パートで解雇!?クビと言われたとき確認するべきこと

突然、会社から解雇を言い渡されたら、誰だってショックですよね。
しかし悲しんでばかりはいられません。
会社から解雇を通達されることは、正社員でもパート、アルバイトでも同様に起こりうることです。
解雇を言われた場合、正当な理由があるかどうかをまずは確認しておく必要があります。
とくにパート勤務の場合、就業規則に反した行動、態度があった場合、解雇を言い渡されることが一般的のようです。
または、人員整理の為選ばれることもあります。自分では、きちんと業務をこなしていたと思っていても、会社側がそう思ってくれてないこともあります。
しかし会社のいいなりになって辞めると、自分にとって最低限の権利も奪われてしまうことになりかねません。
そこで今回は
- どうすれば自分を守れるのか
- 解雇について法律はどうなっているのか
などについてまとめてみました。
特に法律については最低限のことは知っておく必要があります。
なぜなら企業も法律について知らないことがあり、知らずに法令違反をおこしているケースがあるからです。
解雇と言われたら?
会社から解雇と言われたら、注意したいことは次の5つ。
- まずは退職勧奨ではないか確認
- 解雇理由証明書をもらう
- 解雇手当が支給されるか確認
- 退職理由を自己都合にされないか確認
- 退職願は書いてはいけない
それぞれ順番に説明していきますね。
まずは退職勧奨ではないか確認
「退職勧奨」とは自分から会社を辞めるように従業員を誘導したり、説得したりすることです。
会社は従業員を簡単に「解雇」できないので「自己都合」で辞めさせるのです。
と従業員の今後を心配しているように装ったり、
会社はお願いしただけ。辞めたのは従業員の意志。そんなシナリオで辞めさせるのです。
会社は正当な理由がないから、このような方法を使ってきます。
絶対に受けてはいけません。
ですがその後の会社の対応が悪くなることが考えられます。
パートのシフトを減らされたり、一人だけキツイ仕事をやらされたりです。
「退職勧奨」をしつこく繰り返したり、仕事内容を不当に変えたりなどは許されないことです。
ひどい場合は損害賠償を求めることができます。
ですが争ってまで会社に残っても、以前のように勤務を続けるのが難しくなるケースが多いようです。
可能なら「会社都合」で辞められないか交渉してみることも検討してみてください。
会社の意志でないケースも
直属の上司が個人的に労働者を気に入らないとか、合わないなどの理由で独断で判断して退職するように言ってくることもあります。
会社の管理部門やさらに上の上司(社長など)に相談した結果、パワハラだったと分かったケースもあります。
本当に会社の意志か確認することも大事です。
解雇であることを明確にするために、解雇理由証明書をもらう
会社側からの一方的な解雇を受けた場合、次にやるべきことがあります。
それは「解雇理由証明書」をもらうことです。
パートタイム労働法では、理由がなければ解雇できないと明記されています。
有期労働契約(期間の定めのある労働契約)の場合
やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間中に解雇することはできません。期間の定めのない労働契約の場合よりも、解雇の有効性は厳しく判断されます。(労働契約法第 17 条)
さらに労働基準法第22条で、解雇予告をした後に解雇の理由を従業員から求められたら、証明書を出さないといけないと決められています。
退職後2年以内であれば、理由を問わず会社側は作成しなくてはなりません。(労働基準法第115条)
不当な解雇でないという証明書、つまり「解雇理由証明書」を作成してもらって確認するようにしましょう。
会社側には労働者に対しての義務があります。
そして「解雇理由書」があれば第三者が解雇の有効性を判断できるとともに、根拠のない理由で解雇されたのなら、それをもとに会社と争うこともできます。
理由書には、具体的な内容を記載されるので、会社側による勝手な都合による解雇なのか、正当な理由のある解雇なのかをきちんと明確にすることができます。ハローワークなどで、次の就活を始める際にも、解雇理由書は役立ちますので、必ずもらうようにしてくださいね。
「解雇」の種類
解雇にはいくつか種類があります。
懲戒解雇
会社の金品を横領や重大な違反をするなど、社会一般的に解雇されて当然とされることを行った人に対して行われる解雇です。
懲戒免職という言葉もありますが、こちらは公務員に対する解雇を指します。
懲戒解雇は従業員に対する罰的な意味合いがあり、退職金が支給されないだけでなく、再就職で不利になるなどの可能性があります。
諭旨解雇(ゆしかいこ)
懲戒解雇にあたる行為を行ったが情状酌量の余地があったり、後で「不当解雇」として訴えられるなどのリスクを軽減するために、労働者に納得して解雇を承諾してもらうことです。
整理解雇
パートの解雇理由で最も多いのが整理解雇で、会社の業績の悪化による人件費の削減を理由にして行われます。
労働者には何の責任もなく、会社側の都合で行われるため、整理解雇をおこなうのは次の条件を満たす必要があります。
- 本当に人員整理をしないといけない理由がある
- 人員整理を回避する努力を十分行った
- 対象者の選択が公平に行われた
- 説明や協議、納得を得る手順を踏んだ
普通解雇
懲戒解雇や諭旨解雇・整理解雇意外の解雇が普通解雇です。
広い意味では諭旨解雇と整理解雇も普通解雇にあたります。
無断欠勤を繰り返したり、会社に不利益になる行動をとったりなどを理由に解雇されます。
次の理由で「解雇」することは法律で認められていません
- 仕事中の事故でケガや病気で休んだ
休業中およびその後の30日間は解雇できません - 妊娠や育児で休業をした
産前産後とその後の30日間の休業した、または申し出たことを理由に解雇することはできません。
また妊娠中や産後1年以内は「妊娠・出産・産前産後休業取得等による解雇でないこと」を会社が証明しなければ、解雇できません。 - 「母性健康管理の措置」や「母性保護規定」を受けた
妊娠中の健康診査や、簡単な仕事への変更などを求められたことを理由に解雇できません
参考:男女雇用機会均等法における母性健康管理の措置 - 育児・介護休業や子の看護休暇
育児や小学校就学前の子供が病気で休んだのを理由に解雇できません
※パート労働法のあらまし48ページを参照してみてください。
労働契約法では「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」場合は解雇が無効になります。
解雇の前提として、就業規則に解雇事由が明記されていないといけません。
さらに従業員に対して、就業規則ぼ内容が周知されている必要があります。
具体的にはパート契約時に労働条件として説明をするなどです。
その上で、
- 必要な能力が著しくたりない
- 勤務態度が悪すぎる
- 上司の正当な指示に従わない
など、第三者から見て解雇されて当然だと感じさせる理由と、それを証明できる根拠が必要です。
さらに会社側が、それを是正する努力をしたかも重要になります。
例えば病気などの正当な理由がない遅刻を繰り返す従業員に対して、遅刻をしないように求めるなどです。
会社として何も注意せず、突然解雇を言い渡した場合「不当解雇」と判断されます。
解雇手当が支給されるか確認
意外と知られていないのですが、会社を辞めるに当たって「解雇手当」というものがあります。
会社から解雇宣言をされた際、即退社を迫られているのか、何月何日付で退社というように決められているのか、まずは確認しておきましょう。
実は労働基準法20条において、
会社側は30日以上前に解雇予告をしなけらばいけない
と定められています。
そして30日以上前に予告できない場合は、その日数分の平均賃金を支払う義務があります。
ですので、
- 事前通告のある解雇なのか
- 突然の解雇であるのか
は、解雇手当にもかかわるとても大事な事なのです。
中には、いきなり解雇宣言されてそのまま解雇手当もなし、というケースもあるようです。
パートでも解雇手当の権限はありますから、もらえるはずの解雇手当がある場合は、正当に請求できます。
払ってもらえるものは、支払ってもらいましょう。
解雇手当はいくら?
■予告が30日前の場合
解雇手当はもらえません。
■予告が30日未満の場合
「30日-予告されてから解雇までの日数」分の解雇手当がもらえます。
一日分の手当は、労働基準法で決められている平均賃金です。
平均賃金の計算方法はパートと労災保険-治療費や休業補償はもらえないのかを見てくださいね。
こちらは労災の支給についてですが、平均賃金と共通する部分もあるので参考になります。
解雇予告手当はシフトや会社の休日などは関係ありません。
そのため本来もらえる金額より多くなります。
解雇手当をもらえないケースもあります
- 日雇いの人
ただし一か月以上継続して雇われている場合は、対象となります。 - 季節労働者
ただし契約期間が四か月以上、または契約期間をこえて雇われている場合は対象となります。 - 契約期間が2か月以内の人
ただし契約期間をこえて雇われている場合は対象となります。 - 試用期間の人
ただし14日間をこえると対象となります。 - 解雇予告除外認定を受けた人
遅刻、欠勤や著しい職務規定違反などを行い懲戒処分を受けたとしても、解雇予告は必要です。
ただし労働基準監督署で解雇予告除外認定を受けた場合は、予告なく解雇することができます。また天災などで事業の継続が困難になった場合も、同様です。
失業保険をもらう人は、退職理由を自己都合にされないか確認
解雇されたあと新たな職場を探すため、就職活動をする人も少なくありませんね。
そんなとき心強い味方になってくれるのが失業保険です。年齢・勤務期間・退職理由によって基本手当や支給日数が変わってきます。
失業中の生活を支えてくれる大切なものですので、きちんと手続きをしておきたいものです。失業保険をもらう方は、とくに「退職理由」欄がどうなっているのかを確認してください。「会社都合」か「自己都合」になっているかでは、もらえる失業保険に約2倍くらいの差がでてくるからです。
支給金額は、賃金と年齢、勤続年数が基になりますが、支給日数は年齢、勤続年数、退職理由を基に考えられています。
そのため会社側の勝手な都合、理由などで「自己都合」扱いにされてしまうと、大損をすることになります。
自己都合でない場合は、会社側にきちんと訂正してもらってください。
退職願は書いてはいけない
解雇を通達された後、退職願を求めてくる会社があります。
解雇されたにも関わらず、なぜ退職願を書かなければいけないのかと思いますよね。
このとき上司や会社が労働者に説得にかかり、そこまで言うのならとなにも考えず求められるがままに応じてしまうと、後々トラブルのもととなりますよ。ですから、絶対に「退職願」は書いてはいけません。
なぜなら、退職願を書かせるのは、会社の為であることが多いからです。
退職を願い出た。つまり自分から辞めたという証拠にされてしまうのです。
実際には解雇理由が、正当な理由があるかどうかにつきます。
会社側の都合、我儘な理由で解雇すれば、それは不当な解雇であり違法です。
しかし一度退職願を提出してしまうと、この違法性を証明することが弱くなります。
それを狙って、会社側としては退職願を求めているのです。
ですから、うまく会社側の口車にのせられて書くことは避けてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?
正社員と比較してパートは解雇しやすいと言われていますが、そんなことはありません。
まずは会社側に解雇する正当な理由があるのか確認しましょう。
また労働契約法の改正で5年間継続して働くと無期限労働契約に変更できることになりました。
しかしその改正によって5年未満で解雇されるケースが考えられます。
当事者になるケースがあるので、一度こちらを確認してみてください。
パートの無期雇用と解雇の可能性とは