領収書の宛名なしって違法か?領収書の意味と扱い方について

「領収書」とは、物を販売したり、サービスなどを提供したりしている人が、対価として金銭を受け取ったことを証明するために発行されている書類のことをいいます。
領収書には、必ず宛名を記入する欄があります。ですが、「宛名なし」で領収書を書いてもらったことや、名前のところに「上様」と書いてもらった領収書を受け取ったことがあるという人もいるのではないでしょうか。

でも、領収書の宛名なしって違法じゃないの?宛名がない領収書って認められるの?ってちょっと気になったことはありませんか?
そこで、領収書の意味と扱い方について解説します。

領収書の宛名の意味をしっかり覚えて、損をしないようにしてくださいね。

領収書の宛名なしって違法じゃないの?

領収書は、お金を受け取ったことを証明する書類です。
領収書を発行するときには、必ず「お金を支払う人」、「お金を受け取る人」がいますね。
それぞれの立場を基準に考えると領収書は2つの見方をすることができます。

1.サービスをした側が、サービスを受けた人からお金を受け取ったことを証明する
2.サービスを受けた側が、サービスをした人にお金を支払ったことを証明する

領収書の宛名なしは違法なのかについては、この2つのことが関係してきますのでちょっと覚えておいてください。

宛名なしが認められている事業

領収書に記載しなければいけない項目は、消費税法第30条9項1号で定められています。

1. 発行者
2. 取引日時
3. 取引内容
4. 金額
5. 書類の受取人

5番目に「書類の受取人」が領収書の宛名のことです。
つまり、本来であれば「宛名なし」の領収書は定められている項目を満たしていないので、消費税法上は領収書とは認められないのです。

ただし、「書類の受取人」の項目に関しては、例外を認められている業種があります。

1. 小売業
2. バス、鉄道、航空会社などの旅客運送業
3. 旅行に関する事業
4. 飲食業
5. 駐車場業

これらの業種に関しては、消費税法上宛名なしの領収書でも使用することが可能です。
発券機で新幹線の切符を購入したときに領収書の発行ができますが、これには宛名は記載されていません。
新幹線の切符は、「2」のバス、鉄道、航空会社などの旅客運送業なので、宛名なしの領収書でも問題はありません。
だから発券機で領収書の発行ができるともいえますね。

宛名なしの領収書は経理上認められるのか

会社で事前に仮払い申請をしておき、領収書を提出してあとで精算をするということがよくありますね。
経理上、精算するときに必要なのは、「使った金額を証明すること」です。
宛名なしって違法じゃないの?の項目でお話したように領収書には「支払ったことを証明する」という意味があります。

「誰に支払ったのか」は証明しなくてもいいケースもあるので、支払った金額を証明することができれば宛名なしの領収書でも経理上は認められることがあります。

ただし社内規定として「宛名なしの領収書は認められない」と決めている会社もあるので、宛名なしの領収書はできるだけもらわないほうがいいかもしれませんね。

宛名なしの領収書は税務調査上認められるのか

税務上例外を認められている業種以外は、宛名なしの領収書は消費税を国に納めるときの仕入れ税控除ができません。

仕入れ税控除とは、事業者が売上時に受け取った消費税から事業に必要な物品購入時に支払った消費税を差し引いて税金を納めることをいいます。
経理上は認められるケースもありますが、宛名なしの領収書は税務上認められないものもあるので注意が必要です。

ただし、法人税や所得税の経費として認められないということではないので、宛名がない領収書があったとしてもきちんと管理しておきましょう。

宛名なしの領収書に自分で名前を書き入れてもいいの?

宛名が空欄になっている領収書だったら、自分で書いちゃってもいいの?なんて思ってことはありませんか?ですがこれはやってはいけません。

領収書を発行しているのはもらった人ではなくて、サービスを提供している側ですね。
領収書の記載しなければいけない項目の中に「取引内容」があります。
これはいわゆる但し書きと呼ばれているものです。

但し書きが手書きされている場合、宛名と筆記用具や筆跡が異なっていると、税務署でチェックされてしまう可能性があります。
書類を偽造したという疑いをかけられてしまうこともあるので、空白の領収書を使うことよりも自分で宛名を書いてしまったほうが問題になることが多いです。

領収書は、必ず発行した人と受け取った人がいる書類ですね。
どちらかが領収書を偽造してしまうと、相手に迷惑をかけてしまうこともあります。
宛名を自分で書くことは絶対に避けましょう。

宛名なしの領収書は、国に消費税を納める場合の仕入れ税控除の対象にならなくなるという説明をしましたが、他にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。

宛名なしの領収書を発行するデメリット

領収書は、会社の経費を証明するために必要なものです。
発行した側にとっては、金銭を受け取ったことを証明する書類という意味がありますし、受け取った側にとっては必要な経費として支払ったことを証明する書類になります。

「経費」は、税金の計算をするときに必要なものなので、領収書1枚で大きなトラブルに発展してしまう可能性もあるんですよ。

領収書の発行した側

宛名なしの領収書を発行するデメリット、リスクには以下のようなことがあります。

1.領収書を悪用されるリスク

宛名なしの領収書を発行して、それを受け取ったお客様が領収書を紛失してしまったとします。
それをたまたま拾った人が、自分の会社の経費として計上したとします。
これは、本来であれば経費として認められないものですね。宛名なしの領収書は、このように悪用されてしまう可能性があるということです。

2.トラブルに巻き込まれるリスク

宛名なしの領収書は、自分で宛名を書くことができてしまいます。
もし、領収書を受け取った人が宛名を自分で書いてしまい、但し書きと宛名の筆跡の違いで税務署から調査を受けてしまった場合、領収書を発行した側も調査の対象になってしまうことがあります。

3.脱税ほう助に問われるリスク

1のように領収書を悪用されてしまった場合、領収書を悪用した人は本来であれば支払わなければならない税金の納税を逃れることになりますね。
そのため領収書を発行した会社が、脱税をほう助(手助け)したとみなされてしまう可能性があります。

このように、白紙の領収書や宛名なしの領収書は、発行する側には大きなデメリットやリスクを伴います。
宛名なしの領収書の発行はしないように注意してください。

領収書を受け取った側

領収書を受け取った側にも以下のようなリスクがあります。

1.二重請求をされても支払ったことを証明できなくなる

もしも二重請求を受けてしまった場合、宛名なしの領収書の場合は、名前がないので自分が受け取った領収書であることを証明できないですね。領収書は支払いを証明するものですが、名前がないと誰に支払ったのかを証明することができなくなってしまいます。

2.領収書として認められないことがある

会社などで精算をする場合、宛名なしの領収書が認められていないことがあります。
経費として認められなければ、個人的に使用したわけではないのに自腹で支払いをしなければいけなくなるかもしれません。

会社名が長かったり、名前の漢字が説明しにくい場合、つい「宛名なし」にしたくなってしまうことがありますね。
でも、このようなリスクを避けるためにも宛名はきちんと書いてもらうようにしましょう。

宛名についてのその他の疑問

領収書の宛名の重要性はおわかりいただけたと思います。

次に、ここでは宛名に関してのその他の疑問についてお答えします。

領収書の上様は宛名として認められるのか

領収書の宛名を「上様」にした場合、宛名なしと判断されます。
つまり宛名が空欄ではなく「上様」と書いてあったとしても、宛名なしと同じ扱いになってしまうということです。
領収書の宛名を書いてもらう場合は、「上様」ではなく会社名や個人名を書いてもらうようにしましょう。

仕事で使った費用の領収書の宛名は会社名?個人名?

仕事で使った費用の領収書を発行してもらう場合は、宛名は会社名にしてもらうのが一般的です。
というのは、支払いをしているのは個人ですが、支払っているお金を出しているのは会社になるからです。

ただし、ホテルなどの宿泊の場合、予約するときに使用するのが個人名なので個人名が印字された領収書が発行されることが多いですね。
この場合は、個人名でも経費として認められるので個人名でも問題はありません。

領収書を発行する側になったときは、会社名を記入する際は正式名称を記載することがマナーです。
(株)などのように省略せずに「株式会社」と書くようにしてください。

領収書の宛名を間違えた場合は修正してもいいのか

領収書は、経費や税金などの金額に関係する重要な書類です。
もし、領収書の宛名を書き間違えてしまった場合は、間違えた箇所全体を二重線で消し、訂正印を押します。
そのあと、空いている場所に正しい名前を記載しましょう。

修正液や修正テープでは、書類の不正を疑われてしまう可能性があるので絶対に止めましょう。

ですが、領収書はお客様にお渡しする大切な書類です。
万が一書き損じてしまった場合は、間違えてしまった領収書は使用せずに、新しく書き直すことが一番おすすめの対処法です。

まとめ

個人で使用している場合は、あまり領収書の重要性を感じることがありませんが、領収書を発行する立場になったときや、会社のお金を使用したときの領収書については宛名を記載する、記載してもらうことが大切です。

宛名なしでも経理上は問題がないことも多いですが、宛名がない領収書1枚で大きなトラブルになってしまう可能性もあります。
領収書の宛名はきちんと記載する、記載してもらうことを心がけてくださいね。

 

 

 

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