ホームヘルパー(訪問介護)ってどんなことをするの?必要な資格や給料は?
「親の介護、ちょっと疲れたな…」
介護は体力も使うし、自分の時間を削ることにもなるので、とても大変です。
そんな時に強い味方なのが『ホームヘルパー』です。
ホームヘルパーとは訪問介護のこと。
この言葉については聞いたことがある人が多いと思います。
ですが、『実際にどんな仕事をするのか・してもらえるのか』ということについては、あまり知られていません。
そこで今回は、私が介護職をしていた経験と、実際にホームヘルパーをお願いしていた経験から
- ホームヘルパー(訪問介護)とはどんなことをする仕事なのか
- どんな資格が必要なのか
- お給料はどれくらいなのか
についてお伝えします。
介護の手伝いをして欲しい方は、ホームヘルパーがどんな仕事なのか知ってもらって、安心して利用できるようになって欲しいです。
ホームヘルパーの仕事に興味がある方は、大変さを理解した上で、挑戦して欲しいです
この記事が、そのお役にたてることを祈っています。
初めに:私もホームヘルパーを利用していました
私、山下智子も実はホームヘルパー(訪問介護)を利用していました。
私は仕事で日中家にいなかったので、高齢の両親の食事の用意を主にお願いしていました。
時間に余裕のあるときは、部屋の掃除などもやっていただいていました。
栄養や好みを考慮して食事を作っていただいたり、汚しやすい台所の掃除を集中的にやっていただいたりしていたので、安心して外で仕事をすることができました。
本当にありがたかったです。
私がやるべきことを代わりにやってもらえたことで、肉体的な負担の軽減になりました。
なにより、日常の生活をサポートしていただいたことで、精神的な負担軽減にもなりました。
ホームヘルパーの仕事は、直接介護をする方に対してはもちろんですが、その家族にとっても大切な仕事だと思います。
ホームヘルパーの仕事内容
ホームヘルパーの仕事は大きくわけて以下の3つにわけることができます。
[1]生活援助
[2]身体介護
[3]通院などの介助
私がホームヘルパーさんにお願いしていたのは、主に食事の支度と部屋の掃除でした。
上の[1]生活援助ですね。
ではそれぞれどのような仕事なのか?
一つ一つ簡単にお伝えしていきます。
ホームヘルパーの仕事1:生活援助
要介護者の自宅に訪問して、食事の支度、買い物代行、掃除、洗濯などの援助を行います。
「家事代行業者と何が違うの?」
と疑問に思う人もいるかもしれませんね。
家事代行の場合は、依頼者の要望に合わせて、食事や洗濯、掃除などを行います。
その点については家事代行業者とホームヘルパーに大きな違いはありません。
ですがホームヘルパーの場合は、次の方に対してサービスを行います。
- 介護認定をされている
- 生活援助を必要としている
- 自分で食事の用意や掃除などを行うことが困難
家事代行は、家事のプロフェッショナルということになります。
ホームヘルパーの場合はあくまでの介護のプロフェッショナルです。
その上で、日常の生活をスムーズに行うために、介護者の家事のサポートをするのです。
そのため、部屋の大掃除をしてほしいとか、草むしり、窓ふきをしてほしいといったことは、サービス内容には含まれません。
私のように要介護者が家族にいると、家族の負担がとても大きくなります。
ホームヘルパーは訪問介護で家事などをおこなうことで、家族の負担を軽減するという大きな役割も担っています。
ホームヘルパーの仕事2:身体介護
身体介護は、排泄、食事、着替え、入浴などの介助などを行います。
通常食の食事をすることが困難な利用者には、治療食や流動食の調理といったものも含まれています。
私の場合、父が一時期、通常の食事をすることが難しかったので「きざみ食」の調理をお願いしていました。
また私の父は大丈夫でしたが、ひとりで食べることが難しい場合は、食事介助などを行うこともあります。
ホームヘルパーの仕事3:通院などの介助
利用者さんが病院などに通院している場合は、ホームヘルパーが運転する車で病院に向かい、病院の受診の手続きや歩行や車いすなどの介助を行います。
ホームヘルパー(訪問介護)の資格
訪問介護の仕事は資格がなければ行うことができません。
ホームヘルパーの場合は『介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)』以上の資格が必要です。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)
制度が改正されたため、ホームヘルパー2級は、介護職員初任者研修という資格に変わりました。
以前は規定の学習を修了すれば、全員が資格を取得することができました。
しかし現在の介護職員初任者研修は、規定の学習や実習を修了したあとで、筆記試験を受け、合格する必要があります。
ただし、真面目に規定の学習や実習をおこなっていれば、筆記試験の難易度は高いものではありません。
病院などで看護助手の立場で介護の仕事をするなら、資格がなくても採用されることがあります。
ですが、利用者さんの自宅に訪問して介護を行うホームヘルパーの仕事を希望する場合は、介護職員初任者研修の資格を取得しておきましょう。
介護職員実務者研修
介護職員初任者研修の他に、介護職員実務者研修という資格があります。
介護職員初任者研修は旧ホームヘルパー1級に相当する資格です。
基本的な介護提供ができる能力を身につけることに加えて、医療的ケアの知識や技能の習得が求められます。
この資格を取得した人は一定の条件を満たすと、「喀痰吸引(かくたんきゅういん:タンの吸引)」や経管栄養などのケアをすることも可能になります。
資格を取得するための方法
介護の資格を取得する場合、できればあまりお金をかけずに取得したいですよね。
ですが、介護職員初任者研修の資格は、独学で取得することはできません。
なぜならば、厚生労働省が指定したカリキュラムを修了する必要があるからです。
そのためには、介護職員初任者研修のカリキュラムを実施しているスクールに通う必要があります。
通信コースを実施しているスクールもありますが、スクーリングといって規定の時間数の実習授業を受ける必要があります。
実習では、ベッドの起き上がり時の介助の仕方や、ベッドから車椅子への移乗(いじょう=乗り移り)など、実際の現場で必要な介護の仕方について学習します。
テキストの勉強に加えて90時間の実習内容をすべて学習終了したあとに、筆記テストを受け、合格して初めて資格を取得することができます。
ホームヘルパーの給与
ホームヘルパーの仕事は、食事の支度や部屋の掃除、排泄・入浴の介助など、体力的・精神的にきついものがあります。
しかし、給与などの待遇面はあまりよくないという話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
実際にそうなのでしょうか?
厚生労働省では、次のような統計を公表しています。
所属している会社や勤務時間などによって差がありますが、決して高い給与額ではないということがわかります。
しかし平成27年と比較すると、
- 正社員:9,530円増加
- パート・アルバイト:2,400円増加
となり、徐々に改善されているようです。
介護職員に向いている人ってどんな人?
介護の仕事は大変なわりに、他の職種に比べて決して給料も良いとはいえません。
そんな介護の仕事に向いている人・向いていない人とはどんな人なのでしょうか。
介護で大変なのは、排泄に関する仕事です。
赤ちゃんのおむつ交換とは違いますので、ニオイも量も赤ちゃんのものとは異なります。
汚いものや臭いものを触りたくないという潔癖な性格な人は、介護の仕事には向かないといえます。
また、自分よりも体重の重い人の体を支えることもあるので、体力的に自信がないという人も難しいでしょう。
また痴呆のある高齢者の介護をおこなうこともあります。
何度も同じことを聞かれたりしますし、ゆっくり行動する方も多いです。
せっかちな性格な人は、あまり向いていません。
介護職に向いている人は、高齢者を人生の先輩と認識して、人として敬うことができる人。
小さな変化に気が付くことができる人、気遣いができる人、思いやりがある人です。
他にも、命を預かっているという責任感を持てることも大切です。
そして何より、お年寄りと接することが好きで人に喜んでもらえることに喜びを感じられる人が介護職に向いているといえます。
ホームヘルパーの資格で勤められる場所
ホームヘルパーに必要な介護職員初任者研修や介護職員実務者研修の資格を持っていると、訪問介護の仕事だけではなく、医療施設などで勤務することができます。
病院
介護に関する資格を持っていると、看護助手として病院で働くことができます。
看護助手は、資格がなくても働くことができますが、最近では有資格者を求めている病院も増えています。
看護助手として働く場合は、医療資格がなくてもできる看護に関する業務(清拭(体を拭く)、おむつ交換、シーツ交換、検査室への移動の補助、トイレ、入浴介助などの業務を行います。
おむつ交換、トイレの介助、入浴介助、車椅子への移乗、着替えの介助などは介護の仕事と同じなので、即戦力として働くことが可能です。
介護施設
病院以外でも老人介護施設などで働くことができます。
老人介護施設には、「特別養護老人ホーム」「有料老人オーム」「介護老人保健施設」などがあります。
病院とは違い、介護施設は高齢者介助が仕事になりますので、資格がない人は採用されることが難しいことが多くなっています。
ホームヘルパーのやりがいと苦労
訪問介護で介護の仕事を行う場合、直接利用者さんの自宅に訪問して仕事をすることになります。
そのため、仕事の内容にかかわらず利用者さん本人や利用者さんのご家族との相性という問題が発生することがあります。
自分では、何の問題もなく仕事をしていたつもりでも、利用者さん本人やご家族から担当者を変えてほしいといわれてしまったという人もいます。
そのため、原因がわからなくて、落ち込んでしまったり、仕事を辞めたいと思ってしまったりする人も少なくないようです。
病院や施設で働くのとは違い、よりプライベートに踏み込んだ状態で仕事をすることになるため、利用者さんとの相性というのも大切な要素の1つということがいえます。
ホームヘルパーの大変なこととは
訪問介護をおこなう時間は、利用者さんの状態や家庭環境に合わせて決められます。
そのため、基本的に短時間で行う必要があるので、時間内に効率よく作業を行う必要があります。
一番大変なことは、利用者さんひとりひとり体調や体格などが違うので、その方に合ったケアが必要になるということです。
体位変換や着替えの介助といったものを行う場合、痛みがある人もいますし、体を動かせる範囲などが異なることも多いです。
実習で介助の方法は学習しますが、勉強したとおりにすべて行うことができるわけではありません。
その人に合った最適な介助をその都度工夫し、行うことが必要になります。
そのほかにも排泄物などの処理を行うこともあるため、決してきれいなことだけをできる仕事ではないということです。
利用者さんが安全に生活できるように手助けすることがホームヘルパーの仕事なので、汚物の処理だけではなく、体力的にも大変な仕事です。
ホームヘルパーのやりがいとは
たとえば、食事の用意などをしたときに「おいしい」といってうれしそうに食べてくれたり、自分が訪問するようになってからどんどん利用者さんの笑顔が増えたりするとやりがいを感じることができますね。
他にも、利用者さんのご家族から感謝の言葉をいただくと、自分が他の人の役に立てていると実感することができます。
病院や施設などでの仕事とは違い、利用者さんの生活圏内で仕事をするので大変なことがたくさんあります。
それと同時に、訪問介護ならではのやりがいを感じられることもあるのではないかなと思います。
ホームヘルパーの需要
高齢者社会が進み、介護を必要としている高齢者は年々増えています。
こういった状況の中で、高齢者介護施設を利用したくても空きがなく大勢の人が順番待ちをしているという現実があります。
高齢者施設に入居できずに自宅で介護をするという選択をした家庭であっても、最初は可能だと思って始めた自宅介護に疲れてきている家族もたくさんいます。
つまり、高齢者介護施設を利用したくでもできない人にとって、訪問介護というサービスは本当にありがたいものなのです。
しかしながら、介護に携わる人材が慢性的に不足しているのです。
つまり高齢化社会が加速している現在において、介護職に携わる人材の需要はさらに大きくなるということです。
特に自宅で介護を行っている家庭においては、ホールヘルパーの存在は必要不可欠です。
今後さらに多くの有資格者が、求められるようになっていくのではないかなと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
実際に介護職を経験し、訪問介護サービスを受けた経験から、ホームヘルパーの仕事についてご紹介してきました。
仕事の内容を見ると決して楽な仕事ではありませんし、非正規雇用として勤務する場合、他の業種と比べてもお給料が高いとはいえません。
わざわざこんな大変な仕事を選んでやりたくないと思ってしまった人もいるかもしれませんね。
私が介護の仕事をしてよかったと思うことは、自分の親の介護をするようになったときに躊躇(ちゅうちょ)せずに何でもできたことです。
着替えや入浴の介助、退院後の褥瘡(じょくそう=床ずれ)のケアやおむつ交換など悩まずに行うことができました。
お世話をしている人の笑顔は何物にも代えがたく、元気になると自分のことのようにうれしくなります。
「素敵な介護者がこれからますます増えてくれるといいな」
個人的に、こう願っています。
大変なこともありますが、やりがいもたくさんあります。
あなたもぜひ介護の仕事に挑戦してみてくださいね。