質的に同じものになります。

労働条件を通知しないのはなぜ?

まともな企業は通知している

基本的にまともな企業であるのなら、あとからトラブルに発展しないように労働条件の通知をきちんと行っています。
労働トラブルの原因としてもっとも多いのが、この雇用契約書の発行がされていないということなのです。

ですからトラブルを避けるために雇用契約書を発行している、または労働条件通知書などを作成してパートタイム労働者に通知するといったことが行われています。
労働条件をきちんと通知せずにいると、企業側としてもあとあと労働者から訴えがあったりと面倒なことになってしまいます。

そのようなことを避けるために、企業としても条件を通知しておくことが重要になるのです。

また雇用契約書を作成していた場合には、休日や給料・就業場所のことなどで雇用主と労働者が合意しているということになります。
そのためトラブルが発生する余地がないということで、企業側にとって大きなメリットがあるのです。

経営者が無知なケース

労働条件を明示しないからと言って、企業に悪意があるとは限りません。
ただ単に経営者が、パートにも労働条件の明示義務があることを知らないケースもあるのです。

このケースの場合守るべき他の法律も知らないことが考えられます。
悪意が無いとはいえ、パートにとって最悪な経営者です。

罪悪感なくパートを不利な状況で働かせているかもしれないのです。

現場で徹底されていない

店舗数が多いスーパーなどでは、店長が採用をおこなっているケースも少なくありません。
企業として労働条件を説明する体制になっていても、経験が浅い店長によっては、労働条件の説明をしなくていいと思っていることがあります。

職場の同僚に労働条件の説明を受けたか聞いてみて誰も受けてないようならば、パート従業員全体の意志として労働条件の明示を請求してみてください。

労働条件を知らせたくないケース

労働条件を明示すると、従業員が集まらない。
だから労働条件を通達しないというケースがあります。

ブラックな企業ですね。

中身のない雇用契約書だけが、用意されていることもあります。
労働条件が明示されていない状況で、契約書にサインしないようにしてくださいね。

まとめ

企業が労働者を雇う場合、雇用契約書は必要ありません。
しかしパート労働者に対して、賃金や仕事の内容・契約期間終了後の更新の有無などを書面で明示する義務があります。

しかし会社によっては義務と思っていないケースもあります。
もし労働条件を説明されずに働いているなら、書面で説明してもらうようにしてください。

それでも説明してもらえないなら、労働基準監督署に相談してみてくださいね!

 

 

 

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